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日本計量新報 2011年4月23日 (2867号)2面掲載

東日本大震災の爪跡(3)

陸前高田市の国道45号線(4月2日午後撮影)

国道・公道の復旧を足がかりに

写真は、4月2日時点での国道45号線の風景である。自衛隊の災害出動によって道路を塞いでいた残骸物が取り除かれていたため、すでに三陸沿岸を縦断する国道45号線は開通していた。

その道路に沿って次々に送電用の電柱が建てられ、送電線が張られている。東北道を電柱を積んで走る車の数が復旧の証だ。今後、送電線と併行して電話用の通話線が張られることになる。電気、ガス、水道といった生活基盤の復旧も、全国の業者を動員して、急速に進められていくだろう。釜石市鵜住居地区、大槌町、山田町は、火災によって町の中心部が焼けてしまったが、町の公道のほとんどが復旧している。

自衛隊や地方公共団体などの働きは、十分とまでは言えないまでも、予想を超えて目を見張るほどである。鍵を握るのは政府の政策であり、復興、振興のための知恵である。

前出の山田町の中心部は火災により、甚大な被害を受けた。この地で育った県立病院の医院長の家も火事で焼けてしまったが、不眠不休でこの地の緊急医療に当たっている。こうした人々の活動を振興の足がかりにすることが大事である。

救済、救援、復旧、復興、振興の5段階

今後は、震災に伴う悲嘆を希望に変えていく復興策が求められる。

阪神淡路大震災の経験とその対応で力を発揮した堺屋太一氏は、緊急非常事態への対応として、救済、救援、復旧、復興、振興の5段階があると述べている。

今回の震災の復興、振興にあたって、堺屋氏は以下のような対策例を挙げている。

多数ある漁港に加えて貿易港をつくるくらいの発想が必要。津波対策としては、津波で浸水する海抜の低い地域は自然公園などにして、住む場所は山を削って高台に住宅地を作るといい。港湾施設は津波を受け流すか、それに耐える構造を模索する。住まいのための電力は、様々な方式による自家発電にすることも考えられる。若者や外国人を呼ぶ込むための文化的なソフトウエアの開発も求められる。政府や財界が共同して、東北のなかでも地震にも津波にも強い地域を選んで工業団地を構想してもいい。

振興策は夢に繋がる

数々の外交問題を抱える我が国であるが、まずは国内の復興が急務であるので、今はこの関連の費用を東北地方・関東沿岸部の復興のために回すべきであろう。

東北地方は日本の重要な一部である。東北が元気を失うと、たちまち日本全体が衰弱していくことになろう。家を失い、職場を失った人々は、収入を得る手段も失ってしまった。お金を失った人にお金を、設備を失った人に設備を、住まいを失った人に応急住宅とその後の住まいを用立てて、仕事や職場を失った人には再就労できる環境をつくっていかなくてはならない。被災した東北地方と関東地方、そして東日本の人と企業と地方公共団体の復興をまずは成し遂げなくてはならない。自助による復旧、復興には限界がある。だから国が大いに助けるべきである。

単なる復興のみでなく、夢や希望や勇気が湧いてくるような、その先にある振興のことを考えるといい。振興策は夢につながる。復興から振興につながる方策を練って、夢をもって生きていくことが望まれる。この課題は東北地方の人々だけではなく日本人全体の課題である。

YouTubeで関連動画公開中!http://youtu.be/hicA-56hCy0 (「東日本大震災」)


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