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日本計量新報 2008年1月20日 (2707号)

コア技術とこれの応用としての新商品・新市場の開発と開拓

経済産業省の統計数字などに登場する計量計測機器産業の規模は横ばいないし微増の状態にある。同じように日本の経済もGDP(国内総生産Gross Domestic ProductGDPの伸び率は経済成長率である)の伸びも微増である。経済の規模が一定であるなかでも伸びている産業分野があり、また縮んでいる産業もある。そして売り上げも利益も伸ばしている企業がある一方で、停滞か縮小を続けている企業もある。計量計測関係企業もまたこの例外ではない。
 伸びている企業に共通していることは、新しい市場で仕事をしているということである。新しい市場とはその企業にとっての新市場であること、また新概念の商品を開発して新規市場を開拓し、その新市場で仕事をしているという意味である。
 同じことをずっと続けていると、その仕事の領域は相対的に小さくなる。街の商店街ではお米屋、八百屋、菓子屋、肉屋、魚屋、家具屋、洋品店、スポーツ用品店がそれぞれ分離して軒を並べて営みをしていた。スーパーマーケットができ、コンビニができ、ホームセンターができ、そして大型ショッピングモールが登場すると、このような街の商店街は営みを続けるのが難しくなってきた。交通、通信その他のインフラと関連する諸条件が変化したため、街の商店街が機能を失いつつある。
 計量計測機器産業においても、街の商店街を変貌させているのと同じ諸条件が変化している。はかり産業を例に取ると、生産される商品分類としては、80%ほどがヘルスメーターなどと呼ばれる簡易な体重計と、簡便な料理用のはかりである。これに対して、生産金額の60%以上は産業分野で用いられるはかりシステムである。ホームセンターなどの小売り業者が販売するはかりは全生産金額の20%程度であり、ほかの80%以上は販売と設置に技術とコンサルティングを要するために、メーカー直販あるいは専門事業者によって販売されるようになっている。また、はかりはメンテナンスを要する機械であるので、この方面のサービスが付随する。工業用はかりなど産業方面で用いられるはかりは、コピー機などオフィス・オートメーション機械の販売と同じようなサービス内容を求められ、これに対応できる企業が規模を拡張している。

計量計測機器のメーカーで規模を拡張し業績を向上させているところに共通する特徴は、いくつかのコア技術をもとにこれの応用発展を積極的にはかって新商品を開発し、多くの場合にはこれに伴う新市場を開拓して仕事を続けていることである。コンピューターにおける基本ソフトとアプリケーションソフトとの関係をこれに重ねることもできる。


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