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安全・安心輸送のために
トルク値管理は重大事故を防止する
タイヤ立ち楽事故発生に歯止め―ホイールの締め付けにはトルク機器を使用する

 

 「安心・安全輸送のため」特集の第1回は、貨物輸送車輌の整備面で大きな役割を担っているトルク計測機器・工具(レンチ、ドライバー、テスタなど)を取り上げる。過去にトラックやダンプカーなどから大きなタイヤがはずれ、重大事故が発生したことを踏まえ、国土交通省(以下、国交省)や関係団体、事業者が協力した結果、現在では車種ごとに規定されたトルク値を、専用の工具であるトルクレンチで科学的に管理する手法が、法的に整備されている。タイヤ脱落事故発生状況は、2004年度(平成16年度)をピークに年々減り続けていたが、2011年度(平成23年度)を底に年々増加傾向にあり、2018年度(平成30年度)には、ピークに迫る81件(うち人身事故は3件)になった。国交省では2019年(令和元年)11月に「大型車の車輪脱落事故防止のための『令和元年度緊急対策』を関係機関、団体に通達し実施の徹底を呼びかけた。

 

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事故件数がピークに迫り、国土交通省は令和元年度緊急対策を通達

 

 国土交通省調べの年度別タイヤ脱落事故件数(別表参照)は、過去15年間で、2004年度(平成16年度)の87件(うち人身事故は7件)をピークに減少傾向が続いていたが、2011年度(平成23年度)の事故件数11件(うち人身事故は0件)を底に、2012年度(平成24年度)の事故件数15件(うち人身事故は1件)と増加に転じ、2013年度(平成25年度)も前年度比4件増の19件(うち人身事故は2件)と増加しており、2014年度(平成26年度)の事故件数45件(うち人身事故は4件)と大幅に増え、2015年度(平成27年度)の事故件数41件(うち人身事故は1件)は前年度比で減るが、2016年度(平成28年度)の事故件数56件(うち人身事故は3件)からまた増え、2017年度(平成29年度)の事故件数67件(うち人身事故は2件)、2018年度(平成30年度)の事故件数81件(うち人身事故は3件)と3年連続で増加し、憂慮すべき状況となっている。

 2018年度(平成30年度)に発生した車輪脱落事故81件のうち、月別の発生状況を見ると201811月に14件、12月に24件、20191月に11件、2月に5件と、特に冬から初春の時期に発生が集中している。また、地域別(使用の本拠の位置別)の発生状況を見ると、積雪地域の発生率が高い傾向が見られる。国交省では、事故発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏用タイヤから冬用タイヤに交換する際にホイール・ボルトとナットの締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があり、ボルトの疲労破壊が進行して数カ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生することが考えられている。

 

規定トルクで車輪の脱着作業が重要

 

 国交省では、大型車の使用者に対して、規定トルクでのホイール・ナット締め付けを確実におこなうなど、ホイールの脱着作業を正しく実施することをはじめ、適切な車両管理の徹底を呼び掛けている。また、日常点検をはじめとした定期点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホイール・ボルトの折損などの異常の有無を重点的に点検するよう訴えている。

 

トルク機器での管理

 

 適正なトルク値がある。この規定値を把握していないと、締め付けすぎてボルトやナット類を痛めたり、逆に締め付け不足によって、部品の脱落を発生させたりしている。結果、重大事故につながったり、製品の不良を生む。

数値で管理が大事

 

 自動車や電車、飛行機等の整備工場における現場では、日常的に使われている各種のトルク機器は、数値で管理することで、勘に頼ることなく、締め付け忘れや個人差もない安全な生産と整備作業ができる。

 

車輪脱落事故防止のため4つのポイント



 

 国交省の通達をうけ、日本自動車工業会、全日本トラック協会、 日本バス協会などの関係団体は、「落ちない車輪キャンペーン『大型車の車輪脱落事故0(ゼロ)へ』」をじっしし、車輪脱落事故防止のため4つのポイントとして、

1.ホイール・ナットの規定トルクでの確実な締付け

2.タイヤ交換後、50〜100km走行後の増締めの実施

3.日常(運行前)点検における確認

4.ホイールに適合したボルト及びナットの使用

として、チラシ、ポスター、ホームページ等で周知した。

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