ホーム・計量計測データバンク2005年度計量法改正情報BOX報道記事一覧

計量新報 2006年 2月19日発行 /2619号 1面


計量制度検討小委員会第1WG第4回会合開く

民間活力を積極的に導入、実状に合った規制対象の検討を要望

認証制度併存による混乱を懸念

 2006年初となる計量制度検討小委員会第1ワーキンググループ(WG)第4回会合が2月13日午後、東京・霞ヶ関の経済産業省別館9階第944会議室で開かれた。制度見直しの行方を見守る関係者が多数、傍聴に詰めかけた。今回は、委員の意見をフィードバックさせた、新たな「第1WGの方向性(骨子)」に対するヒアリングを行った。(社)日本計量機器工業連合会(計工連)伊藤尚美専務理事、日本電気計器検定所(日電検)池田義雄理事が意見を述べた。

 会合は、まず前回議事録の確認が行われ、委員の異議なく承認された。

 新たな「第1WGの方向性(骨子)」をたたき台に、計工連伊藤専務理事が計量器製造事業者の立場から、また検査機関として日電検池田理事が意見を述べた。

骨子の修正点

 今回配付された骨子は、昨年11月30日開催の前回会合で提示された案に、委員の意見を反映させたもの。

 前回骨子の各部分に変更が加えられている。ほか、具体的方針の項目「11 その他」として、(1)初回検定品に適用が限られている指定製造事業者制度を再検定品・修理品まで適用できるように拡充する、(2)消費者保護の観点から規制対象外とすることが不適当と考えられる計量器については、事業者による技術基準への適合義務を課す制度を創設する、(3)地方自治体が現在行っている検査・検定制度はすべて民間が担い、自治体は立入検査、啓発、検査機関等の指導・監督などといった市場監視的役割に特化することを中長期的に検討する、という3つの案が新たに掲げられている。

指定製造拡充歓迎規制対象は再考を

 伊藤専務理事は、計工連の意見を骨子に沿って説明した。

 規制対象から外すことが検討されている機械式はかり、ガラス製温度計、密度浮ひょう、浮ひょう型比重計は規制対象とすること、また、規制対象になっていないCNGメーター(圧縮天然ガス充填機)は新たに規制対象とすること。自動はかりの規制については次回改正時の課題とし、関係部門において規制対象範囲や検定・検査体制などについて検討することが望ましい、とした。

 機械式天びんは薬局などで高精度の調剤用として使われており、規制対象外となれば精度の維持管理が困難となる。ガラス製温度計は器差検査の際に標準となるマザーツールであり、OIMLでも技術基準が規定されている。また、製造者は零細企業が多く、指定製造事業者の取得が難しい状況にある。浮ひょうは重油やアルコールの比重、密度、濃度測定に使用され、徴税に影響する。使用実態も、技術的知見を有したもの同士とはいえない。CNGメーターの規制については、CNG車の増加に伴い、規制対象である燃料油メーターとの整合性をはかるべきではないか、と意見の根拠を述べた。

 改正の骨子や具体的方針にも言及し、JISマークと検査証印の混在が与えるユーザーの混乱を懸念した。指定製造事業者制度を再検定品、修理品にまで拡充するように、さらなる民間活力の導入を求めた。

個々の再検定品に十分な検証を

 日電検は昨年8月、一般消費者を対象にした電気計器の適正計量に関するアンケートを、調査会社を通じて独自に行った。池田理事はその結果を紹介しながら、安心・安全の確保をいかに裏付けるかを提示した。

 制度全般に関しては、適正計量に対する消費者などへの意識醸成、民間活用と安心・安全確保の両立、国際的ルールとの整合性を提言した。

 民間活用の点では、行政機関が民間のサーベイランスを取り入れることにも柔軟に対応するべきとした。国際整合性については、特定計量器である電気メーターで、海外製のものは国内ではまだないが、日本の市場規模は世界的にも大きく、型式承認を希望する企業があるといわれている。そのためにも、国際的なルールに配慮しつつ信頼性を確保した計量制度の必要性を強調した。指定製造事業者制度を再検定品や修理品まで拡充する方向性に対しては、修理品へのより適切な品質管理が必要であるとした。

さまざまな角度から問題提起

 委員には実際に検定を行う地方自治体職員も加わっており、具体的な作業を想定した質問が出た。指定製造事業者制度の拡大では、据付型の燃料油メーターを再検定する場合、工場出荷時と同等の条件で校正できるのか、という指摘に対し、企業が指定製造事業者としての責任において取り組むと答えた。CNGメーターは高圧で検定が難しく、技術的に困難ではないかという疑問には、(独)産業技術総合研究所の小島孔WG委員が、技術基準は定まりつつあるので、実態に応じて検討するべきではないかと発言した。

 検査・検定制度とJISマーク混在への懸念については、(独)製品評価技術基盤機構の岩崎義博委員が、JISマークはあくまで第三者認証のひとつの例である。いわゆる「安全4法」は強制法であるが、すべて第三者認証に基づいている、とすでに活用している例を挙げて説明した。

 とくにガラス製体温計については、検定制度は品質管理や企業保護の側面も果たしていた事実も見逃すべきではない、という意見もあった。

 2月21日開催の計量制度検討小委員会でも、骨子が議論される。

(以上)
 
↑ページtopへ
 ホーム・計量計測データバンク2005年度計量法改正情報BOX報道記事一覧