計量新報記事計量計測データバンク今日の計量計測情報ニュース会社概要出版図書案内リンク

「スポーツ経営」で飛躍めざす

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.2

日本計量新報 2012年2月19日 (2905号)2面掲載

国際化を進める

−−そういう状況に対応する大和製衡の戦略をお聞かせください。

国内景気に左右されない企業に

このような大きな経済の動きのなかで、企業が生き残るにはどうしなくてはならないのか。まず、国内のユーザーの景気に左右されてしまうメーカーは、手の打ちようがないです。装置メーカーとしての昔の大和製衡はこれでした。
 現在の大和製衡は国際化を重視していますが、国際化が大事だということは、国際化すれば国内の景気に左右されないということです。引き続き国際化を進めていきます。

東南アジア市場へ早めに手を打つ

国際化のカギは、リスク分散と発展途上国の成長する市場に対して早めに手を打つことです。BRICsや東南アジアなど新興国の市場に対し早めに手を打つことは、リスク分散にもつながるわけです。
 経済の大きな波の説明でも述べましたが、ヨーロッパ経済は成熟した市場です。大きな市場ではありますが、人口はあまり増えていません。
 それに対して、BRICsや東南アジアなどは人口が多いし、まだまだ増加しています。ということは、市場がどんどん発展、拡大を続けています。この市場に対して、大局的観点から手を打っておくことが重要です。

 

中国、韓国ではうまくいっている

大和製衡は、中国市場、韓国市場には早くから参入しており、実績を上げています。インドでのビジネスも拡大しています。

新しい成長分野へ力入れる

市場は常に変化しています。たとえば、アメリカでは健康志向の高まりから、従来のポテトチップスに変わって、低カロリーのアップル・スライスが普及してきています。組み合わせはかりの新たなマーケットが誕生したわけです。
 これは一例ですが、こういう新しい成長分野へきちんと手を打っているかどうかが、ボディーブローのように効いてきますので、先手を打ってじっくり進めていきます。

 

計量単位を守り普及させる

また、大和製衡の基本理念として、計量単位を守り普及させるということがあります。東日本大震災での災害地域が、早く元の状態に戻り、さらに復興・発展していくために計量器が果たす役割は重要ですから、その面で果たせる役割をきちんとやっていきます。
 大和製衡は、すべての分野の質量計を製造している唯一の企業ですから、計量単位を守り普及させるという使命を強く自覚しており、推進していきます。

現地生産、現地消費が基本

大和製衡は、中国と韓国での海外生産を進めていますが、海外の生産拠点は第二の日本大和を創るという観点で進めています。それは、現地消費を前提とした現地生産ということです。つまり、生産コストの低減のみを目的とした外注工場にはしないということです。そして、軌道に乗れば、第2段階として本社から外注として生産の上乗せをしていきます。

第二の国際化

この数十年で輸出比率および食品比率を約50%まで高めてきました。今後すべての計量器に技術革新を起こして、国際化をより進展させていきます。私はこれを「第二の国際化」と言っています。

ものづくりは技術が基本

−−川西社長は、ものづくりの重要性を強調されていますね。

世界ナンバーワンの製品創り

われわれは計量計測器のメーカーですから、革新的技術によるものづくりが何より大事だと考えています。ただものを作ればよいと考えているのではなく、世界ナンバーワンの製品創りということを目標にしています。

経営者が先頭に立つ

それには経営者が先頭に立って、牽引していかなければなりません。社長自らものつくりの先頭に立って経営の安定のため取り組みを継続していきます。そして、考え方の一貫性が大切です。

価格競争に巻き込まれるとダメ

価格競争に巻き込まれてしまうと経済的には大変なことになります。電気関係の製品が皆その道をたどっていますね。テレビなどの家電、電卓、コンピュータなど、新製品が出るたびに、性能は向上していながら価格はどんどん下がっていきました。

カギは「技術」

このスパイラルから抜け出す道は「技術」です。電子技術はすぐに普遍化、陳腐化しますから、特に、誰にもマネできないメカ技術をしっかり見つけていかないとダメだと思います。

能力も精度も両方上げる

技術革新でいうと、通常、計量計測機器においては、能力と精度は相反する関係にあります。処理能力を上げると測定精度は落ちるわけです。しかし、私はそうは考えていません。能力も精度も上げることは可能です。
 定量はかりで、ラインの能力がこれまでの2倍になれば、2ラインを1ライン化することができます。土地・建物、エネルギーコスト、人件費を半減できるわけですから、環境効果も含めて期待できます。

革新の余地はある

大和製衡はものづくりの会社ですから、ソフトウェアの開発も含めて、全製品の技術開発を進めていきます。
 質量計の分野では、これまで革新的な技術の変化というのは3つしかありません。それは(1)料金はかり、(2)組み合わせはかり、(3)体組成計です。ということは、質量計に関しては、まだまだ技術革新の余地があるということです。

安定経営が重要

われわれはものづくりの会社ですから、この基本を握って離さず、財テクなど、本業以外には手を出しません。
 経営の安定ということを考えるとファイナンスの問題は重要です。私は社長就任以来、借入金の大幅な削減と資産の無担保化を進めてきました。世の中に安全と安心を与えるには、安定経営が重要です。

狙った獲物は外さない

−−仕事にも趣味にも全力で取り組んでいますね。

人生の充実が求められる

私は、国際企業としてのオーナーの人格では、人生の充実が求められると考えています。  先ほどお話ししたように、社長として製品開発など社業の先頭に立つのはもちろんですが、私生活の充実も心がけており、自分の人生に悔いを残さないように心がけています。
 これは、社員でも同じであり、会社の仕事だけではダメで、人生のもう半分は私生活、家庭生活であるわけですから、この両方を充実させることで、生き生きとした人生を送ってもらいたいと思っています。私はその手本になりたいと思っています。

乗馬も音楽もプロ級

私は、乗馬と音楽(サックス演奏)を、60歳を過ぎてから再開しました。  再開したからには全力投球です。両方ともプロと肩を並べるレベルです。スポーツや音楽に関わるのは、高いロマンを持ち、情熱を維持するためです。
 「定年後は悠々自適」にという言葉を聞きますが、悠々自適などということは、墓場行きの待合場所です。現在は寿命も延びており、定年になってもまだ20年以上生きていかなくてはなりません。それが悠々自適では寂しい限りです。

一時一時を大切に

一時一時を大切にし、毎日を充実させて、人生を大事に生きていきたいと考えています。「狙った獲物は外さない」というのが私の座右の銘です。今年69歳になりますが、日本体育協会の公認指導員の資格を取るつもりです。
 乗馬では、これまで国体に出場して、1位以外の入賞はすべて果たしています。国体に出場することそのものが大変ですが、今年も出場して唯一手にしていない優勝を手にすることを狙っています。
−−ありがとうございました。 (おわり)

 

≪前へ[ 1 2 ]

カウンター

記事目次インタビュートップ
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.