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月例経済報告
−景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。−
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、海外経済の先行きを巡る不透明感や、今後の株価・長期金利の動向に留意する必要がある。
先月からの主要変更点(PDF形式)
月例経済報告
平成15年7月
総論
(我が国経済の基調判断)
景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、海外経済の先行きを巡る不透明感や、今後の株価・長期金利の動向に留意する必要がある。
(政策の基本的態度)
政府は、持続的な経済成長を実現するため、6月27日、経済活性化、国民の安心の確保、将来世代に責任が持てる財政の確立を目指し、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」を閣議決定した。今後、その早期具体化により、構造改革の更なる強化を図る。
政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。
各論
1.消費・投資などの需要動向
2.企業活動と雇用情勢
3.物価と金融情勢
4.海外経済
注)
<個人消費>
消費総合指数(内閣府試算値)は、4月(速報値)季節調整済前月比0.3%減の後、5月(速報値)は同0.1%増となった。なお、ここに掲げた消費総合指数は先月より改定値を採用している。作成方法については近日中に公表予定。
家計調査の全世帯実質消費支出は、4月季節調整済前月比1.9%増の後、5月(速報値)は同1.6%減(前年同月比0.8%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、5月(速報値)は季節調整済前月比1.6%減(前年同月比1.0%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、4月季調済前月比2.7%減の後、5月(速報値)は同1.3%増(前年同月比2.4%減)となった。また、百貨店販売額は、5月(速報値)は、前年同月比3.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.2%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、4月前年同月比2.6%減(店舗調整後)の後、5月は同4.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.0%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、5月前年同月比0.8%減の後、6月(速報値)は同3.4%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、4月前年同月比3.0%減の後、5月は同4.7%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、4月国内旅行が前年同月比11.1%減、海外旅行が同47.4%減の後、5月国内旅行が同1.9%減、海外旅行が同59.3%減となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差1.3ポイント悪化の後、3月同2.0ポイント悪化となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、5月前月差1.3ポイント改善の後、6月同1.2ポイント悪化した。
<設備投資>
平成15年1−3月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.0%減(前年同期比3.0%減)となっており、うち製造業では同1.2%減(同5.5%減)、非製造業では同2.4%減(同1.9%減)となっている。
平成15年1−3月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で1.1%減(前年同期比1.9%減)となっており、うち製造業では同2.4%減(同6.7%減)、非製造業では同3.4%減(同%0.1増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、4月は季節調整済前月比7.3%減(前年同月比0.7%減)の後、5月は同6.3%増(同3.8%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成15年度設備投資計画は、製造業で前年度比11.5%増、非製造業で同1.0%増となっており、全産業では同4.9%増となっている。また、中小企業では製造業で同13.0%減、非製造業で同12.9%減となっており、全産業では同13.0%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、3月は前年同月比3.4%減の後、4月は同1.2%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、4月は季節調整済前月比1.8減(前年同月比4.3%増)の後、5月は同6.5%増(同12.2%増)となっている。なお、平成15年4−6月期(見通し、3月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比10.5%減(前年同期比5.7%減)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物の着工床面積をみると、4月は季節調整済前月比5.2%増の後、5月は同0.8%増となっている。
<住宅建設>
国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4−6月期は0.4%増、7−9月期は3.3%減、10−12月期は1.0%減、平成15年1−3月期は1.8%増、4月は5.6%増、5月は0.6%増となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4−6月期は8.9%減、7−9月期は10.2%減、10−12月期は0.0%増、平成15年1−3月期は2.3%増、4月は27.5%増、5月は18.3%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4−6月期は0.2%減、7−9月期は3.2%減、10−12月期は1.1%減、平成15年1−3月期は1.1%減、4月は5.8%増、5月は0.7%減となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110、4月108となった。
<公共投資>
平成14年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、「改革推進公共投資」特別措置を含めた公共投資関連予算ベースでは15.9%減となっている。なお、平成15年度予算においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政対策においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で3月14.8%減の後、4月は6.1%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で4月8.0%増の後、5月は42.6%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で4月13.0%減の後、5月は16.4%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で3月10.3%減の後、4月は11.2%減(暫定値)となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で3月3.8%減の後、4月は3.0%増(暫定値)となった。
<輸出・輸入・国際収支>
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月は1.3%減の後、5月0.2%減(前年同月比2.8%増)となった。また、前期比で平成14年10-12月期は2.0%増の後、1−3月期は1.1%増(前年同期比8.7%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月は0.8%減の後、5月は2.9%増(前年同月比3.3%増)となった。また、前期比で平成14年10−12月期は0.7%増の後、1−3月期も0.7%増(前年同期比6.2%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成15年3月は6,425億円の後、4月は6,303億円、通関収支差(季節調整値)は、平成15年4月は8,016億円の後、5月は7,589億円となった。
<生産・出荷・在庫>
5月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電子部品・デバイスや輸送機械等が増加したことから、前月比2.5%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、6月は一般機械や情報通信機械等の増加により1.2%増の後、7月は情報通信機械や電子部品・デバイス等の減少により0.7%減になると見込まれている。
5月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.3%増となった。また、5月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は96.7となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、4月(速報)前月比0.3%増となった。また、2-4月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同11−1月平均対比)をみると0.6%増となっている。
<企業>
財務省「法人企業統計季報」によると、1−3月期の経常利益は全産業で前年同期比10.0%増、製造業は36.6%増、非製造業は1.2%減となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比7.0%の増益、下期は同24.7%の増益、通期では前年比16.4%の増益、平成15年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比4.6%の増益、下期は同13.2%の増益、通期では前年比9.5%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」−「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント改善して△9%ポイント、中小企業は1%ポイント改善して△32%ポイント、全規模合計では前回と変わらず△26%ポイントとなった。
<倒産>
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,452件(前年同月比16.0%減)、負債総額は7,889億円(同40.9%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,482件(同12.6%減)、負債総額は8,008億円(同26.2%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、82件(同25.4%減)となっており、主な大型倒産としては、貸金業のアール・エス・ティー(負債2,124億円)など(東京商工リサーチ調べ)。
<雇用情勢>
総務省「労働力調査」によると、5月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比同水準の5.4%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差1万人減の361万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差15万人増の151万人、自発的な離職による者は、同3万人減の119万人となった。
労働力調査によると、5月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で4月前月比0.1%減の後、5月は同0.1%減の5,338万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、4月季節調整済前月比0.8%増の後、5月は同0.6%増(前年同月比8.2%増)となった。有効求人数は、4月同0.3%増の後、5月は同0.8%増(同9.6%増)となった。新規求職件数は、4月同3.9%増の後、5月は同4.2%増(同1.4%減)となった。有効求職者数は、4月同0.5%減の後、5月は同0.2%減(同5.9%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は4月1.03倍の後、5月0.99倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、4月0.60倍の後、5月0.61倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比同水準(前年同月比10.4%増)の後、5月は同2.5%増(同10.3%増)(速報値)となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では、3月調査の13%ポイントから、6月調査では15%ポイントとなった。製造業では、3月調査の19%ポイントから、6月調査では18%ポイントとなった。非製造業では、3月調査の10%ポイントから、6月調査では12%ポイントとなった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比0.5%減(前年同月比0.4%減)の後、5月は同0.6%増(同0.5%増)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では5月前年同月比0.5%増(速報値)となった。
<物価>
日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年5月(速報値)は前月比0.8%の下落(前年同月比3.1%の下落)、3ヶ月前比は0.4%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、5月(速報値)は前月比3.0%の下落(前年同月比2.5%下落)、3ヶ月前比は3.3%の下落となった。また、国内企業物価は、5月(速報値)は前月比0.3%の下落(前年同月比1.0%下落)、3ヶ月前比は0.4%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の5月の企業向けサービス価格は前年同月比0.8%の下落(前月比0.3%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、5月は前年同月比0.4%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、3−5月平均の前年同期比は0.5%の下落となった。一般サービスは、5月は前年同月比保合い、3−5月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、5月は前年同月比1.2%の下落、3−5月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。公共料金は、5月は前年同月比0.8%の上昇、3−5月平均の前年同期比は0.4%の上昇となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、6月は前年同月比0.4%の下落(季節調整済前月比保合い)、4−6月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。
<金融>
無担保コールオーバーナイトレートは、6月は、−0.004〜0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、6月は、0.07%〜0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、6月は、0.4%台〜0.7%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、6月末は903ポイントとなった。日経平均株価は、6月末は9,083円となった。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、6月末は119.85円となった。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、6月末は137.25円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、6月(速報)は前年同月比20.3%増となった。6月の日銀当座預金平均残高は28.9兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.8%増となった(6月速報)。広義流動性は、6月(速報)は前年同月比0.2%増(簡易保険福祉事業団保有金融資産の日本郵政公社への承継による影響を除くと2.4%増)となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、6月(速報)は前年同月比4.8%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.4%減)となった。6月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、14,903億円(銀行起債の普通社債は800億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、5月は前月比で短期は0.049%ポイント低下し、長期は0.336%ポイント低下したことから、総合では0.164%ポイント低下し1.526%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、資金繰り判断および金融機関の貸出態度は改善している。
<景気ウォッチャー調査>
内閣府「景気ウォッチャー調査」の6月の現状判断DIは、前月を3.7ポイント上回り、42.1となった。先行き判断DIは、前月を2.8ポイント上回り、45.4となった。