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日本計量新報 2009年5月31日 (2775号)

ハカリ(計量器)は整備することで機能を発揮する機械である

「ハカリ(はかり・質量計)のメンテナンス・整備事業をしていたから企業経営が曲がりなりにも成り立っている」と率直に述べるハカリ販売事業者がいる。ハカリ事業は製造事業と販売事業が分離していて、この中間として製造事業者が修理事業を行ったり、修理専門の事業者がいたりしている。

ハカリの販売は、販売専業として卸事業その他を行ってきたが、売ったハカリの販売先からメンテナンスを依頼され、それに応えているうちにハカリのメンテナンスや整備事業などが主業務になった事業者も少なくない。造って、売って、メンテナンスもするといったすべてを実施する事業者がいることも事実であり、そうした事業者の一つはハカリの総合メーカーであり、もう一つはハカリの地場産事業者である。

一般の人は、ハカリというと簡便な体重計や台所用のハカリを想像するのが普通である。しかし、製造金額で分類すると、工場など産業の場面で生産設備と結び合わされた産業用ハカリが全体の半分ほどになっている。生産金額でハカリをみるとハカリとは産業設備であり、産業用ハカリであるということになる。

その産業用ハカリは整備すること、メンテナンスすることで機能を発揮する。整備・メンテナンスしないハカリは死んでいるのと同じで、ハカリとして機能しないといってよい。自動車は車検や6カ月点検、12カ月点検を通じて壊れる前に補修をしているので、故障の憂き目にあわずに使うことができる。ハカリも同じことである。検定に合格してお店で取引のために使用されているハカリに2年に1度の「定期検査」を求めてこれを実施しているのは、メンテナンスの一種の強制である。そうしなければハカリは安心して使えない。故障によって重いものを軽く計り、お店に損を与えることの予防措置である。

ハカリを使う側から見ると、消費者に損害を与えないための社会的な保障がハカリの定期検査である。  機械式の精密天びんは「基準天びん」と呼ばれて分銅を検査するために用いられている。この機械式の精密天びんは、ナイフエッジを研磨するなど整備・メンテナンスすることで製造時の機能をほぼ完全に回復することができる優れた機械であるが、使用されることが少なくなった。

整備・メンテナンスすることでハカリは機能するのであり、とくに製造分野で使用されるハカリは整備・メンテナンスする機械であることを理解しなくてはならない。

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