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日本計量新報 2013年10月6日 (2982号)

目標や計画に強い思いをもつことは実現への近道だ

人はある目標や計画をなしとげたいという思いを抱いたとしても、思いをいつでもしっかりと胸に刻んでいることは難しい。目標や計画を強く思っている人は、目標や計画を実現するのに一番近い人だ。目標や計画が人から与えられると、思ったつもりになっても実際には思っていない。会社などの組織が目標や計画を全員で確認し、それをいつでもみつめ、実現の方法を詳しく決めて行動していくと、達成度合いは高まる。ある企業では目標や計画や政策を決める会議を全員参加でおこない、計画を成功させるために個々が力をふりしぼり、組織が連携して行動するしくみをつくって成功している。
 人の経済行動は思ったことだけが実現する。思わなければ何もできない、というと馬鹿げていると笑う人が多い。思わなければ何もできないと松下幸之助氏が述べて稲盛和夫氏がそれに賛同する。思わなければ何もできないのが人間であるのに、うっかりすると何も思わない、何も考えないで行動していることがある。いつもする業務があって、毎日それをしているとそれが仕事だと思ってしまう。それですめばよいが、わずかずつ風呂の温度があがって茹でガエルになるのと同じことがおきてしまう。考えない人や考えない組織は茹でガエルになる。考える人は目標を定め、その実現のための計画を練って、それを明示して行動する。計画や目標を書きださない人は、計画も目標もないのと同じで、頭脳には何も描き出せない。ここでは目標を書きだすことの重要さを強調したい。
 会社などの組織ではいくつかの部署があって、所属する人の任務と役割と目標などが決まる。これが崩れている組織があるから要注意だ。練られた計画と明確な目標を決めて、自覚して行動している組織は強い。しかし、成功があったあとは組織の形態もそのままに同じ行動をつづける。ここには考えることを止めた組織と考えることを止めた人々が出現する。思わなくなった、考えなくなった組織は停滞する。会議をして議論をして、目標や計画を立案して、実行計画の詳細を決めていかないと、人は思わない状態になってしまう。ただ、どんなときにも思わない、思えない人がいる。この人には日々の目標と行動計画を示して、結果を日々確認して、明日の行動をまた指示することを繰り返すしかない。いま流行のマニュアルがそれである。行動指針と連動する手順書であろうか。思っている人でも同じようにするのがよいかも知れない。そうすると変化に対応できないこともある。業務実行に適正を欠く人がいる。何らかの要因で気力が湧かなくなったり、業務の重みに耐えられないことがある。それでも組織は目標を実現しなければならないから、不具合な要素を乗り越える状態をつくる。
 経済は人が思い描いてつくりだしたものである。技術をやしなってモノをつくる能力を備えて、そのモノづくりなどによっていくつもの産業を創出してきた。経済と社会は人が思い描いたことに近い形で実現する。金融の組織がつくられ、役所の組織がつくられた。経済と金融の事情につうじた人は「ああすれば、こうなる」と説く。役所の人も同じようなことをいう。「ああすれば、こうなる」がそのまま実現すれば成功する。企業も「ああすれば、こうなる」と計画して行動する。「ああすれば、こうなる」式の計画や行動がうまくいかなくなることがある。予測できないことがおこるからである。経済の大変動期、時代の変わり目などがそれである。不測の事態を小さくして、不測の事態をのりこえる方策を練って行動することになる。

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