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計量新報 2006年 4月2日発行 /2625号 12面


計量制度検討小委

第1、第2WG最終会合で報告書案まとまる
第2は商品マーク制度を新設、第1は引き続き規制対象計量器を検討

 昨年9月から討議を行ってきた計量行政審議会計量制度検討小委員会の各ワーキンググループ(WG)が報告書案を取りまとめた。第1WGは4月4日、第2WGは4月14日にそれぞれ最終の会合を開いた。基本的方向は委員も概ね了承しているが、細部の検討は引き続き行われる。

第1WG

 第1WG第6回会合は4月4日午後、経済産業省別館9階944会議室で開かれた。
 まず前回議事録の確認が行われ、委員は了承した。つづいて3月23日開催の第2回計量行政審議会で挙がった第1WGに関する発言を紹介した。検査・検定時の手数料、修理品の再検査などに対して意見が集まった。
 ガラス製体温計の規制対象除外、指定製造事業者の再修理と、WGでも意見が集中し、小委員会、審議会時に委員の質問があった事項について、再度関係者ヒアリングを行った。
 東京都計量検定所村松徳治指導課長がガラス製体温計の検定について現況を説明した。
 外国指定事業者の製造分を除いた2003年度の数字では、抵抗体温計は年間229万本に対し、ガラス製体温計は111万本である。抵抗体温計は海外製造分を含めると年間600万本が流通している。04年度におけるガラス製体温計の検定は東京、静岡、埼玉の各都県で行われた。検定実績113万8000本の平均の不合格率は2.1%で、うち、扱う本数が一番少ない東京都の不合格率は7.0%で、5359本にのぼった。
 この結果を受け委員からは、検定除外による品質低下を危惧する意見が上がった。また、検定という名目で、品質管理を地方自治体へ依存しているのではないかという指摘も出た。税金を企業の品質管理に使うのは不自然であり、対策としては、手数料を大幅に上げる。または規制対象には残すが、検査検定は実施せず、自己適合確認のみにするという方法もあるのではないか、と発言を結んだ。
 不合格率の高さは、国際的な検定公差の0.2℃に対し、日本は0.1℃に規定している点を挙げ、性質が変化しやすいガラスの特性に起因するという補足があった。
 (社)日本計量機器工業連合会伊藤尚美専務理事が、指定製造事業者における修理品の自主検査について、計量器の種類ごとに、新品および再検定品の不合格率を紹介した。再検定品については燃料油メーターは0.09%、非自動はかりは0%、ガスメーターは0.19%の不合格率である。不合格品が市場に出回ることがないので、自主検査には問題ない、とまとめた。
 これに対し、再検定は現場修理となる燃料油メーターについて、現状ではメーカーから研修を受けたサービスマンが担当しており、メーカーの技術力がサービスマンの能力を担保しうるのか、サービスマン個々の資質に係わるのではないか、という意見があった。
 第1WGの報告書案審議に移った。ヒアリングと併せての会合のため、短時間の討議となった。
 規制対象から除外する方向で検討すべき計量器として、質量計(手動天びん、等比皿手動はかり、分銅)、重ボーメ度浮ひょう、ユンケルス式流水型熱量計、体積計(量器用尺付きタンク)、ガラス製温度計、ベックマン温度計及びボンベ型熱量計、排水/排ガスの流速計・流量計・積算体積計、アネロイド型圧力計、家庭用計量器(調理用はかり、ヘルスメーター、ベビースケール)が挙げられた。事務局からは、今後も対象については検討すると付け加えられた。

第2WG

 第2WG第4回会合が4月12日午前、経済産業省別館9階944号会議室で開かれた。
 前回議事録の確認を行い、委員は了承した。
 つづいて第2WGに関する審議会の報告が行われた。2月の第3回小委員会、3月の第2回審議会では、宮下正房座長が第2WGで検討した内容を書面で提示した。両会合とも特段意見は出ず、了承の方向である。各WGを総括する視点から、事後規制の重要性は、長期的視野で考えると、地方自治による計量行政のあり方において時宜を得ているとする意見があった、と報告された。
 第2WGの報告書案について討議した。新たな方向性として、消費者の市場監視、立入検査の増加など事後規制の強化、適正計量管理(適管)事業所の改善、適正に計量された商品であることを示す新たなマーク制度の創設といった事項が挙げられた。

 委員は基本的方向を了承し、細かな点に対し発言した。

 量目規制の問題点に国際化対応も記述してほしい、と報告書文言への指摘があった。商品へのマーク制度は消費者と製造者双方の信頼性向上につながると期待する意見が相次ぎ、マーク付与の草案を述べる委員もいた。消費者に使ってもらえるわかりやすいマーク制度を望んだ。
 反面、適管制度への疑問が集中した。同じスーパーでもすべての店が適管を受けているとは限らない。これは適管のメリットが乏しいからではないか、と調査を要望した。適管を商品単位でとらえるか、事業所単位でとらえるか、バランスを考えるべき、という意見もあった。メリット付与の一例としていた立入検査免除が報告書案から削除されたのは、業務を行う自治体サイドから難しいという意見が出されたため、と事務局から説明があった。
 また計量器製造側から、同じ店舗でも、使用する計量器の種類によって精度が異なる。何をはかっているのか、商品の状況をよく見ながら事後規制を行うべきである、という意見があった。
 第2WGの報告書案に今会合で出た意見を反映し、報告書案とする。加筆、訂正は座長に一任する。今月末開催の小委員会において、全体答申の形で審議される。

(以上)

 

 
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