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計量新報 2006年 9月24日発行 /2646号 6面


 資料

計量標準の供給開始と校正範囲の拡大(7)
計量行政審議会平成17年度第2回計量標準部会資料より

参考資料4-2
校正等の実施について(流量(液体流量))

(2644号6面のつづき)

4.計量法135条第1項に基づく校正実施機関

 独立行政法人産業技術総合研究所

5.特定二次標準器

(1)液体流量校正装置
(2)特定二次標準器の具備条件
(a)液体流量校正装置は、十分に整えられた流れが被校正流量計に流入するような管路を持ち、秤量タンクにより標準流量を求める通液式校正装置であること。
(b)秤量タンクに一定時間水を流入させ、秤量計により測定された液体の流入質量を流入時間で除して質量流量を求め、さらに被校正流量計内の水の密度から体積流量を求め、これを基準として流量計の校正を行うこと。
(c)以下の技術的要件を備えること
1)脈動の発生を抑制し、連続的に一定の流量を発生する機能を備えること。
2)計測対象の水流が秤量タンクに流入している状態から秤量タンクを迂回している状態への切り替え、またその逆方向の切り替えを、十分短時間で行うことのできる装置(転流器)を備えること。
3)被校正流量計に十分整った流れが流入するように被校正流量計の上流と下流の管路を配置すること。
(2)特定標準器による校正等の期間(校正等の周期)
 2年

6.トレーサビリティの体系図及び測定の不確かさ

(1)トレーサビリティの体系図
(次表参照)
(2)測定の不確かさ
1))特定標準器による校正等における測定と拡張不確かさ(k=2)は、0・04%〜0・06%を予定している。
2))登録事業者が行う校正における測定の拡張不確かさ(k=2)は、0・05%〜0・3%を想定している。


参考資料3

校正等の実施について (電磁波の減衰量(高周波))

1.背景

 高周波の電磁波は情報通信システム、レーダをはじめ、医療技術や加熱装置等の生活に関連する深い分野まで使われてきている。低い周波数領域の電磁波回路では、電圧、電流等が基本量として使われている。しかし、高い周波数領域では、電磁波の波長は測定対象物の寸法に同程度か、それより短いので波動伝搬的な取り扱いが必要となる。伝搬に伴い生じる高周波減衰量は電磁波回路を表す基本量の1つとして重要である。高周波減衰量は、校正器物の入出力信号の電力の比により定義する。数値表現の簡便さで、通常db(デシベル)で表され、電力の比が100分の1、100万分の1の場合それぞれ20db、60dbになる。
 高周波減衰量標準については現在、周波数10MHzから18GHzまで、測定減衰量100db以下の範囲のJCSS制度の供給が行われている。一方、最近周波数18GHzから40GHzまでにおいて動作している航空管制、船舶用レーダや無線通信等の利用が増加し、40GHzまでの高周波減衰量標準に対する需要が高くなり、登録事業者等から即急の供給開始の要望が多い。今回、産業技術総合研究所では40GHzへの高周波減衰量標準拡大の開発・整備が完了し、周波数範囲10MHzから40GHzまでのJCSS制度の供給が可能となった。

2.特定標準器

 高周波減衰量測定装置(既存)

3.特定標準器の概要

(1)特定標準器(写真1参照)

 高周波減衰量測定装置は、中間周波減衰量校正装置と高周波回路ユニットから構成される。高周波回路ユニットは、電源側・負荷側をみた反射係数が小さい測定端子を有する高周波回路で、被校正器物の高周波減衰量を1kHz信号の減衰量に変換する装置である。中間周波減衰量校正装置は、高周波回路ユニットからの1kHz信号の減衰量を誘導分圧器の電圧比により校正する装置である。
(2)特定標準器による校正の方法
 高周波減衰量測定装置には「中間周波置換法」を利用し、被校正器物の高周波減衰量を1kHz等の中間周波数の減衰量に置き換えて校正する。

4.計量法135条第1項に基づく校正実施機関 

 独立行政法人産業技術総合研究所

5.特定二次標準器

(1)ピストン減衰器又は可変減衰器
(2)特定二次標準器の具備条件
1))ピストン減衰器
(a)コネクタ:N、SMA
(b)校正範囲:周波数30MHz、減衰量100db以下(挿入損含む)
2))可変減衰器
(a)コネクタ:N型、7mm、3・5mm、2・9mm、2・4mm
(b)校正範囲:周波数(0・01、0・03、0・06、0・1、0・5、1、5、10、12)GHz、減衰量100db以下。上記周波数を除く0・01GHz以上12GHz以下、減衰量80db以下。周波数12GHzを超え40GHz以下、減衰量60db以下。
(3)特定標準器による校正等の期間(校正等の周期)
 1年

6.トレーサビリティの体系図及び測定の不確かさ

(1)トレーサビリティの体系図
(次表参照)

(2)測定の不確かさ
1))特定標準器による校正等における測定の拡張不確かさ(k=2)は、0・002db〜0・02dbを予定している。
2))登録事業者が行う校正における測定の拡張不確かさ(k=2)は、0・005db〜0・1dbを想定している。


参考資料4

校正等の実施について(照射線量等(ガンマ線))

1.背景

 γ線照射線量などの放射線強度の計測は、原子力発電所、加速器施設等の放射線利用施設周辺の環境放射線モニタリング、放射線業務従事者に対する個人被曝線量モニターなどの放射線防護の観点から、トレーサビリティの確保が必要となっており、すでにCo−60線源及びCs−137線源に関して100nC/kg〜0・1C/kgの範囲でJCSS制度による標準供給が行われている。
 近年、放射線によるがん治療が急速に広がり、全国で726施設(2003年)が放射線治療装置を保有しており、これらがん治療においても、放射線強度の計測にトレーサビリティが求められている。しかし、放射線治療レベルの放射線強度は、現在JCSS制度により供給を行っている放射線強度よりも強いために、JCSS制度の範囲外となっていた。そこで放射線治療レベルの放射線についてもトレーサビリティを図るために、Co−60線源のγ線照射線量の範囲を100nC/kg以上5・0C/kg以下に拡大し標準供給を行うものである。

2.特定標準器

 グラファイト壁空洞電離箱式照射線量設定装置(既存)

3.特定標準器の概要

(1)特定標準器の構成
 グラファイト壁空洞分離箱は、放射線強度の範囲をカバーするために、異なるサイズの円筒型のものを用いている。その構造は、空洞の中心には空洞内の空気中に生成されたイオンまたは電子を収集するための中心電極がある。グラファイト壁空洞電離箱の壁側に高電圧を印加し、中心電極を外部コンデンサが接続可能な振動容量型電流計に接続して電離電流を測定している。照射室にはγ線源を格納している照射装置と検出器を設置するための台車があり、照射装置は遠隔にて線源の開閉が可能となっている。

(次号以下につづく)
 
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