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日本計量新報 2010年10月24日 (2843号)

既存概念にとらわれない計量器が未来の市場を開拓する

長引く不況で消費が低迷し、国内の販売業全体が苦境に陥っている。食料品や衣料品などは、少ない需要を取り合って販売競争が激しさを増している。最近はコンビニエンスストアが売上高をのばし、スーパーマーケットや八百屋や精肉店といった小売専門店の売上高を食っている。商店街がシャッター通りとなる姿は、都市部も地方も同様である。コンビニエンスストア同士でも、競争は熾烈をきわめ優勝劣敗。閉店に追い込まれる店舗を郊外でよくみかける。
 ガソリンの販売店は、ガソリン価格の高騰などによって自家用車の実働が減り、消費が落ち込んでいる。同じパイを分け合っていたガソリンスタンドの閉店が相次いでいる。高速道路のインター付近のガソリンスタンドの閉店が目に付くだけではなく、街中の小規模ガソリンスタンドの廃業も続いている。ガソリン販売だけでは儲けにならないから、添加剤やその他の関連製品を販売して不足を補えと、ガソリン元売りが販売店に指示するという。

不動産業界も、マンションなど住宅建設の多くが赤字といった状況である。日本の人口が減少に向かうのは、統計数字の確実な足取りである。核家族化で世帯数はある程度増えてきたが、この先にはこれも後退し、住宅の需要が減ることが予測される。かのバブル景気は夢の彼方に消え去り、名の知れた大手業者がいくつも市場から姿を消した。

 これらの事柄は、直接的に計量計測器の販売量に関係する。八百屋や精肉店が減ると店頭で使うハカリの販売に影響がでる。ガソリンスタンドが減るとガソリン計量器の販売に影響がでる。無人スタンドへの切り替えによって需要減退を少しは食い止めることができるとしても、ガソリン計量器の販売数量は現在の状況では増える余地がない。住宅には電気・ガス・水道などの料金メーターが設置されている。人口が減り続け、住宅着工件数が伸びない状況では、市場の規模拡大は望めない。
 旧来の概念の計量器で旧来の市場を対象にしてビジネスをしている限り、ビジネスの規模の拡大はおぼつかない。自動車産業ほか主要産業が、海外市場で活動して売り上げを伸ばしている状況は、ビジネスの国際化を明確に示す。GDPがほとんど増えない日本の市場では、無駄を生む社会構造ができている。食べない食品、着ない衣服その他のモノもGDPにカウントされている。消費に対応する値は、正式数値から無駄になる分を引いたものと考えたらいい。
 そのような国内市場で注目されている計量器ビジネスがある。体重を計るだけでなく、健康を増進することを目的にした計量器や、情報提供、コンサルティングなどのビジネスが登場し、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌に取り上げられていいる。
 これらの事柄が示すように、計量器が新しい市場を開拓して規模を拡大するためには、新しい概念と技術を生み出すことが必要とされる。

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