ホーム・計量計測データバンク2005年度計量法改正情報BOX>座談会(2005/11/14)【4】

座談会「計量法の抜本的見直し」の審議動向と私の考え方
    国民の計量の安全と計量行政の在り方を考える

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【4】

私は自動計量器の規制は必要ないと思いますあれは計量器ではありません

大森健次 私は、自動計量器の規制は必要ないと思います。あれは計量器ではありません。自動機械です。

岩下貞治 私も必要ないと思います。すでにメーカーから適正計量結果がきちんと出るような状態で供給されていると思いますし、そうでない商品を供給したら、必ず消費者からしっぺ返しを食いますよ。

メーカーからすれば規制をしてくれたほうが楽だと思います

森川正彦 メーカーからすれば、逆に規制をしてくれたほうが楽だと思いますよ。OIMLは勧告を出していますし、ヨーロッパでは自動はかりを規制しています。OIMLでは、技術基準や検査方法を定めています。そうすると国際整合性がとれた規制が日本にもあったほうが、ヨーロッパでも日本でも同じ基準に則ったものを開発するわけですから、メーカーとしては開発コストも下がるわけです。

 自動はかりを規制するかどうかというのは、実は現行の計量法を作るときにも議論になっています。またMAA協定との絡みで、パッケージ商品の計量方法の問題があります。それもすべて自動はかりが担うわけです。

 そういう意味では、これは国際的な流れでもあります。国際間の取引というものを考えても、整合のとれた技術基準や検査方法に基づいて、やっていきたいということがあるわけです。国際整合がとれたほうが、ワンストップテスティングになるわけですからメーカーは楽なんです。

あれははかりではなく自動機械です

大森健次 私は計量は、静止計量するものだと思っていますので、このような動作が入ってくるもの、移動中にはかるものは、はかりとはいえないので検定の対象にしても意味がないと思う。あれははかりではなく自動機械です。

国民が望んでいるのは計量結果の正確性の担保です

森川正彦 日本の計量法は、実質的には器物の正確性を担保することしかいってないんです。しかし計量の安全はこれだけでは絶対に確保されません。そのためには計量結果の正確性を担保しなくてはなりません。この2つは意味が違います。

 国民が望んでいるのは、後者すなわち計量結果の正確性の担保です。法律ではこっちを要求すべきです。器物の管理も2年に1回の検査ですけれどもね。計量結果の正確性を制度的に保証する方法は何かといいますと、今の計量法にない部分を作らなければなりません。

 ですから、私は器物の規制対象は減らしてもよいと思いますが、すべての計量器は計量結果の正確性を保証するようにしなければなりません。これを義務化して、たとえば報告であるとか管理結果の公表であるとか、の規制をかけていけば社会的なニーズは担保できます。

計量器の規制をいくら強化しても計量結果の正確性が担保できなければ意味がない

岩下貞治 確かに、計量器の規制をいくら強化しても、計量結果の正確性が担保できなければ意味がないという点は、その通りだと思います。

計量器のうち1%程度が法的な意味での計量法の検定や定期検査などが実施されているに過ぎないのです

横田俊英 はかりを検査することで計量の安全が確保されているという現実があることも事実です。技術的観点からは適正計量の実現はどのような方法でもできると思います。しかし社会が、一般がそれを確実に行うということになると方法は限定されるのではないでしょうか。はかりに関する知識やその取りか使いは、上手にやっているところは多いですが、とんでもない滅茶苦茶な状況もあるのですから。良い状況に合わせて規制すると、悪い状況はそのままになり、ここから適正計量の実現がほころびてきて結果として消費者利益を阻害することになります。

 取引証明に関する計量に関して、はかりを確実に働かせるための仕組みとして検定とか検査制度が設けられているのです。このような仕組みなしで計量器が確実に稼働することが理想なのです。実際には規制対象の計量器は大きく減っており、はかりなどごく一部の計量器がこのような特別な計量器として検定検査の対象になっているのです。全部の計量器に検定検査の規制が掛かっているいるわけではないことをご存じのことでしょうが、改めて確認しておくべきです。。世の中にはかるための器具・機械・装置ということでの計量器のうち1%程度が法的な意味での計量法の検定や定期検査などが実施されているに過ぎないのです。

 こうした仕事をするために計量検定所や計量検査所など地方公共団体の計量行政機関が設けられて計量の安全に関わる仕事をしており、これはヨーロッパでは普遍的に行われておることです。検定などを行う計量制度は社会制度としてしっかりと定着しているのです。

 それが日本では規制緩和の大合唱が繰り替えされてきたために計量行政関係者はこの圧力におされて弱気になり弱腰になりつつあり、緩和要求があると国民のための計量の安全確保のために守ってきた城を明け渡す状態がつづいています。このようなことで10年が経過したら日本の計量行政機関はすべてなくなってしまいます。計量行政機関がなくなってから計量の安全のことが問題になったら対応する行政組織がありませんから収集できなくなります。経済産業省は必要があって作られてきた日本の計量制度を潰すことになるようなことはしないようにして欲しい。慎重の上にも慎重にということで、いじった結果そうなるかということがわからない分野には手を付けないことを望みたいのです。

 計量制度は計量の安全を守る制度ですし、それ自体重要な社会基盤であり、社会の安心制度です。ドイツなど欧州の諸国が計量制度をしっかりと維持していることに日本は大いに学ばなくてはならないと思います。

 軽薄な流行や雰囲気に飲まれてこれまで築き上げてきた日本の計量制度を投げ捨てることがあってはなりません。計量制度が機関委任事務から自治事務に変更されて以降、地方公共団体は職員に支払う給料は何とか確保しますが、計量制度のまかないの費用を確保することを放棄する傾向があります。自治体の収入確保に自在性がないことや、慢性的な財源不足がつづいているなかで自治体の計量行政それ自体が崩壊傾向にあります。

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