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日本計量新報 2007年6月3日 (2677号)

情報社会では1日2時間の情報検索など情報活動を行う

人類の情報伝達の歴史と交通の発達は重なっている。物資の輸送速度は情報の伝達速度であった。有線と無線の電信技術は情報の伝達速度を飛躍的に速めた。ラジオは人の感情をも運び、テレビはさらにそれを加速させた。インターネットは情報伝達の新しい道路であり、この道路が保有する可能性はとてつもなく大きく人類の生活や経済の在り方に大きな変革をもたらしている。テレビもラジオも情報伝達の速度は非常に速いものの、伝達する内容がインターネットとは異なり、文字情報を上手に伝達できない、伝達する情報の量と範囲がインターネットと比べれば全く取るに足らないほど微弱である、情報伝達が基本的一方的であり双方向性がない、などが取り上げられる。
 インターネットにはテレビやラジオなどの電波メディアあるいは紙を介しての活字情報メディアとは違う状況をすでに作り上げている。「情報社会」といわれ、情報経済あるいは知識経済、さらに知恵の社会といわれる現代の状況はインターネットが土台になってできあがっている。電子メールはインターネットそのものではないが、インターネットの仕組みの上に築かれているので、インターネット上の情報に直接触れる機会が少ない人は、電子メールの利便性を知り、その機能と比較にならないほど高機能を持つのがインターネットだと考えればいいであろう。またパソコンはインターネットを構成する要素の一つであり、パソコンがインターネットを生み出したということができる。ビル・ゲイツ氏のマイクロソフトはコンピュータのソフトウエアビジネスがコンピュータのハードウエアビジネスよりもビジネスとして魅力的であることを実証した。インターネットが普及してくるとコンピュータのソフトウエアビジネスよりもインターネット検索のソフトウエア技術が魅力的であることをグーグルの株価時価総額が示すようになった。
 新しい技術や新しい知恵そして新しい知識はたえず生み出されている。インターネットは知識のデータベース機能を担うようになり、人が何かを調べようとするとまずはインターネットで下調べ、簡単な調べ物であればここで用が足りてしまう。突っ込んで調べようとするとインターネットで得た手がかりを元にする。一次情報から最終次情報までも担ってしまうようになったインターネットのデータベース機能の向上によって、社会の仕組みのあり方まで変わってしまう。アルビン・トフラーは情報社会は民主主義をさらに推進させることを30年以上も前に予言している。日本に情報社会を予言する伝達者となった『マクルーハンの世界』の著者竹村健一氏は、マーシャル・マクルーハンの著書を意訳して表題の本を昭和42年に刊行し、ベストセラーとなった。マクルーハンは「電気時代の大予言者」だったわけであり、情報関連の民主主義の在り方をマクルーハンの著書で理解していた竹村健一氏は、当時の日本社会における情報伝達の在り方をマクルーハンの視点でとらえ「通産省は情報ブローカーであった」と最近の著書で述べている。
 経済と産業と生活と文化など社会関連のさまざまな情報が政府や政府機関などに集まり、囲い込まれていた時代は省庁と公共機関は自ずと情報の発信源になっていたのである。この情報機能を、通産省など行政機関は意識してか無意識にか、発揮すると自然にそれは情報ブローカーとして行動することになる。だから企業などは政府機関に頻繁に足を運ぶことを業務の一つとし、関連の情報が伝達される団体などとの連携を図ることになった。情報ブローカーとしての政府機関の機能は、「電気時代」になって衰えることになる。政府機関に属する研究機関の長が「新聞の取材が減ったということは私たちのポテンシャルが落ちているということかな」と述べていたことがあった。どうしても必要であれば企業人も新聞人などマスコミもそこに足を運ぶ。取るに足らない情報を囲うことによってもったい付けるという考えは「電気時代」のインターネットの世界では意味を失っている。情報民主主義の現代社会では、マスコミは情報ブローカーのお先棒を担いではならないのであるが、NHKを始めとするテレビ・ラジオの媒体や多くの新聞は今なおこれを続けているように見える。そのような状況下でグーグルは政治経済と文化その他の情報機能を果たすようになっている。インターネットの世界では「ポータルサイト」だけが情報ビジネスとして生き残るという大前研一氏の予言があるのは意識しておいて良いことであろう。インターネットと人との関わりの中でも行動の在り方として、「1日に2時間の情報検索をする」ことを条件にしている提言がある。日本計量新報社ではここで働く者は1日2時間、計量計測情報の検索を行っている。この結果は「日本計量新報」に活字情報として掲載されて紙媒体情報として発送される。また毎日30本以上の情報を送り出す「今日の計量計測情報ニュース」に掲載されて、インターネットニュースとして配信される。


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