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2008年・関係団体の行動の基本

科学機器業界の発展のために

日本科学機器団体連合会会長 入江照四 


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 新しい年を迎えまして業界の皆々様に新年のご挨拶を申し上げます。

 今日の科学機器は、研究室から生産工程にいたる全分野で使用され、さらに地球環境の有効な管理システム機器としても大きな役割を担っています。そのために国の研究機関をはじめ関係学会及び関連団体との連携強化が一層望まれてきております。

 一方、国際ビジネス社会において、グローバル、ボーダレス化が進んでおりますが、わが国の科学機器産業は、明治・大正期にドイツをはじめとする欧米からの輸入に端を発しており、その性質上、設立当初からグローバル・ボーダレス化が当然の流れとして今日の発展に繋がっております。

 本年秋に、「全日本科学機器展in東京2008」(全科展)を東京ビッグサイトで開催いたしますが、その際に日本、台湾、韓国、タイの四カ国で構成される「アジア科学機器業界団体会議:ASIC(Asia Scientific Instrument Conference)」を開いて、各国が抱える科学機器を巡るマーケティング分析、業界環境情報の交換等について話し合いなどを持ちたいと考えております。

全日本科学機器展はユーザーとの連携を

 昨秋、大阪で開催した「全日本科学機器展in大阪2007」では、近畿経済産業局が推進する近畿地域クラスタープロジェクトと連携、その推進機関であるネオクラスター推進共同体およびNPO法人近畿バイオインダストリー振興会議、NPO法人資源サイクルシステムセンターの三機関と共催で新産業を創る先端科学技術フォーラム2007が併催され、産官学の連携による成果が具体的に示されました。

 現在、各地区においても地元の大学や公的研究機関、さらには民間企業や研究機関の研究者をはじめ生産工程の専門技術者との交流が活発に行われてきています。特にここ十年来、産学官の連携による研究開発が徐々に成果をあげてきていることから、この全日本科学機器展への期待も高まってきております。

 「全日本科学機器展 in東京2008」では、出展者が日頃のユーザーとの交流を深め連携の絆をより強化する上で絶好の場を提供できると考えております。科学機器産業のより一層の発展のためには、会員同士の強固な連帯とユーザーとの広範な交流及び連携が不可欠です。

業界におけるコンプライアンスとは

 ここ数年、企業の法令違反等による不祥事が次々に新聞、TVで取り上げられビッグニュースとして賑わせていますが、社会の指弾を受けた企業はことごとく存立の危機にさらされています。このような背景のなかで、コンプライアンスという理念が積極的に取り入れられるようになってきました。コンプライアンス即ち法令遵守という基本的な問題に立ち返って、企業のあるべき姿を模索し始めたのです。コンプライアンスは通常、法令遵守として使われていますが、今日の企業活動においては、法令遵守と言うだけでなく、企業理念、社会モラルにまで広げた企業哲学の領域にまで発展させた仕様になってきています。

 企業としては、利益を追求することが究極の課題ではありますが、社会的な要求から生まれた存在であるということです。そのために、企業には公益性が強く求められています。特に今日、物流の社会化、国際化が進む中においては、企業はそのプロセスの見直しが迫られています。法令遵守を一歩進めた企業の理念、方針、規則等にコンプライアンスの思想を心棒として据えることが求められています。即ち、コンプライアンスは、法令遵守を基礎的な理念として、自らの信頼を確立するための自主的な規則を作成することを求めているのです。

 科学機器産業は、公益性の高い産業ですから、多面にわたって多くの法律及び規則によって製造から販売に至るまでの諸活動が規制されている産業です。この規制を遵守することはもちろんですが、科学機器産業が持つ高い技術力が集約された製品を作り出すバックグラウンドを確立することが、産業発展の土台になるものと確信しています。要は決められたことを確実に実行することによって、次元の高い理念、そしてそれに基づく新たな制度を確立することができるという螺旋的な発展図式になるのではないかと思っています。

中小企業の事業承継は産業の土台

 中小企業における事業承継問題は、国の産業政策にとっても重要な課題となっています。中小企業のみでなく、大企業をも含めた企業そのものが継続を生命とし、責務としているのです。承継に失敗したとき、その企業は社会的な責務を放棄したことになります。国の産業政策は、企業の永続的な発展を保証することにあると言っても過言ではありません。

 特に産業社会において、弱い立場にある中小企業の事業承継は産業の土台を担っているだけに、国としてもそのための支援策を多く講じてきています。

 昨年、SJC設立40周年記念祝賀会が開かれましたが、四十年前に科学機器業界に二代目の会「SJC」が誕生したことは、業界が長い歴史の中で培った一つの知恵だったとも言えます。この知恵が今日の科学機器産業の発展に貢献してきたのです。

 時代は常に動き、流れています。この流れに沿って新たな革新を遂げていくことで、事業は確実に承継されるものと確信しています。

 今年が良い一年となりますように、皆々様のご健勝と益々のご活躍を祈念いたします。

(以上)

 
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