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日本計量新報 2010年7月18日 (2830号)

個々が情報発信した知識を計量思想の普及に役立てる

多くの職場において、ビジネスマンの日常業務は、電子メールのチェックで始まる。電子メール作成や送受信といった一連の作業は、通常パソコンで行う。商品の見積もりや説明文書など諸業務に関係する文書も、パソコンを操作して作成する。パソコンは勤め人にとって欠かせない道具になっている。
 もしパソコンがなくなったら、非常に困ることになる。特に、通信機能はパソコンの重要な機能となっており、この部分だけでも使えなくなると業務に大きな支障が生じる。取引先などからは、注文やアポイント、問い合わせなどのメールが次々と送られてくる。朝一番にパソコンの電子メールの機能が停止したことが判れば、大混乱である。
 同じように、インターネットを利用したwebの検索ができなければ、仕事の効率は限りなく低下する。インターネットを使えば一瞬でわかる事柄について、何倍もの時間を割いて一から調べなくてはならなくなる。この状態が1週間、1カ月も続いたら、一般的な仕事は機能停止になる。
 また、自社のWEBサイトを持っている会社は、こまめな更新を心がけなければならない。定期的に情報を発信していないと、WEBサイトによる会社PRは真っ当に機能しなくなる。

 いつの間にか、電子メール、ウェブサイト(インターネット)が、現代のあらゆる仕事に絶対に欠かせないほど普及した。インターネットが、ビジネスや社会運営に密着した情報基盤(情報インフラとして社会基盤の一つ)であるからだ。
 情報基盤を利用するための道具であるパソコンが故障したり、パソコンの一部の機能が停止すると、とたんに情報インフラの外で仕事をすることになる。現実的にそれは不可能なので、別のパソコンを使って補うことになる。
 個人が予備のパソコンを装備するのは比較的たやすいのに対して、企業などで予備を完備しておくのはたやすくはない。通信ラインや業務構造が複雑であるからだ。
 しかし、パソコンが使えなくなった場合の被害の大きさを考えれば、二重の安全構造にしておくことが大事である。これは間違っても大過なしということで、フェイルセーフ思想の実行だ。

 現代のビジネスが、電子メールやインターネットといった情報世界を介して動いていることを知ると、ビジネスする個人や企業は、自分たちが実施する諸業務をインターネットなどを通じて社会や世界に発信することがいかに大事であるかを確認できる。
 忙しそうに動き回っているように見えても、情報発信を少しも、あるい全くしない企業やビジネスする個人が少なくない。
 これらの人々が発信する情報を、世の中が求めているにもかかわらず、意識が不足するか、その能力がないために情報発信されない事例が多く存在するのは、何とももったいないことだ。
 企業および個人が行う情報発信とは、具体的には電子メールによる案内であったり、ウェブサイトへの情報掲載である。
 忙しく動き回った一日の最後の締めくくりとして、電子メールやウェブサイトを利用した宣伝、情報発信のため、もう一頑張りすることを怠ってはならない。

 「計量思想の普及啓発」とは、計量に関する考え方を国民一般がよりよい形で持つことを推進する運動である。
 インターネットが普及する以前には、計量思想の普及啓発は、ともすると計量記念日に駅頭や街頭でのビラまきに限定されがちであった。紙媒体のチラシや図書が及ぶ範囲は非常に狭い。
 これに対して、現在は、計量計測関係の企業や個人、計量協会などの関係団体が、ウェブサイトを運営し、まとまった形で計量計測情報を提供している。誰でもいつでもどこでも利用できる性質をもっているので、掲載者が自らの知識や経験などを惜しみなくウェブサイトに情報提供すると、大勢の人がそれを利用することができる。
 計量思想の普及啓発の目的は、計量に対する認識を良い形で企業や個人に保有させて、計量を確実に実施させることである。結果として、これまで計れなかった物を計れるような知恵を生むことにもつながる。
 現在、計量思想が欠けているのは国民一般ではなく、むしろ計量関係者であるように思われる。計量関係の企業とその関係者は、自分たちが造っている計量器や計測対象のことしか知らないことが多いからである。温度計屋はハカリのことは知らない。長さ計屋は試験機のことを知らない。隣のことを知らない人々の集まりである。
 だからこそ、それぞれが、扱う製品の紹介や計測方法を情報発信して、世の中に周知することは、大きな意味を持つ。計量関係者間の計量器に対する認識や知識の共有につながるうえ、たくさんの情報が集まれば「計量計測情報の集合体」として、社会で大きな役割を果たすことになるのである。

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