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計量新報 2006年 10月15日発行 /2648号 6面


平成18年度第1回国際計量研究連絡協議会(1)
2006年9月27日、泉ガーデンタワー

資料4−1

計量制度の見直しの概要
−官民の力を結集して安全・安心、経済成長に貢献する計量制度へ−

(おことわり:資料1〜資料3は割愛します)

1.計量トレーサビリティの拡充

(1)問題の所在
1)計量トレーサビリティ制度(平成4年創設)が定着し、産業(モノ作り)、環境計測、医療診断、食品安全確認等向けの需要が増えている。しかし、計量標準が足りないため、計量トレーサビリティがとれる計量単位の種類が需要に比べて極めて足りない。
2)計量の校正事業者(計量トレーサビリティを確認する民間企業)が足りない。
(2)対応方針
1)計量標準を拡充するため指定計量標準制度を導入(海外、民間の計量標準を活用)。
2)校正事業者を認定する機関を民間開放する(指定登録事業者登録機関制度の導入)。

2.計量証明事業者等の信頼性確保

(1)問題の所在
1)計量証明事業者は、法制度で認められた計量の専門機関として、企業や自治体から信頼されて計測を依頼されている。しかし、昨年、ダイオキシン濃度の計量証明を行う特定計量証明事業者が計量証明書を偽造した事案が明らかになった。初の行政処分(認定取消し)を行ったものの、現行の計量法に本事案に係る罰則はない。
2)一部の計量証明事業者の能力に問題があり、企業、自治体の発注者の選択が難しい。
(2)対応方針
1)計量法に基づく証明書の偽造に係る罰則を創設する。
2)計量法に基づく制度に、可能な限りISO/IECの管理基準を導入する。
3)ISO/IEC17025(試験所認定制度の基準)を満たした計量証明事業である特定計量証明事業の取得可能範囲を拡充し、発注者の選択肢を増やす。

3.計量器の規制の見直し

(1)問題の所在
1)適正な計量の実施を確保するため、特定の計量器については、検定等の規制を課している。これらの規制を時代の経過とともに見直す必要がある。
2)前回の規制の見直しは平成4年であり、10年以上経過して、課題が出てきている。
(2)対応方針
1)指定製造事業者の製造する特定計量器については、現在、新品にしか認められていない自主検定等を、同事業者が修理した修理品についても自主検定等を認める。
2)家庭用計量器制度(ヘルスメーター等)を廃止する。また、自主的品質管理の助けとするためJIS等を整備することを検討する。
3)特殊容器制度(「正」標章を付す一升瓶等を、指定製造者のみが製造して良いとする制度)を廃止し、商品量目規制(政令で定める密封した商品は、一定の誤差内の重さでなければならない)に係らしめる。
4)その他、政令で定められている特定計量器を見直す。


資料4−2

計量制度検討小委員会報告書(案)(抜粋)

(編集部注:本資料は5月にまとめられた報告書案の抜粋です。ここでは報告書案本体の掲載は割愛し、巻末に追記された「おわりに」と、その後追加された「追加参考」を掲載します)

おわりに

1.以上のような制度の導入等は、社会ニーズや変化に対する新しい計量制度として早急に求められるものである。また同時に、その確実な運営の重要性にかんがみ、具体的展開に向けて随時有識者などの協力を得るとともに、関係事業者が着実な準備を整えられるよう留意すべきである。
2.なお、検討の中で地方公共団体から、計量制度に係る国と地方公共団体の役割分担を明確にすることについて指摘があった。地方分権推進の中で地方公共団体の実施する事務の大部分について、国の包括的な指揮監督権の下で行う「機関委任事務」から地方公共団体の自立的な責任の下で行う「自治事務」となり、6年余りが経過した。「地方分権の推進」は今でも変わることのない政府の方針であり、計量法においても地方公共団体が地域の実情に合わせ自ら自主性を高めた計量行政を推進していくべきと考える。その際、地方公共団体においては、検定などの自治事務について、例えば、指定検定機関やそれと同等の能力を有する機関に対し、サーベイランス等の十分な監督を行うこと等により、適正な計量の確保を自ら担保した上での検定業務の委託や地方公共団体間で連携した検定業務への対応、定期検査における指定定期検査機関等の民間能力の活用を進めるなど、今回の検討により地方公共団体の計量法の執行における選択肢が拡充され、このことが現実となることが期待される。
 国においても、平成18年3月10日、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」が閣議決定の上国会に提出され、国家公務員の年度末総数を今後5年間で5%以上の純減とすることや、独立行政法人についても総数又は人件費を今後5年間で5%以上の純減とすることを目標とすることについて審議が行われている。また、「行政改革の重要方針(平成17年12月9日閣議決定)」では、民間参入に向けた環境整備等を含め、事務事業の削減を強力に進める方針が示されている。
(1)国が担うべき主要な役割・責務
 計量標準の供給や技術基準の制定等、全国的な統一を図る観点から実施すべきもの
●計量制度自体の設計、整備
●計量単位の統一
●国家計量標準の開発・維持・供給
●国家計量標準供給制度の運用
●特定計量器の指定、型式承認の実施
●検定、定期検査、計量証明検査の合格条件等の統一的な技術基準(法律、
政令、省令)の制定
●技術基準の国際整合性の確保
●指定製造事業者制度の運用
●全国統一的な観点からの特定商品の指定及び量目公差の設定
●計量士関連
●全国的な計量思想普及策の実施
●法令解釈
(2)地方が担うべき主要な役割・責務
 消費者保護や地域住民サービスの一環として適正な計量の実施の確保を図る観点から住民に身近な行政主体として実施すべき役割・責務
●商品の販売に係る量目立入検査の実施及び強化
●検定、定期検査、計量証明検査の実施
●適正計量管理事業所の指定及び指導
●製造事業者、販売事業者、特定計量器を使用する者等に対する立入検査
等の実施及び強化
●自主計量管理の推進のための指導
●地方の自主性を高め地域の実情に合わせた上記事務の運用の実施
●計量行政事務の実施水準の確保
●都道府県と特定市間及び隣接県間の連携強化
●地域住民等への情報の提供及び計量思想普及策の実施
3.また、事後規制の充実のために、地方公共団体は計量に従事する職員の計量教習の必要性を十分認識し、計量教習制度の効果的かつ積極的な活用を図ることが期待される。
4.なお、今回の検討においては、正確な計量器を使用していることのサーベイランスの充実や量目取締りの充実などが挙げられており、例えば、地方公共団体内の事業所数とそのうちの年間でのサーベイランスの実施の件数や、11月の計量強調月間に地方公共団体が特定の特定計量器について全国一斉にサーベイランスを行うこととし、その結果など、事後規制の実施の状況について、経済産業省が地方公共団体の協力を得て集計等し、公表することが期待される。

(追加参考)
小委員会報告書(案)の計量行政審議会への報告以降の検討状況
平成18年7月現在
 本小委員会報告書(案)は、平成18年6月13日(火)に開催された平成18年度第1回計量行政審議会に報告された。また、平成18年5月23日(火)から6月23日(金)までの間、パブリックコメントを行った。また、平成18年8月から11月にかけて、地方経済産業局ごとに説明会を開催し、地域の関係者等に広く告知して理解を得るとともに、意見を募ることとしている。
 現在、計量行政審議会での委員の発言や、パブリックコメントに寄せられた意見等を踏まえて、例えば、以下の件について、更なる制度見直しを検討している。

1.「おわりに:民間参入に向けた環境整備等を含め、事務事業の削減を強力に進める方針」関連
 計量法全体について、国が安全・安心に責任を持つ体制を維持する中で、可能な分野について、民間活力をさらに活用できないか。
 例:「2.計量標準の開発・供給(2)JCSS(計量標準供給制度)」関連
 現在、国のみが行うことになっている「JCSS事業者の登録事業」について、民間も行える制度に変更すべきか等

2.「2.計量証明の事業(1)計量証明事業の改善」関連
 計量証明事業制度を拡張し、高度計量証明事業制度(仮称)(ISO/IEC17025を満たし、計量士を置く)を創設すべきか。

 
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