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日本計量新報 2017年6月25日 (3154号)

計量法と計量行政を説明する計量行政室のホームページが素晴らしい

電子メールが使えなくなると業務が停止する。電話もインターネット回線につながっている。テレビもそうかもしれない。電信回線がインターネット回線に替わった。携帯電話が個人電話の主電話になった。携帯電話を使わず、パソコンも持たず、インターネットの情報網と縁を持たないで暮らしている人がいる。

計量計測情報のデータベースとして機能させたい意図のもとに『計量計測データバンク』の計量計測に関係する団体と役所の一覧を整備した。気付いたことが幾つかある。経済産業省計量行政室は計量行政の勘所を抑えた文書をたくさん掲載している。地方公共団体の新任職員は行政室のホームページを閲覧することによって業務内容を確認できる。計量器事業者も計量の業務をする人も知っていたことを再度確かめ忘れていたことを思い出す。計量行政審議会が開かれていたこともあって、計量行政の仕組みと社会にはたす役割そして実務などを詳しく説明したのかもしれない。内容をさらに豊かにすると便利である。

主な計量行政は機関委任事務から自治事務に切り替えられた。計量法が定めている検定と検査ほかの業務は自治事務のもとであっても計量法のとおりに実施することが求められる。それは地方公共団体の義務でもある。計量法を知らないと義務を果たそうとする意識が消える。「計量法を国民に知らせる」ことを計量記念日事業の目標とした地方公共団体の職員がいた。ほどよい正確さの実現、計量におけるほどよさ感の醸成が大事である。

「確かさ」のことを「不確かさ」と表現している。「不確かさ」という言葉を使ったのでは、ほとんどの人がその意味を理解できない。使っている人の中には「不確かさ」とはより精密な測定だと思っている人がいるかも知れない。あるいはその印象を与えていることもある。物事の性質に応じた適正な計量としてのほどほどの正確さの実現こそが求められるのが計量である。国土交通省の技術者は「確からしさ」という言葉を使っていた。

時代が変わると物事の内容が変わることがある。「計量法を知らせる」対象は国民ではなく計量行政機関とその職員になった。もう1つは地方公共団体という行政機関である。「計量思想の普及啓発」を組織の目標として定款に書き込んでいる地方計量協会の事務職員と協会員もその対象になる。足元があやしくなるのは年老いた人々である。計量行政機関なども同じであるから、この方面の組織は老化現象をきたしている。

地方公共団体の計量行政組織ではホームページで計量行政を説明できないところが少なくない。説明があっても十全ではない。形だけの説明では計量行政の実施はおぼつかない。経済産業省計量行政室の計量法と計量行政の説明と連携するだけで見違えるほどに内容が豊かになり理解も行き届く。地方の計量協会など計量関係団体も同じである。事務局を担当する優秀な人でもあるにもかかわらずインターネットやパソコンと無縁の状態に自分を隔離しているためにホームページをつくっていないところがある。事務局員がいないのと同じ状態の地方計量協会もホームページをつくっていない。形だけのホームページはあっても2年も新情報がでないことなどは普通である。会員や国民に向けての計量意識の啓発という観念を持たない事務局員のもとではホームページは更新されない。

都道府県とはいっても人口が100万人未満の県がある。総務省統計局の人口推計(2016101日現在)によると、香川、和歌山、山梨、佐賀、福井、徳島、高知、島根、鳥取の各県がそうだ。香川県は97万人、鳥取県は57万人である。鳥取県の10倍になる人口500万人以上の都府県は次のとおり。東京都(1362万人)、神奈川県(915万人)、大阪府(883万人)、愛知県(751万人)、埼玉県(729万人)、千葉県(624万人)、兵庫県(552万人)、北海道(535万人)、福岡県(510万人)。

日本では都道府県とはいっても人口構成の面からは一律に論じられない。言語と文化ということでは米国などとは違って一つの言語、一つの文化といってよい。人口の少ない都道府県への支援の観念を持つことが大きな都府県に求められる。行政の広域化ということを道州制ということならばよいけれども、同じ言語と同じ文化の日本において行政の独自性を促進する道州制を敷くことになると日本の統一性が失われるようになりはしないか。減り続ける人口を自治体が取り合いをすることは醜い。

都道府県と計量協会が連携して日本の適正な計量の実施のために果たす使命は大きい。適正な計量と幅広い分野での計測の実行は産業と経済と文化の発展につながる。

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