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日本計量新報 2017年5月28日 (3150号)

何となく膨らんでいる日本の計量器産業

日本の計量計測機器産業の総生産高はいかほどか。5000億円から1兆円ほどのあいだにあるようだ。工業会統計では5000億円であるが、医療分野ほかの生産額はつかみにくいし、校正や保守整備分野の費用は自動車産業並みの構成比をもつ。工業会に加入しない計量計測機器の事業者が加入者の何倍もある。

日本の総生産であるGDPはおおよそ500兆円である。名目GDP、実質GDPUSドルとの対比の名目GDP、対USドルとの購買力平価GDPといったことがあり、日本の1人当たりのGDPといった見方もある。そのようなことで伸びているか縮んでいるかわかりくい国内総生産である。

計量計測機器産業における生産と出荷数量が多い機種は一般の人が使う計量器であり、モノサシ、巻尺、体温計、寒暖計、血圧計、歩数計、簡易体重計、台所用ハカリなどがそれであり、全生産数量の8割には達していそうである。生産金額の大きさでみていくと割合が大きいのは工場用の設備装置と一体になった計量器である。プロセス計量器とか計装といった言葉も使われるこれらの計量器の全生産額に占める比率は5割を超えていそうだ。ハカリ産業の場合には工業用ハカリとして分類されている機種が生産金額割合の56%ほどある。関連した工業用のハカリを含めると6割を超えている。工業用ハカリの分野には保守整備の付帯事業が付く。

工場用の設備装置と一体になった計量器は生産財である。計量計測機器産業とハカリ産業は生産財産業であるととらえることができる。生産数量としてみると消費財の分野であるから計量計測機器産業の理解の仕方にはむずかしさがある。計量計測機器産業は生産金額の比率では生産財であるから経済変動は工作機械や産業機械といった産業と連動する。分析機器産業の伸びは安定していて大きな産業分野になっている。分析機器産業もまた生産財産業といったおもむきがある。試験機分野では雰囲気とか気象とかいった条件下で試験する環境試験機が旧来の機械試験機を生産額で超えている。

日本の経済は伸びているのか縮んでいるのかわかりにくい。ある統計では長期の成長を持続している。いつかもそのような成長があったが、生活者には景気浮揚の実感はない。計量計測機器産業もなんとなく膨らんではいるが力感は乏しい。途上国の人々の所得は向上しているものの、低い所得が日本の人々の所得を下に引っ張るように作用しているからである。街のあちこちで途上国からきた人々が働いていて住んでいる姿は普通のことになった。こうしたことがらを含めて判断すると生活者には景気の浮揚感はもたらされない。

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