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狙った獲物は外さない 〜会社も人生も基本は同じ〜

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く(5)

聞き手は高松宏之編集部長

日本計量新報 2009年1月18日2757号4面掲載

めざすは世界一の技術

大和製衡の方針に変更なし

−−こういう大嵐を乗り切る大和製衡の方針をお聞かせください。

大和製衡の方針にはいささかの変更もありません。これまでお話ししたように、今起こっていることのほとんどは既に10年以上前から予測し、折り込み済みです。先々起こるであろう嵐も予測した上で方針を立てています。

繰り返しますが、嵐は千載一遇のチャンスです。嵐は世の中のニーズを表しています。したがって、これを自社のテーマとして解決していけば、大きな発展につながります。ニーズの把握がいかに大事かということでもあります。

社長就任時は最悪の状態

私は1999(平成11)年に社長に就任しましたが、この時はバブルの崩壊もあり、大和製衡は数億円の赤字決算であり、100億円の借入金を抱える最悪の状態でした。

業績をV字回復

私は就任以来、借入金を減らし、利益の回復に努めてきました。その結果、利益率は急上昇し、2008年まで創業以来の利益を更新しています。

国際企業への脱皮はかる

計量関係の企業を(社)日本計量機器工業連合会(計工連)のデータで見ると、国際企業か、国内企業か、すなわち売上に占める輸出の比率が高い企業か、そうでない企業か、で大きく異なります。国内市場だけで立派にやっていらっしゃる例外はありますが、現在の隆々たる業績の企業の多くは国際企業です。

かつては日本の基幹産業が中心にドシンとしており、われわれの場合もその設備を担うものとして活動していました。当時、私は入社後間もないときだったのですが「これは放置しておくと大変危険な状況である」と感じました。国内の景気に左右されるような企業は、不安定で危険なのです。自分たちがいくら努力しても、その努力に関係なく景気に左右されてしまいますから。

私は、この状態から脱却するには国際企業になることが重大なテーマであると思いました。当時の当社の輸出比率は売上の数パーセントでした。

国際化はリスク分散でもある

たしかに輸出には為替相場の問題、貿易摩擦の問題、企業買収の問題などのリスクもたくさんあります。現在も円高になって、為替差損などがでています。しかし、マーケットを世界に広げることは、日本市場の景気に左右される一点集中から、世界市場を相手にすることでリスク分散されます。市場規模が大きく広がることはもちろんです。

 

そうして、現在は大和製衡の売上高の約40から50%が輸出によるものになりました。日本で技術力を認められる大和製衡から、世界で技術力を認められる大和製衡になっています。

売上高の半分は世界トップクラスの技術で獲得

そうなると、少なくとも世界のトップクラスの技術による売上が、総売上高の何割を占めるかが大事になってきます。現在は、売上高の約50%は、当社の世界でも三本の指に入る技術で獲得したものです。私の目標はこれを70%まで高めることです。

ここまでいけば、為替相場や景気に業績が左右されない企業になります。「世界一の技術をつくりあげる」というのが大和製衡のテーマです。

こういう方向をきちんと定めて、突き進んできたことが、業績の急成長として現れたのです。V字回復は奇跡や偶然ではありません。

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