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日本計量新報 2011年3月27日 (2863号)2面掲載

産総研つくばセンター、放射線を測定

放射線量の測定をわかりやすく解説

(独)産業技術総合研究所のつくばセンター災害対策中央本部は、福島第一原子力発電所の爆発事故による影響の有無について、つくば中央第一事業所敷地内で3月15日から放射線測定を実施している。測定結果は産総研WEBサイト(http://www.aist.go.jp/)に随時掲載。

以下は、(独)産業技術総合研究所WEBサイトからの転載。図・表・用語説明などは適宜省略した。

放射線量の測定についての簡単な解説

現在つくばで測定されている数値は、健康に影響を与えるものではありません。

ここで使っているのはマイクロシーベルト(μSv)という単位です。マイクロシーベルトとは、放射線量の単位で、放射線が体に吸収されて、体にどれぐらい影響を及ぼすのかを表す放射線の量のことです。

人は、年間におよそ2400マイクロシーベルトの放射線を自然に受けています。胸のレントゲン撮影をすると50マイクロシーベルトの放射線を受けます。

産総研では、放射線の量を次のようにサンプリングして測定しています。

γ線の量を測る測定器(シンチレーションカウンタ)を用いて、測定地点におけるγ線の放射線の量を測定しています。その結果の時間ごとの推移を表にして掲載しています。表には「μSv/h」という単位が使われています。これは1時間当たりの放射線量を表しています。

このような放射線は、主に、大気中をただようガスやほこりなどに付着した放射性の核種から出てくる放射線です。産総研ではそれらの放射性核種についての測定も行っております。

放射線核種ついての測定結果

大気中をただようほこりなどに付着した放射性物質が出す放射線(γ線)のエネルギースペクトルを、 ゲルマニウム検出器という測定器を用いて測定しました。(中略)

検出された放射能の推移(つくばセンター災害対策中央本部)

3月15日の測定結果では、ヨウ素、セシウム、キセノン、テルルといった物質が放射性の核種として検出されました。これらの核種は、一般の環境中には存在しないことから、福島第一原子力発電所の事故により放出されたことが推測されます。

3月19日の測定結果を新たに掲載しました。この日は放射性ヨウ素などの放射性核種が減少したため、自然界に存在するK−40(放射性カリウム)、Pb−214(放射性鉛)、Bi−214(放射性ビスマス)からの放射線が目立って観測されました。

最も多く検出された核種はI−131(ヨウ素131)で約8日で半分に減ります。またTe−132(テルル132)は、3・2日でI−132(ヨウ素132)に変わります。 I−132はわずか2・3時間で減少します。ですから放出が止まれば放射線量は約1週間で半分になります。1か月たてば約30分の1程度になります。この他Cs−134(セシウム134)は半減期2・1年、 Cs−137(セシウム137)は半減期30年で残留しますが、それらの放射能は全体から比べればわずかです。

この放射能は、産総研敷地内の平地に1m×1・5mのビニールシートを敷き、 1時間に付着したほこりを拭き取った試料の放射能を、ゲルマニウム検出器で測定したものです。

ゲルマニウム半導体検出器(写真)は、X線やγ線のエネルギーを測定する検出器です。放射線を検出する部分は、ゲルマニウムという物質からできている半導体です。この半導体に放射線が入ると、パルス的に電流が生じます。放射線のエネルギーが大きいほど、大きいパルス的な電流になります。このパルス的な電流の大きさを測定するとエネルギースペクトルが得られます。

産総研の高純度ゲルマニウム 半導体検出器とその計測システム

 


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