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5年後に売上50億円をめざす
ー力センサをコアに事業分野拡大ー

安西 正光

新光電子(株)代表取締役社長

vol.2

日本計量新報 2008年9月21日 (2741号)2面掲載

力センサを使える事業分野はたくさんある

これまでとは逆の発想で

安西正光 −−音叉センサがコア技術であるとは、どういうことですか。
 さきほど、はかりに使うセンサとして音叉センサを開発し、音叉センサが当社のコア技術になったという話をしました。まずはかりという計量器があり、それに使うセンサとして音叉センサがあったのです。
 私が考えているのは、これまでとは逆の発想です。まず音叉センサという力センサがあって、この力センサの応用分野の一つとしてはかり事業があるという考え方です。これまでとは発想が異なります。
 ロードセルと一般にいわれているものにはいろいろな種類があります。音叉式ロードセルがあり、電磁式ロードセルがあり、歪みゲージ式ロードセルもありというようにですね。
 これらの力センサをコア技術にして、どの事業分野にどういう製品をつくっていくかを考えていきます。くりかえしますが、はかりがあるからこのセンサを使うのではなく、こういう高精度の力センサをつくれる技術があるから、こういう製品がつくれる、つくりたい、という方向に持っていきたいと思っています。
 そう考えると、たとえば医療分野であるとか、力センサを使える事業分野がまだまだたくさんできるはずです。そういうことをこれからやっていきたいと考えています。

コア技術に適した分野を見つける

−−具体的に考えられている分野はありますか。
 コア技術ということでいいますと、音叉式力センサにしても電磁式力センサにしても、これをはかりに使うというパターンができあがっています。ですから、たとえばセンサのサイズなどもはかりに適した大きさになっています。
 しかし、分野を変えたときに、たとえばセンサの大きさはこのままでよいかというと、そうはいきません。このように寸法ひとつ取っても需要にあった寸法に変えなくてはなりません。寸法が変わることだけでも力センサの特性が大きく変わりますので、分野が変わると新たな課題が多く出ると考えています。
 はかりの分野では、センサの精度競争のようなことになっています。しかし、ほかの分野でははたして数10万分の1あるいは数100万分の1の精度を必要としているのか、というようなこともあります。
 たとえば、精度はそれほどシビアなものは必要としないけれども、構造上スパン調整ができないのでスパンの長期安定度が高くなくてはいけないとか、そういう需要があれば、すばる望遠鏡の力センサにも使われていますように、スパンの安定度が高い音叉式力センサが非常に向いています。

産業用機械の力センサを音叉センサで置き換えたい


 力計測を使った装置はたくさんあります。われわれは組込み型力センサといってますが、そこに音叉式力センサが使えます。今まで、製造装置や加工機械などに使われる力センサは、歪ゲージ式の力センサが多かったのです。
 産業用機械のこの歪みゲージ式力センサのうち高精度を必要とする市場を、音叉式力センサで置き換えたいと思っています。高精度を必要とする分野は今後もっと広がるはずだからです。
 音叉式力センサの優位性は何かといいますと、まずクリープがないことです。また繰り返し性が非常によいことです。それから先ほど言いましたスパンの安定性がよいことです。
 このように産業用機械に使用される力センサとして音叉式力センサは適しています。なんとかして普及させたいと思っています。
 電磁式力センサはレスポンスがよく、少量計量にはとても適しています。
 新光電子は、音叉式力センサだけでなく、電磁式力センサ、歪みゲージ式力センサの技術がありますから、さまざまな分野の需要・用途に応じた力センサを提供できます。
 音叉式力センサや電磁式力センサは精度が高いので、高価格で少量や微量のものを扱う分野で優位性が発揮できるだろうと思っています。
 計量の基準である力標準の仲介器なども、供給したいですね。需要家から見れば力標準の供給ですね。
 これなどは一部ですが、まだまだいろいろな分野に応用できると思います。

発展のためには何が必要か


まず人づくり


−−発展のためには何が必要ですか。
 会社の発展には何が必要であるかというと「人づくり」です。社員の能力開発を進めていきたいと考えています。人材は会社にとっては含み資産ですね。将来の糧でもあります。これを膨らませていくことが会社の発展、技術立社の実現につながります。
 社長就任時には、顧客の目線で物事を考えること、メーカは品質が命であることを社員全員に話しました。

技術者が外へ出る


  技術者が外へ出ていくということが一つのポイントです。他社との技術交流などです。
 現在も、関連の会社と盛んにやっています。お互いの成果を発表しあったり、一つのテーマでディスカッションをしたりしています。
 いわば技術の他流試合のようなことをやりながら、技術力を磨いていくということをやっていきます。

大学・研究機関と共同研究を推進


大学や研究所との共同研究を推進していきます。それにより高いレベルの技術を開発し、われわれがここから新しい技術、新しい考え方を習得します。それを将来の新製品の開発に応用できるようにしていきます。
 これらにより、技術者の能力をアップしたり、視野を広げることや、新技術を習得するなどして、将来の事業の発展につなげていきたいと思います。

生産の自動化を進める


新光電子の製品はメイド・イン・ジャパンです。これは海外の顧客に非常に喜ばれています。日本で生産しているということによる、高品質であるという信頼感ですね。現に、わたしどもの製品は顧客から、壊れない、狂わないという高い評価をいただいています。
 この日本での生産を維持するために、社内の生産の自動化を進めていきます。それには生産技術力を高めることが必要です。
 現在当社には、部品加工や組み立てにおいても、ある程度高い生産技術力があると思っています。
 しかし、それは他からどんどん追いかけられているわけですから、もっと生産技術力を高めて、日本でなければできない、あるいは新光電子でなければできない、という形にしていかなければいけないと思っています。これは特徴ある製品づくりをするためにはぜひ必要なことです。生産技術力が重要であるという認識を強く持っています。

開発力、生産技術力がそろって新製品ができる


 このように、開発したもの、設計したものを具現化するためには、しっかりした生産技術力が必要です。開発設計の力があり、生産技術の力があり、この二つがそろってはじめて新しい特徴ある製品が開発できます。

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