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日本計量新報 2012年8月26日 (2930号)

比べる並べるなどの計るための7つの知恵を使おう

私たちがいつも使っている言葉「計る」の用語が示す意味を辞書で引こう。「計る」は計る・測る・量るということで三つを一緒にしており、ある基準をもとにして物の度合いを調べる、としている。和語の「はかる」は、漢字を用いると、計る、量る、測る、図る、謀る、諮るなどが連動して登場する。そのどれもがどこかで共通した意味が概念をもっているように思える。「計る」ことは何かを意図して謀り、諮ることでもあるからだ。和語がもつ用語の意味の広さは曖昧さでもあるので、日本人の精神世界に影響しているのかもしれない。
 計量計測の世界では、「はかる」ことは計測することであり、それは計量と呼ぶし、測定ともいう。どちらにしても「ある基準をもとにして物の度合いを調べる」ことである。「はかる」ことを、血圧をはかり、脈拍をはかり、血糖値をはかる場合でみてみると「物の度合いを調べること」をつうじて、基準値との比較によって健康状態を知ることができる。このことから「計ることは知ることである」ということができる。計測する場合には、何かを知ろうとしてそれをしているのだという意識を持つことが大事である。

 高田誠二氏はその著書ブルーバックス『計る・測る・量る』において、「はかる」ことの知恵として7つのことを示す。それは@比べる、A並べる、B釣り合わせる、Cうつす、D数える、E見る、見せる、F揃える、であるとする。身体に電流を流すとその量は脂肪分の割合と連動することから、身体の脂肪分を推し量ることがなされている。これは変換であり、「うつす」の概念であろうか。
 物事を知ろうとするときには高田誠二氏が示す7つの知恵をもちだしてみるとよい。計測機器の開発においても然りである。世に登場して計測関係者を悩ませている「不確かさ」とその概念は「比べる」ことであろうか。物事を複雑にしていかないで単純な状態にもどして考えることは大事である。

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