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計量新報 2005年 10月23日発行/2604号 1・2面


11月1日は計量記念日

全国各地で計量の大切さ宣伝する行事開催

計量全国大会は東京で式典と記念行事

「何でもはかってみようコンテスト」など発表・表彰

 11月1日は計量記念日。1日を中心に、10月末から11月いっぱい、全国各地で計量記念日行事が実施される。東京都の計量行政機関と計量団体は例年「都民計量のひろば」を開催し、親しまれている。本紙(3面)で紹介のように、全国各地で地域計量行政機関と計量団体が協力し、計量記念日に関連づけて計量への関心を高める行事が実施される。経済産業省と計量関連団体(計量記念日組織委員会)は共同で「計量記念日全国大会」を11月1日、東京の虎ノ門パストラルで開催する。

 本紙が紹介している全国の計量記念日行事は、毎年実施されているものが多く、それぞれの地元で定着している。広報にも力を入れており、電光掲示板による計量記念日のアピールや、県や市の広報誌で計量記念日や計量の大切さを宣伝したり、横断幕や垂れ幕などを作成しているところもある。地元新聞に広告を出したり、資料を提供して計量記念日の記事を掲載するところもある。また、企業内に計量管理の啓発ステッカーをはりだしたりと、月間などを設定して、計量管理の普及啓発に力を入れている。

 「2005計量記念日全国大会」は、11月1日、東京の虎ノ門パストラルで開催される。経済産業省と、計量関係の各団体がつくる計量記念日組織委員会(飯塚幸三委員長)の共催。全国計量関係73団体が協力する。「全国の計量計測関係者が一堂に会し相互の交流を深めると共に最新の技術情報等を共有し、学術、産業の発展向上に資することを目的」(大会案内)としている。大会は「計量記念日式典」と「記念行事」の2部制で実施される。

特別講演「進化するカーナビ」

 式典では、計量関係功労者に経済産業大臣から表彰状が授与される。

 記念行事は、パイオニア(株)川越事業所技術統括部ソフト開発部担当部長の安藤斉氏が「進化するカーナビゲーション〜位置認識からエンタテイメントまで」と題して特別講演する。

 公募した「何でもはかってみようコンテスト」と「計量啓発標語」が発表、表彰される。とくに「何でもはかってみようコンテスト」は今年初めて募集した。小学生を対象に、学校や家庭生活の中から身近なものについて多様な方法や考え方によって、「はかる」(計る、量る、測る)ことを実践し、はかることの楽しさや大切さを体験・理解してもらおうというもの。選考した委員の一人は「応募数は14件と少なかったが、内容的には充実したものが多く、応募作の全部を紹介したいぐらいだ」と述べている。

 午後5時からはレセプションが開催される。

大会プログラム

◇計量記念日式典(13時30分〜)=▽開会の辞▽経済産業大臣式辞▽経済産業大臣表彰状授与▽受章者代表謝辞▽閉会の辞▽記念撮影

◇記念行事(14時30分〜)=▽組織委員長の挨拶▽何でもはかってみようコンテスト表彰及び発表▽計量啓発標語表彰▽計量記念日特別講演

  • レセプション(17時〜)

 

日計振 計量法改正にプロジェクトチームで対応

検討結果を小委員会、WGで提案・要望

 (社)日本計量振興協会(日計振、飯塚幸三会長)は、計量行政審議会で進められている計量法改正審議にプロジェクトチーム(PT)を設置して対応している。PTでの検討結果は、計行審計量制度検討小委員会や3つのワーキンググループ(WG)の委員を通じて提案、要望していくことにしている。PTの委員の任期は1年。全体委員会は3〜4回程度開くことにしている。

 日計振は、8月初旬から同会の4つの調査委員会(計量士のあり方委員会、適正計量管理事業所調査委員会、IQマーク調査対応委員会、トレーサビリティ委員会)とJCSS認定事業者部会で、計量制度のあり方に関して関連の検討をしてきている。それらの検討内容と同会会員の意見、要望を取り入れ、総合的な観点から検討、議論する必要があるので計量法改正対応プロジェクトチーム(PT)を設置した。

 同会会員からは、地域ブロック会議などで「ぜひ日計振は、私たちの意見をまとめて審議に反映させてもらいたい」との要望が出されていた。

 PTでの検討内容は、(1)検定検査制度、(2)商品量目制度、(3)適正計量管理制度、(4)商品マーク制度、(5)計量標準供給とトレーサビリティ、(6)計量士の活用、(7)その他。

 PTの委員はつぎのとおり。○印は計量制度検討小委員会または同ワーキンググループの委員。

【委員長】○石井正国((社)神奈川県計量協会理事)【委員】▽阿知波正之(愛知県計量士会副会長)○印南武雄(日計振常務理事)▽桑山重光(東京計量士会理事)▽笹尾利昭((社)群馬県計量協会専務理事)▽菅沼隆夫(神奈川県計量士会・(株)Jオイルミルズ)▽富樫孝昭(東京計量士会理事)▽藤田益司((社)埼玉県計量協会事務局長)▽森安地涌一(千葉県計量協会事務局長)○山領泰行((株)ミツトヨ品質保証室長)○横尾明幸(東京計量士会理事)▽吉村良次(大阪計量士会会長)【事務局】▽河住春樹(日計振専務理事)▽関口幸雄(日計振常務理事)▽市川由雄(日計振総務部課長)

 

第2WG第2回会合開く

適管事業所の現況、消費者の計量意識、論点整理

 計量制度検討小委員会第2ワーキンググループ(WG)第2回会合が10月18日、経済産業省で行われた。

 第2WGは量目規制のあり方等を検討する。議題1として、委員のみに第1回会合議事録(案)が配布され、内容を確認した。委員の異議はなく、承認された。

 議題2は、適正計量管理事業所の現状について。流通業から(株)伊勢丹品質管理室計量担当恵田豊マネージャー、製造業からライオン(株)東京工場田中秀夫マネージャーを招き、業務内容や計量法上の留意点を紹介した。

顧客の信頼を担保

 伊勢丹は、首都圏7店舗を4名の計量士で担当している。計量器は7店舗合計で1247個。計量士1人あたりの計量器の延べ検査数は1446台、商品量目検査数は5469点にのぼる。商品量目検査の商品不適正率を比べると、300<CODE NUMTYPE=SG NUM=611B>未満のスーパー等が4・3%なのに対し、同社は0・3%と、高率で適正計量が守られている。量目検査の際は必ずラベル表記を確認して、名称、原産地等を明示するJAS法(農林水産省管轄)に関わる誤記がないか、併せて点検している。

 同室では、ギフト商品の適正包装検査や非法定計量単位での表示の是正なども行っている。正月用品などでは実際に買い取り、開封検査を行い、量目不足の場合は、店頭から一斉に撤去する。ジーンズのサイズは非法定計量単位であるインチ表示が浸透しているが、同店ではcmに置き換えて表示している。また、物産展が催されると、お米など食品の計り売りや伝統工芸品などでは、今も尺貫法の単位が見受けられるので、計量法に触れない表記にするよう指導している。

 社員教育は現場重視で、日常の中で計量に対する意識付けを行っている、と勤務時間が不規則な流通業ならではの方針を述べた。

 適管事業所は人件費などコストがかかるわりに、目に見えるメリットはない。顧客の安心を担保する制度だと思って運営しているが、より消費者に知られるよう、啓発活動を積極的にしてもらいたい。適管事業所になっていても、立入検査を受けることがある。適管事業所であることを信頼してほしい、と要望した。

計量管理の徹底

 ライオンは全国5カ所に工場がある。いずれも適管事業所で、各工場ごとに外部の計量士が勤務する。はかりの管理は毎日1回の使用前点検に加え、月1回の月度点検、年1回の定期検査、新規購入時の受け入れ検査を行っている。その際には検定所で検定を受けた実用基準分銅を使用している。計量教育として、適正計量管理主任者養成講習会や、月度点検や分銅校正など、一般社員を対象にした計量管理教育も実施する。

 同社における適管事業所のメリットは2つ。特定計量器の定期持込検査免除事業所の都合で検査でき、生産量の少ない時期に検査することで、効率よく生産ができる。自主計量管理推進のために計量教育を実施するので、現場改善によるコストダウンができる。特定計量器の簡易修理も挙げられたが、電子天びんが主流となった現在では、自前での修理ができず、あまり利点にはなっていない。

 デメリットとして大きいコスト負担のほか、東京都においては、適管事業所以外は定期検査が2年に1回で済むのに対し、適管事業所は年1回であることを挙げた。むしろ逆にするべき、とする同社に対し、行政サイドの委員は、実際は事業の実状に合わせることになっていて、年1回というのは旧法の規定である。今も事業所の規程にそのまま残っているからではないか、と指摘した。

 同社では化粧品など、薬事法に関わる製品も製造しており、計量も含め、適正な製造管理及び品質管理の確保を保証することが薬事法で義務づけられている。消費者はトータルに品質を見て購入する。とくに安全性の確保に関心が強く、企業のコンプライアンス(法令遵守)維持は重要だと認識している、とまとめた。

計量制度の広報が課題

 議題3は、事務局・籔内政幸計量行政室長が消費者アンケートの結果を報告した。

 アンケートは消費者の計量制度に関する認識・関心を具体的に把握することが目的。9月21日から12日間、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会のウェブサイトにアンケートシステムを設置。189名の有効回答を得た。

 うち、団体に所属する消費者が100人と、消費者意識の高い回答者が半数以上を占めたが、3割が計ることに関心を持っておらず、計量法を知らないと回答した数も同じく3割にのぼった。しかし、内容量表示については96%がg、mlの表示をすべきと回答し、購入の際重視する商品の表示事項(複数回答可)は賞味期限(181名)に次いで内容量(141名)が多かった。

 92の自由意見が寄せられた中で、このアンケートではじめて計量に関心を持った、という趣旨の意見が、10数個あった。計量制度に対する広報の必要性を訴える意見も見られた。

今後の論点

 第2WGに関する主要論点整理が議題4として行われた。

 商品量目規制については、(1)量目取締りの手続きの整備等による制度執行の実効性の向上、(2)国民の積極的参画、(3)関係省庁における連携の推進が挙がった。具体的施策として、(1)は抜き打ち検査などの強化、不正事業者名公表などのガイドライン策定、地方自治体が計量士を活用した立入検査をより多く実施する。(2)は消費者による計量に関する通報・監視制度の整備、地域の実情を踏まえた上で、商品量目制度における規制の重点を置く対象を設定する。(3)は他法令に基づく立入検査などと相乗りすることで、行政の効率化をはかる。

 適正計量管理事業所制度については、(1)適正計量管理事業所への更なるインセンティブ(誘因)、(2)新たなマーク制度の創設の2点。(1)は適管事業所への立入検査の免除、また適管事業所の審査に民間の認証機関を活用する。(2)は一般の適管事業所と、より正確な計量等に配慮した新適正計量管理事業所(仮称)を区別するマークを設ける。その他、商品に対するマーク制度の検討が挙げられた。

 これに対し、委員が意見を述べた。

 量目取締は罰則を強化するのか、消費者への情報提供とするのか。不適正量目のほとんどは悪意のない単純ミスであることも述べられた。適管事業所の審査については、都道府県でも指定が行えるが、コスト削減のためにも認証機関の一本化を検討してほしい。また、消費者の窓口として、消費生活センターなどを活用し、計量に関する意見を集めるのも方策ではないか、との声もあった。

 次回第2WGは11月中旬以降に開催される予定。

(アンケート結果の詳細など、配付資料はウェブサイト「2005計量法改正情報BOX」からダウンロードできます)

 

計量法の改正諮問を鏡にして計量法を考える(1)

計量行政審議会の役割が変わった

「日本計量新報」論説員 横田俊英

 計量法の改正の諮問が2005年7月22日付けで計量法157条の規定に従って、経済産業大臣から計量行政審議会に対して行われ、26日計量行政審議会が開かれた。

 計量行政審議会が行う仕事の内容を規定する条文は数年前に改正され、現行の計量法157条になっている。以前の規定との違いは、計量行政審議会の権能の大幅な縮小である。2001年7月18日開催の計量行政審議会で「計量行政審議会運営規定について」審議され、現行の計量行政審議会の任務が決められた。この計量行政審議会の見直しは、中央省庁再編の一環として1999年4月27日中央省庁等改革推進本部による「審議会等の整理合理化に関する指針」によるものである。

 それまでは、計量行政審議会が日本の計量制度を定める計量法の基本設計をする場になっていた。計量に関する重要な事項について、大臣の諮問に応じて答申することとともに、通商産業大臣(当時)に建議することも任務の一つだったのである。審議会の再編成で、計量行政審議会は引き続き存続することになったが、計量に関する大きな枠組みの変更(法律改正など)については産業構造審議会へ移管された。経済産業大臣が計量法の基本的な設計をして、特定計量器の種類、計量単位、特定商品の決定などの計量行政の実施の内容などを計量行政審議会に諮問するものになっている。計量行政審議会の委員は計量制度について要望を出すことはできても、それは単なる要望であって「建議」ではない。計量行政審議会は経済産業大臣が諮問する内容を審議する場としての権能に限定されているのが現行法の規定である。01年7月18日開催の計量行政審議会配付資料1「計量行政審議会の再編成について」には「従来は『建議』をも行ってきたが、『諮問に応じた答申』が本審議会の任務となった」と書かれている。

 今回の計量法の改正諮問はそのような制度上の枠組みのなかで出されたものである。経済産業省は現行の計量制度の法律等の規定とその実施体制が順調なのか不具合箇所があるかなど、実態を把握できる立場にあり、是正すべき事項に関してそれなりの考えを持つこともあることだろう。また計量法が規定する内容(計量制度)が、経済・社会の体制が変化することによって、両者に微妙なまたは大きなずれが発生することもあるであろう。たとえば現行計量法に至る過程では取引証明分野以外の計量器も含めてすべてが検定の対象であった時代もある。その後、検定等の実施を強制する規制対象計量器は大幅に縮小されてきている。

 こうした変化は計量器の技術と社会全般の産業等の技術との変化を反映したものであるから、計量制度は変化を求められるものである。その一方で、計量制度が社会制度の一つとして社会基盤を形成するという性質を持っていることから、この性質が求める一定の不変性も求められる。日本の初代の国際度量衡委員であったこの国の物理学と物理学教育の創立者でもあった田中館愛橘博士(東京帝国大学教授)は、諸科学の発展の根源として度量衡単位の統一が必要であると考えて、地球を回る衛星の月と同じように国際度量衡委員会などの会合に出席するために地球を駆け回った。

参考・計量法156条および157条

【計量法156条】

(計量行政審議会)

第百五十六条 経済産業省に、計量行政審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2  審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

3  審議会は、学識経験を有する者のうちから、経済産業大臣が任命する会長一人及び委員十九人以内で組織する。

4  前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。

【計量法157条】

 (審議会への諮問)

第百五十七条 経済産業大臣は、次の場合には、審議会に諮問しなければならない。

一 第二条第一項第二号若しくは第四項、第三条、第四条第一項若しくは第二項、第五条第二項、第十二条第二項、第十三条第一項、第十六条第一項、第五十一条第一項、第五十三条第一項、第五十七条第一項若しくは第七十二条第二項の政令、第十二条第一項の商品を定める政令又は第十九条第一項の特定計量器を定める政令の制定又は改廃の立案をしようとするとき。

二 第百三十四条第一項若しくは第二項の規定による指定をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定によりこれらの指定を取り消そうとするとき。

(本論説は、ウェブサイトの「新着計量計測情報BOX」http://blog.livedoor.jp/keiryou_keisoku/でごらんになれます。また計量法改正関連資料は「2005年度計量法改正情報BOX」(http://www.keiryou-keisoku.co.jp/hou-kaisei2005/hou-kaisei-top.htm)に掲載しています。ご利用ください。〔編集部〕)

 
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