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日本計量新報 2015年3月29日 (3050号)

格好よくみえる弁護士の実態と計量士国家試験のこと

違法な高金利で借りた金の利息の取り戻しをしようと弁護士、司法書士、行政書士などがいる関係の事務所のテレビやラジオほかでの宣伝がやかましい。弁護士の業務がこのような形で世のなかに伝わるようになることで、弁護士への職業観が変わって、というよりもそれがあらわになることで、血迷って司法試験を受験する人が少なくなることは良いことだ。受験する本人よりもその親などが弁護士は格好いいという思いを引っ込めることになる。借金問題という、法律関係の業務を通じてここで働く人々の実態の一部をみせることになった。
 本を読み、覚え、試験に臨み、これを繰り返し多くの場合には30歳になるころに合格して晴れて司法修習所の門をくぐる。石川達三の『青春の蹉跌(さてつ)』は、司法試験を題材にして人の欲の葛藤をあつかった小説であるが、だからといって司法試験と弁護士などがそうだということではない。司法試験を人の栄光と名誉の象徴として取り扱った。物覚えのよい人は大学在学中にこの試験に受かって、同時に国家公務員上級試験にも合格して通産省(当時)のキャリア官僚になって計量課長の職を通過していった。それを見ていたある人は言った。余程の才覚があると思っているのでない人は難しい試験に無理して挑むなと。
 税務署に所定の年限勤務してある条件を満足すれば税理士の資格が与えられる。計量士も同じである。計量士の国家試験の問題は忘れてしまった数学と物理を何とか思い出せばさほど難しいことはない。約6割ほどの正解をすることが大体の合格条件であるが、各科目の合格基準があり、それを上まわる必要がある。その合格者の割合は2割を少し切るくらいだから、計量士国家試験は難しいということになっている。その昔は試験科目の単価ごとに合格して積み上げることができた。
 計量士国家試験は試験科目ごとにその内容をよく調べ、良く準備して、これに臨めば合格する。合格しないのはその準備が足りないからである。数学と物理は短大程度の内容であり、出題傾向ははっきりしているから、そのための準備を周到にすることである。後の問題は本を読めばわかる、といった暗記に属する内容になっている。数学と物理の問題がどうしても解けない人は無理などせずにこの国家試験をあきらめたらいい。それでもあきらめきれない人には計量研修センターに入所してここでみっちりと数カ月学ぶという方法がある。ここに入所して学ぶ間に数学と物理は思い出して、その内容になじむようになる。ここを修了して実務経験を積むことで計量士の資格が付与される。
 数学と物理を忘れていた人がほとんどビリで計量教習所(当時)に入所したら、修了時の成績は上位3割ほどになっていた事例がある。また難関大学に入学したものの大学で何を学ぶか、どのように生きようかと迷っていて、通学していなかった人が、計量の道で生きるんだ、と決めて計量教習所の門をくぐり、そこを修了するときには優等生となっていた。当時は優等の修了者は日本計量新報にその名が載ることが習わしになっていて、その報道をみた父親は大いに喜んだのであった。

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