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食中毒を防ぐデジタル温度計特集

特集記事 製品紹介

温度管理が食中毒予防のカギ
デジタル温度計で正確に

減らない食中毒事故

蒸し暑くなってくると、毎年食中毒の発生が報じられる。

食中毒の発生予防はいまだ大きな進展を見ていない。2007年の食中毒発生数は、発生件数1289件、患者数33477人、死者7人。発生件数は2003年以降減少傾向にあるが、患者数・死者数は一進一退の状況にあり、予防意識が充分に浸透していないことを感じさせる。

食中毒の発生要因

食中毒の原因物質には、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、腸炎ビブリオなど細菌性のもの、ノロウイルスなどウイルス性のもの、洗剤などの化学物質、毒キノコや自家調理したフグなどの自然毒などがある。中でも、カンピロバクター、サルモネラ属菌およびノロウイルスなど、少ない菌数あるいはウイルス数でも発症可能な微生物による食中毒が、発生件数、患者数共に、上位を占めている。

原因施設としては、飲食店や旅館など、一度に大量の調理をする施設が多い。近年は仕出し屋、弁当販売店を原因とする事例も増えている。

発生要因には、原材料の汚染、未加熱または加熱不足、調理後の保管方法・保管時間の問題、また、手や器具からの二次汚染などが挙げられる。いずれも衛生の基本的な事由に係わることであり、一層の自主管理体制推進が求められる。

一方で、家庭の食事からの発生も、発生件数全体の10%近くに及んでおり、各家庭での日頃の心構えが必要といえる。

細菌性食中毒予防の原則

細菌性食中毒の予防の三大原則は、「細菌は付けない、増やさない、死滅させる」。食中毒菌を食品に付着させない清潔な調理環境作り、細菌を増やさない迅速な時間管理、細菌を死滅させる適切な温度管理が重要である。

清潔な調理環境

調理施設、調理者、調理器具等は、常に清潔に保つ。掃除や手洗いはもちろん、食器、まな板、包丁、ふきん等の調理器具の洗浄消毒を徹底する。また、調理者の健康管理にも充分な注意を。

迅速な時間管理

分裂速度が最も短い菌の一つである腸炎ビブリオは、最適条件下では7分以内に2倍に増殖し、2時間ほどで食中毒を起こすのに充分な菌数に達してしまう。調理から食事までの時間は、できる限り短くするよう心掛ける。また、食品を冷却することは細菌の増殖を停止または抑制する効果があるが、その際も迅速な対応が必要。25〜42℃の温度帯では、細菌は最も繁殖しやすい。

適切な温度管理

食材を加熱する際は、細菌性食中毒の予防には75℃(食材の中心温度)で1分以上、ノロウイルスによる食中毒の予防には、85℃で1分以上の加熱が望ましい。また、保温する場合は、中心温度を65℃に保つ。

一度加熱したものでも、一旦冷ましたものは必ず75℃まで再加熱すること。死滅せずに潜んでいた細菌が再繁殖している可能性がある。

冷たい食品は10℃以下に。保存の際は、冷蔵庫で10℃以下、冷凍庫でマイナス15℃以下を目安とする。

HACCPに基づいた食品衛生管理を

食品衛生管理は、HACCPに基づいて行う。

従来、食品の安全性確保は、主に最終製品の抜き取り検査により行われてきた。

これに対してHACCP方式は、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程においてあらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点を継続的に監視・記録し、異常が認められた場合はすぐに対策を取って解決する。抜き取り検査だけでは排除しきれなかった食中毒菌の付いた食物の出荷を、未然に防ぐことができる。

正確な温度管理のために

細菌性食中毒防止のためには、正確な温度管理が必須である。

食品の温度は、表面では正確に測定できない。食品用中心温度計を用いて、食品の中心の温度を測る必要がある。煮物などを測定する際は、最も熱が通りにくい食材を選ぶと良い。

冷蔵庫や冷凍庫、フライヤーに付いているサーモスタット等は、温度表示が正しく作動しているか、正確な温度計で定期的に確認すること。

食品の調理・保存過程で、細菌が増殖しやすい温度帯の環境に置かれていないか確認するためには、ボタン型の温度データロガーを用いて時間と温度を測定する方法がある。

家庭でできる
食中毒予防の6つのポイント

(1)食品の購入

▼生鮮食品は新鮮なものを購入▼消費期限の確認▼肉汁や魚などの水分がもれないようビニール袋に分けて包む▼冷蔵・冷凍など温度管理が必要な食品の購入は最後に

(2)家庭での保存

▼冷蔵・冷凍の必要な食品は持ち帰ったらすぐ冷蔵・冷凍庫へ▼冷蔵・冷凍庫の詰めすぎに注意(目安は7割)▼冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下が目安。温度計で計れば、庫内温度の管理がより正確に▼肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないように▼肉・魚・卵は扱う前後に必ず手指を洗う▼食品を直接床に置かない

(3)下準備

▼ゴミを捨て、清潔なふきんで▼手を洗う▼肉や魚の汁が生で食べるものや調理済み食品にかからないように▼生の肉や魚を切った後の包丁とまな板は、そのまま使わず洗って熱湯をかけた後使う。肉用、魚用、野菜用と別に使い分ければさらに安全▼カット野菜もよく洗う▼冷凍食品は室温で解凍せず、冷蔵庫の中や電子レンジで。水を使って解凍する場合には、機密性の容器に入れ、流水を使う▼使う分だけ解凍し、解凍したらすぐ調理する。一度解凍した食品を再び冷凍するのは危険▼使用した調理器具は、洗剤と流水でよく洗う

(4)調理

▼加熱調理の目安は、細菌性食中毒予防の場合中心部の温度が75℃で1分以上、ノロウイルスの場合は85℃で1分以上▼調理を途中でやめるときは冷蔵庫に入れ、再び調理するときは充分加熱する▼電子レンジには専用の容器を使い、調理時間に気を付ける

(5)食事

▼食卓につく前に手を洗う▼清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけ▼温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下に保つ▼室温に長く放置しない

(6)残った食品

▼残った食品を扱う前も手を洗う▼残った食品は早く冷えるよう、浅い容器に小分けして保存▼温め直すときも充分に加熱する。目安は75℃以上。味噌汁やスープは沸騰させる▼時間が経ちすぎたり、ちょっとでも怪しいと思ったりしたら、食べずに捨てる

食中毒の事例

5月27日新潟県で、市内の仕出し業「ヨカロ」の給食を食べた市内5つの私立幼稚園の園児334人、職員58人の計392人が、下痢などの食中毒症状を起こした。同市保健所によると、ヨカロは献立の肉じゃがを配達の前日に調理。その後の長時間の放冷や当日の再加熱が不十分だったために、原材料中に含まれていたウェルシュ菌が大量増殖し食中毒に至った。

また熊本県では、5月29日、差し入れのおにぎりを食べた人吉市の人吉高校野球部員ら21人が、下痢や嘔吐の食中毒症状を起こした。おにぎりは部員の保護者が前日28日に作り置いていたもの。

さらに6月7日、愛知県の名古屋大の学園祭で、来場者が嘔吐・腹痛の症状を訴え、44人が病院で治療を受けた。原因は特定されていないものの、症状のあった多くが模擬店のクレープを食べており、食中毒の可能性が高いという。

 

 

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