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顧客とのコミュニケーションを改善し発展めざす
−人材のトレーニングで、サービス強化はかる−


ゲリ−・ケラー

メトラー・トレド(株) 代表取締役社長

vol.2

日本計量新報 2009年9月13日 (2789号)2-3面掲載

先んじて対応する

財務的に大きな影響はない

−−金融危機がメトラー・トレドに及ぼした影響はどうですか。

メトラー・トレドの2009年第1四半期の業績を見ると、世界的な経済不況の影響が日本法人にも及んでいます。
 これに対して、われわれは早い段階から、コストの削減などの対応をしてきています。したがって、売り上げは伸びていませんが、財務的には大きな影響は被っていません。会社は贅肉を落としてきているのです。
 重要なことは、何か問題が起きてから対応するということではなく、先んじて対応することです。したがって、コストの削減にも早い段階から取り組んできているわけです。
 それは今後の投資に備えるためであり、金融危機は、ある面ではチャンスでもあるので、いくつかの変革を行っています。景気が回復すればまた投資をしていくことを前提としています。現状に関してそれほど心配はしていません。

メトラー・トレドの事業戦略

製薬など多くの 分野で事業を展開


−−具体的な事業戦略はどのようなものですか。

メトラー・トレドが事業を展開しているのは次の分野です。まず製薬業界です。われわれにとって最大のお客様です。他に液晶パネルの製造、化学、石油化学、ファインケミカル、香料・香水、食品などの分野、学術系で大学や研究所などです。

創薬から小売りまで全プロセスをカバー

製薬業界を例にお話しします。メトラー・トレドは計量計測機器という分野でお客様に価値を提供しています。創薬の段階から、製造、そして小売りの段階まで、各プロセスをすべてカバーしています。
 メトラー・トレドはお客様がつくる製品の品質の向上のため、また生産性の向上・効率化のためにソリューションを提供しています。

お客様が抱える 問題の理解が重要

私は、お客様がどのような問題を抱え、それをどう解決したいのかということをしっかりと把握することが重要であると思っています。
 お客様といろいろコミュニケーションをとりながら、お客様が直面している問題の理解に努めています。

各業界向けのニュースレターを発行

お客様とコミュニケーションをとる方法はいろいろありますが、その一つがお客様の業界向けのニュースレターを発行することです。
 製薬業界向け、化学業界向け、自動車業界向け、香料の業界向けなど個別業界向けのさまざまなニュースレターを発行しています。

市場でトップの地位を獲得・維持する

もう一つ紹介したいメトラー・トレドの特長があります。
 我々は事業活動のなかで、その市場におけるリーダーのポジションを獲得し維持したいと思っています。
 それは、グローバル市場のリーダーになれば、革新的な技術を開発するキャパシティーが持てますし、その業界のなかでさらにイノベーションを起こしていけるからです。技術的にもトップの地位を維持していけるのです。
 それによりお客様にさらによりよいソリューションを提供できます。

重要戦略はグローバルリーチ

我々が掲げる重要な戦略の一つに「グローバルリーチ」があります。
 各業界において我々は、最も幅広く、深く掘り下げたサービスを提供しています。我々はこのことに誇りを持っています。
 お客様がどこに工場を建設し、どこで市場を開拓して投資をしても、われわれは常にお客様が進出したところの近くで、お客様の活動を支援することができると考えています。製品、アプリケーション、ソリューションシステムをサポートすることができます。

コミュニケーションを改善

アジア・太平洋地域で12年の経験

−−日本法人の事業内容をお話しください。

日本では、安定した経営体制の構築という点で、これまでは少し弱点があったと考えていますので、私は安定した経営体制を作っていくつもりでいます。
 私は日本に着任するまでに、メトラー・トレドで20年間仕事をして経験を積んできています。このうち最近の12年間はアジア・太平洋地域に赴任し、仕事をしています。
 そして今回初めて内部昇格という形で日本のメトラー・トレドの責任者になりました。この人事は、メトラー・トレドグループとして、日本法人の安定かつ長期的な発展を望んでいるという現れです。

パートナーとのコミュニケーションの改善

私は日本法人の社長として着任してすぐに、改善した方がよいと感じたことがいくつかありました。
 一つは、我々のパートナー、つまりディーラーやディストリビューター(卸売業者や販売代理店)とのコミュニケーションの改善です。我々のバリュー・チェーン(価値連鎖)のなかで、これらの方々が重要な位置を占めていることは明らかだからです。
 パートナーとして重視して活動していかなければなりません。
 これらのパートナーに適切なツールやトレーニングプログラムなどを提供していくことが重要だと考えています。

お客様とのコミュニケーションも改善

エンドユーザーとのコミュニケーションも、もっとうまくやっていく必要があります。我々は計量計測業界ではテクノロジーの面においてもリーダー的立場ですので、お客様に対して我々が持っているノウハウをもっと提供していくことが大事ではないかと考えています。
 メトラー・トレドが持っているノウハウにより、お客様の製品の製造技術・製造工程や品質が向上すること、メトラー・トレドがもっとお客様の役に立つことが望ましいと思っています。

お客様からも学ぶ

我々は日本のお客様からももっと学ばせていただきます。それを活かしてよりよい製品をつくることで、お客様のプロセスの改善にさらに役立ててもらえると思っています。
 このようにさまざまな方法で、パートナーやお客様とのコミュニケーションを改善していくべきであると考えています。

さまざまなトレーニングプログラムを用意

その一つとして、トレーニングプログラムを挙げることができます。メトラー・トレドは、お客様向け、ディーラー向けにさまざまなトレーニングプログラムを用意しています。これらを通じてわれわれが持っているノウハウをディーラーやお客様に伝えていきたいと考えています。
 以前はこういったことが不十分でしたので、その反省にたって、このようなトレーニングプログラムを作成したのです。もちろんこれには多くの作業が必要でしたし、自分たち自身をさらに鍛えていかなければなりません。これらをもっと発展させていけるように、強い意志を持って取り組んでいきます。

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