計量新報記事計量計測データバンク会社概要出版図書案内
2013年11月  3日(2986号)  10日(2987号)  17日(2988号)  24日(2989号)
社説TOP

日本計量新報 2013年11月3日 (2986号)

計量協会ブロック会議の議題の低調と周囲の諸事情

計量の世界にある計量協会などが広域の地域で集まって組織するブロック会議があり、夏と秋に参加者100名を超える規模で開かれる。この会議は計量協会や計量士会に集まるさまざまな分野の人々との交流をすること、そして親睦を深めることが一つの目的である。また協会事業である、県民などの計量意識の啓発のこと、計量の安全にかかわって計量器の検査のこと、関連の法令の整備のことなどを議論し、必要であれば中央官庁に善処を求めて働きかけることをもう一つの目的にして開かれてきた。
 この会合と連動してそのブロックの地方公共団体の行政会議が開かれていた。この会議が日時の面で連動しなくなり、また計量協会会議の来賓として出席していた計量検定所などの職員が欠席する風潮が拡大している。地方公共団体はあいさつの枕詞に、検定所、検査所と協会は連携して活動している関係だ、というのに、こうした会議に参加しなくなったその理由を問うてもまともな答えは期待できない。計量行政機関のというよりも地方公共団体の計量協会との心を開いた連携が薄れてきているのではないか。悪い意味での公務員の事なかれ主義と意欲低下の進行の末に駄目サラリーマン現象が顕著に出現している。
 中央官庁と地方公共団体の職員が大勢集まって議論する場における発言の内容などが20年前、30年前と対比すると低調になっているのは計量行政が円滑に実施されているからではなく、計量行政のうちハカリの定期検査などを全国一律にまんべんなく実施するということなどの問題が低下しているからであると思われる。自治体ごとに行政の課題に軽重をおくのはよいとしても、実質上は機関委任事務である全国統一して実施しなくてはならないハカリの定期検査をはじめとする計量行政が不統一になり、その不統一のなかに計量行政のサボタージュが出現している。かつて東北地方のある県の特定市はハカリの定期検査を何年も実施しないでいたことがあった。専門の職員の意識が変わってしまったか、予算をとることを忘れたためずっとそのままになってしまったか、あるいは職員の補充がなくなったためなのか、事実としてハカリの定期検査が実施されないでいた。
 地域の会議で問題らしい問題が議論されないで、またそうした議論はない方がよいと思って、喜ぶようなことがあるのは悲しいことだ。計量協会に集う善良な計量器事業者、計量士、ほかの人々が心の内底に感じていることに関係したことが議事になり、腹を割った議論がなされることによって、その後の懇親会のお酒もおいしくなるというものであろう。計量協会に占める計量士の存在が大きくなっており、またハカリの定期検査機関に指定されている協会が多いということから、この方面のことが議題として取り上げられるのは自然である。

※日本計量新報の購読、見本誌の請求はこちら


記事目次社説TOP
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.