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計量包装業界のグローバルNo.1めざす

(株)イシダ 石田ヘ英社長に聞く

聞き手は横田俊英論説員

vol.2

日本計量新報 2013年1月1日 (2947号)第2部4-5面掲載

6カ年計画で1000億円めざす

−−世界規模で業績を伸ばしている貴社ですが、世界から評価・信頼を獲得している点はどんなところでしょうか。

製品力・システム展開力・サービス力で信頼を得る

第一は製品力です。世界トップの性能・品質を提供していると自負しています。第二はシステム展開力、第三はサービスの力です。当社には、計量器や包装機、検査機器などがありますから、それらを単品で供給するだけでなく、総合的にコーディネートしシステムとして供給することができます。また、世界で同じ品質、レベルのサービスを提供していますから、「イシダに任せておけばすべての問題が解決できる」という顧客からの高い信頼を得ています。

ーー社員の皆さんに、どのようにして「イシダの理念」を伝え、世の適者としての実践を促しておられるのでしょうか。

朝礼で自ら理念・行動を伝える

当社では、毎月社員全員で朝礼を実施しており、その中で社員に対して毎回20分程度話をしています。そこで、私自身が実際にお客様を訪問した時に感じたことなどや世の中で起こっていることの背景などを、「イシダの理念・行動規範」の内容に照らして分かりやすい話にして直接伝えるようにしています。

表彰制度を実施

理念・行動規範に沿った活動を実践する社員を称える「表彰制度」を実施しています。2010年に始めて2012年で3回目となるこの制度では、毎年約30人の社員を全社員の前で表彰しています。理念・行動規範を実践することの重要性を目に見える形で社員に伝えています。
 たとえば、当社には行動規範のひとつとして「Speed!Speed!Speed!」があります。これは、私たちは、世の中の変化に対応するため、独自のスキルを磨き、お客さまとのパートナーシップを大切にしながら、すばやくきめの細かい行動を心がけるということです。部門長もメンバーに伝えるべき方針を毎年整理しなおし、社員も毎年何をやっていくかを考えて実践してみるのです。部門内で最も行動規範に一番合致した行動をしている社員に対しては、同僚、部下、上司が推薦投票を行い、各部門ごとにノミネート者、最終表彰者を決定しています。「表彰制度」では、社員全員が理念・行動規範の実践に努め、全員が平等に投票権を持ちます。受賞の機会は、入社年数や役職に関係なく、全社員の誰にでも公平にあります。

ーーこれから新たに取り組む事業分野などをお聞かせください。

農業分野と医療・医薬関連分野に力注ぐ

力を入れて取り組んでいる分野が、農業分野と医療・医薬関連分野です。この2つの分野はすでに取り組みを始めており、今後さらに強化していきます。
 農業分野に関しては、3年ほど前にプロジェクトチームを立ち上げています。チームは北海道から九州に至るまで、全国の農業生産地を中心に活動しています。当社には、はかりの技術を中心に、画像認識、ラベラー(印字装置)、異物検査などの技術などがありますから、それらをトータルで活用すれば、新たにさまざまなことが可能になってきます。そして、たとえばアスパラガスの結束機や農産物の選別機など、農業の生産性向上のためにお役立ちできる提案をさせていただいています。
 農業分野でも今後は国際市場の厳しい競争に立ち向かうにあたっては、当社の提案は農産物の原価低減や品質管理、品質の向上に寄与できると思っています。
 医療・医薬関連分野に関しても、イシダの技術力を展開活用していきます。

ーー環境に配慮した製品も開発されていますね。

環境貢献型製品も開発

私たちイシダは、環境貢献型企業としての姿勢を明確にし、新しい技術・製品開発を通して地球環境を改善する企業でありたいと考えています。
 それを具現化した環境貢献型製品として、トレーを使わずに包装する「ノントレー包装機」があります。ノントレーにすることにより、ゴミを減らし、包装コストも削減できます。また、ラベルプリンタなどで「台紙レスラベル対応機器」も開発しています。ラベル発行時に出るゴミ(台紙)やCO2を削減し、ラベル取り付け作業の改善軽減を実現しました。
 事業所内でも、省エネルギーや廃棄物の削減に取り組んでいます。滋賀事業所では、事業所周辺の清掃などもずっと続けています。当社は、2012年10月1日に京都市から『ごみ削減・3R活動優良事業所』の認定を受けました。

ーー計量包装業界においてグローバル・ナンバーワンをめざす取り組みをお聞かせください。

グループ全体1000億円の売上をめざす

現在、イシダは「グローバル戦略の推進」と「イノベーション推進」(技術革新)を経営の2本柱に据えてスタートさせた6カ年計画の3年目に入りました。123周年(2016年)にはグループ全体で1000億円の売上をめざしています。

しっかりした土台つくる

本年も昨年に引き続き「培根(ばいこん)」を念頭に置いて取り組んで参ります。「培根」とは、根をしっかりと張ること、大きく育つために土台を築くことです。お客様のご要望にお応えできるように、仕事の足元を見つめ直し、土台をしっかりと整備しています。
 社内では新人事制度、社内基幹システム(ERP)の導入を進めているところです。

滋賀事業所で新工場建設

−−滋賀事業所の新工場計画の狙いについてお聞かせください。

さらにお客様のご要望にお応えする

2013年2月から2年をかけて主力工場である滋賀事業所の全面建て替えをいたします。イシダのシステムの信頼性をさらに向上させ安心して導入頂けるよう設備投資をおこないます。新工場は、お客様の多様なニーズや年々増加傾向にあるシステム対応へのご要望に対してより高度にお応えできる環境を備えた設備となります。出荷前の稼働検証のための『模擬システムライン』、納入先様の使用条件での運転テストを事前に十分実施するための冷凍環境『テストルーム』なども設けます。
 さらに、ものづくりを見直して、日本の製造技術の長所・強みである、すりあわせ技術を伸ばしていくために、自社工場での機械加工にも力を入れていきます。試作部品、機械部品加工ができるようにし加工技術のノウハウを蓄積することで、納期、価格対応力を強化し、技術力、対応力を高めていきます。

ーー完成時期はいつごろですか。

2015年に完成

これから約2年をかけて順次工事を進めていきます。隣接地に新棟を建設し、生産は維持しながらそこへ現在のラインを順次移して新工場を建設していきます。新春早々に着工して、2015年に完成の予定です。

ーー創立120周年を迎えるにあたっての心境をお聞かせください。

「三方良し」で120年

当社がこうした幾多の試練を乗り越え発展を続け、創立120周年を迎えられるのも、ひとえにお客様、地域の方々、社員と社員の家族の皆様、関係各位のご支援とご協力、ならびに諸先輩方のたゆまざるご尽力の賜物であります。当社の120年を支えてくださった全ての方々に対しまして心より深く感謝の意を表し、感謝の気持ちを何らかの形で社会に還元させていただきたいと思っております。

−−ありがとうございました。

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