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計量新報 2006年 6月18日発行 /2634号 1面


今年度第1回計量行政審議会開催

ほぼ1年にわたる討議の総まとめ、なおも活発に意見

パブコメ後、報告書をもって答申

 2006(平成18)年度第1回計量行政審議会(正野寛治会長)が6月13日午前、東京都千代田区の経済産業省別館944号室で開かれた。計量法見直しに対する計量制度検討小委員会の報告書が討議される大詰めの場であり、関係者が多数傍聴に集まった。指定製造事業者における自主検査対象を修理品まで拡大する件や、計量行政に対する地方自治体の跛行性を問う意見が集中した。

互いに納得のいく安全性を

 昨年7月、経済産業大臣から計量法見直しに対する諮問があった。これを受け計量行政審議会は、計量制度検討小委員会と3つのワーキンググループ(WG)を設置し、約1年かけて関係事項を討議してきた。  議題はまず前回(05年度第2回)計量行政審議会議事録の承認を求め、委員は了承した。つづいて、4月27日の第4回計量制度検討小委員会でまとめられた報告書案について審議した。  検定・検査について扱う第1WGで検討された事項に、議論が集まった。  報告書案中、規制対象計量器の範囲については見直す方針が示されているが、あくまで例示であり、今後も検討が必要と明記されている。ただ、家庭用計量器についてのみ、心外であると厳しく指摘する委員がいた。規制対象から外す根拠として報告書案に書かれた「さほどの正確性を求めずむしろ形状及びコストを重視するニーズもあり」という表現に、消費者のニーズは質を求める方向であることを強く訴えた。事務局は、あくまでデザイン性やコストも計量器を選択する際の要素であり、正確でなくていい、というつもりではない、と返答した。  指定製造事業者の自主検査を修理品まで拡大して認める件について、メーカー側の委員は民間活力導入の最たる成功例であるとし、拡大を賛成する立場を表明した。それに対し、主に消費者団体に所属する委員から、自分の商品を自分でチェックすることが引っかかる。この制度を担保するものが欲しい、という声が上がった。  これに対し別の委員は、第三者の目が届く検査として、地方自治体による事後規制のサーベイランスがある、と述べた。また別の委員は、指定製造事業者は品質管理を維持するために独自に第三者を用意してきちんとやっているはずである。自主検査の拡大を認めるにあたり、この前提の上に制度が成り立っていることを報告書にも明記するべきではないか、と提案した。

地方自治体の跛行性を問う

 地方自治体の跛行性に関しても意見が出た。  地方自治体による事後規制の充実とあるが、これに対し具体的な国の施策を問う委員がいた。事務局は、事後規制の充実には、地方自治体の計量行政を担当する職員の技術向上が重要である。職員の計量研修は任意になったが、あえて報告書案には「実習も含めた職員の研修を積極的に行うことが必要である」とメッセージを込めた。また、跛行性の解消とは、できないところができるようになるために、選択肢を広げることである、と答えた。  そもそも、跛行性が生じている地域を探すのはどうするのか、どうやって是正する点を見つけるのか、という質問に事務局の籔内雅幸計量行政室長は、国は計量士全体の人員は把握しても、都道府県ごとの数が不明である。この見直しもその一環である、とした。都道府県の計量行政機関で構成する都道府県計量行政協議会や、そのブロック会議に出席したが、情報交換の場として比較検討がなされている。地域ごとに比較したデータがあれば是正の一助にもなり、立入検査結果を相互に公表するのもひとつの案ではないか、と答えた。  また、計量証明事業において、事業者の品質担保が問題になる中、発注側の地方公共団体どうしが情報共有化を進める、と具体的方針に記してあるが、これを国・公共団体の責務としても明記すべき、という意見があった。事務局はその旨了承し、報告書に盛り込むと答えた。  その他、計量士の区分に対する議論がなかった。時代の要請によって必要とされる知識があるはずで、試験方法も合わせ今後の検討課題として欲しい、という意見もあった。  今回出た意見と、6月23日まで募集中のパブリックコメントについて、修正は正野会長に一任することで、委員は了承した。  パブリックコメントで大幅な修正が生じた場合、次回審議会を開催する。ない場合は、報告書案をもって答申とする。

 
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