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日本計量新報 2015年11月8日 (3080号)

知識が不足すると認識を誤り考えることが当を得ない

新聞、テレビなどマスコミ報道のニュース内容はどこから出てくるか。記者が張り付いている記者クラブや折々に発表される各方面の資料などからであり、そこにはパイプのような管が通っていて、そこからニュースが出てくる。そうしたことだからパイプが敷設されていないところに発生している事件やニュースに値する情報はマスコミに登場することは希である。日本のマスコミは専門分野を扱う専門誌紙が発達しているから、技術や文化や芸術や経済ほかの情報を得ようとすればそれに出会うことができる。
 テレビ報道に顕著なのが他社が報道した内容をそのまま真似て取材して同じように報道することだ。民放が取り扱ったことをNHKが恥ずかしげもなく報道する。民放の人気者を引っ張ってきて番組をつくると、一番たやすく視聴率をとることができるので、このところNHKはそれをする。テレビ放送はどうでもよい同じことをNHKも民放も取り扱っていて、そのニュースや情報の数は指折って数えられる程度である。10か20か100ほどの数のニュースによって世のなかの動きがわかるか。わかるはずがない。そのようなマスコミ報道の枠によって物事を考えている日本の多くの人々は無知の世界を漂っていると見るのは皮相だろうか。
 テニスの錦織圭(にしこりけい)が活躍すると日本のテレビとマスコミは大騒ぎする。世界ランキング自己最高位はシングルス4位であったことがあり、5位あたりにいる錦織圭のことを取り上げると視聴率は上がる。テニスの専門家の目は錦織圭への視線はあまりなく、ランキング上位のノバック・ジョコビッチ、アンディ・マレー、ロジャー・フェデラーなどの動きを中心に追いかけている。錦織圭のランキング4位、5位は立派なことであっても力の本物さは認められていない。日本のマスコミの騒ぎに惑わされない冷静な眼を持つべきであろう。  
 報道されるニュースが出てくる元が中央官庁、地方では県庁などであり、それによって形作られるニュースと情報の内容は戦中の日本の大本営発表に似ている。ニュースや情報は人の知識となって物事を考える基礎になる。何を見て聞いたら世のなかがよく見えるようになるか。知るべき事柄をしっかりと押さえて知識をつくり、そして考えることが大事だ。知るべきことを知らずに物事を考えると誤った結論が出てくる。知識を与えずに誤った考えをする人を放っておく奴がおり、悪いのになると誤った知識を与えて自分に都合がよい結果を得ようとする。

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