健康計量器
計量計測データバンク機種別特集トップ 温度計特集
温度計を買うなら

食中毒を防ぐデジタル温度計特集 2009

特集記事 製品紹介

温度管理が食中毒予防のカギ
細菌性食中毒は夏季がピーク

2008年の1年間で報告された食中毒は1369件(患者数24303人、うち死亡者4人)。あくまで病院で食中毒と診断された人の件数であり、実際には遥かに多くの人が食中毒にかかっていると考えられている。 前年と比較すると患者数は減少しているものの、事件数は増加しており、食中毒予防の意識が十分には浸透していないことを感じさせる。

5月〜10月は細菌性食中毒のピーク

2008年に食中毒と診断された人のうち約5割はウイルス、約4割は細菌が原因だった。月別の発生件数を見てみると、ウイルスによる食中毒は、圧倒的に1月が多いが、細菌性食中毒のピークは温・湿度が高く細菌が増殖しやすい5月〜10月。まさに今の時期に注意が必要である。
 食中毒原因となる細菌としては、カンピロバクター、ぶどう球菌、サルモネラ属菌など、少ない菌数でも発症可能なものが、上位を占めている。

細菌性食中毒予防の原則

細菌性食中毒の予防の三大原則は、「細菌は付けない、増やさない、死滅させる」。食中毒菌を食品に付着させない清潔な調理環境作り、細菌を増やさない迅速な時間管理、細菌を死滅させる適切な温度管理が重要である。

清潔な調理環境

調理施設、調理者、調理器具等は、常に清潔に保つ。掃除や手洗いはもちろん、食器、まな板、包丁、ふきん等の調理器具の洗浄消毒を徹底する。また、調理者の健康管理にも充分な注意が必要。

迅速な時間管理

分裂速度が最も短い菌の一つである腸炎ビブリオは、最適条件下では7分以内に2倍に増殖し、2時間ほどで食中毒を起こすのに充分な菌数に達してしまう。調理から食事までの時間は、できる限り短くするよう心掛ける。また、食品を冷却することは細菌の増殖を停止または抑制する効果があるが、その際も迅速な対応が必要。25〜42<CODE NUMTYPE=UG NUM=5BFF>の温度帯では、細菌は最も繁殖しやすい。

適切な温度管理

食材を加熱する際は、細菌性食中毒の予防には75℃(食材の中心温度)で1分以上、ノロウイルスによる食中毒の予防には、85℃で1分以上の加熱が望ましい。また、保温する場合は、中心温度を65℃に保つ。
 一度加熱したものでも、一旦冷ましたものは必ず75℃まで再加熱すること。死滅せずに潜んでいた細菌が再繁殖している可能性がある。
 冷たい食品は10℃以下に。保存の際は、冷蔵庫で10<℃以下、冷凍庫でマイナス15℃以下を目安とする。

HACCPに基づいた食品衛生管理を

食品衛生管理は、HACCPに基づいて行う。
 従来、食品の安全性確保は、主に最終製品の抜き取り検査により行われてきた。これに対してHACCP方式は、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程においてあらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点を継続的に監視・記録し、異常が認められた場合はすぐに対策を取って解決する。抜き取り検査だけでは排除しきれなかった食中毒菌の付いた食物の出荷を、未然に防ぐことができる。

正確な温度管理にはデジタル温度計が必須

 細菌性食中毒防止のためには正確な温度管理が必須。温度管理に便利な温度計等を紹介する。

■食品用中心温度計
 食品の温度は、表面では正確に測定できない。食品用中心温度計は、測定したい食品に金属センサを直接差し込み、中心の温度を測ることができる。
 煮物などを測定する際は、最も熱が通りにくい食材を選ぶと良い。

■放射温度計
 赤外線センサで温度を計測する。中心温度計と異なり表面温度しか計測できないが、測定対象物に触れることなく衛生的に測定できる点、高速で温度を測定できる点が優れている。

■サーモスタット
 バイメタルの湾曲などを利用した温度調節器で、機器の放つ温度を一定に保つ。
 冷蔵庫や冷凍庫、フライヤーに付いているサーモスタットは、温度表示が正しく作動しているか、正確な温度計で定期的に確認する必要がある。

■ボタン型の温度データロガー
 温度データロガーは、温度データを計測記録・保存する計器。ボタン型のものは、ボタン電池サイズの中に温度センサー、メモリー機能、電池が内蔵されており、配線が不要。食品の調理・保存過程で、細菌が増殖しやすい温度帯の環境に置かれていないか確認するときに便利である。

減らない食中毒事故

今年に入ってからも、ホテルや飲食店、学生寮や幼稚園、一般家庭など、様々な場面での食中毒事例が報告されている。
 2009年6月30日には苫小牧市のホテルで「おにぎり弁当」を食べた11人が黄色ブドウ球菌による食中毒を発症。苫小牧保健所はホテルの調理場を7月4日から7日まで営業停止処分にした。
 7月3日には、秋田市の飲食店で食事をした4人が、カンピロバクターによる食中毒になった。秋田市保健所が調べたところ、店員の一人から同菌が検出された。発症者はいずれも店で鶏レバーを食べており、店側は加熱用の鶏レバーを、湯通しをした程度の生に近い状態で提供していた。

 

 

 

Since 15 Mar 2006/Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.