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計量新報 2006年 6月11日発行 /2633号 6面


資料

(2632号4面のつづき)

第3WGの報告書(案)(6) 4月14日開催、経済産業省別館1120会議室

 なお、ダイオキシン類に係る特定計量証明事業を行うためには、特定計量証明事業の認定を受けた後、併せて都道府県知事から特定濃度に係る計量証明事業の登録を受けなければならない。(第7図及び第8図)

第7図 特定計量証明事業の標章
認定を受けた特定計量証明事業者は、以下の標章を付して証明書を交付することができる。
第8図 特定計量証明事業

(ア)特定計量証明事業の認定基準

 現行の特定計量証明事業の認定基準は、国際的に基準文書となっているISO/IEC17025を基本としつつも我が国独自の規定内容(ダイオキシン類等に係る特定計量証明事業の認定基準(経済産業省告示))となっており、国際整合性という観点では理解しにくいとの指摘がある。

(イ)特定計量証明事業者の社会的責務

 ダイオキシン類等の極微量物質の測定は国民の健康を守り、環境を保全するため、特に正確な計測・計量の確保が求められる。
 しかしながら、平成16年3月、特定計量証明事業者が、発注者からの要請を受け、ダイオキシン測定値の改ざんを行った。経済産業省は、計量法に基づく報告徴収及び立入検査により事実を確認し、平成17年11月25日、計量法第121条の5の規定に基づき、特定計量証明事業の認定取消し処分を行った。
 併せて、全ての特定計量証明事業者に対し、公正かつ適正な特定計量証明事業を行うことを文書で要請した。
 計量証明事業者(特に営業担当者)が、発注者(特に発注担当者)からの改ざんの要請に応じることは、仮に目先の利益になったとしても、自社の計量証明事業者としての企業全体の信用を失い、発注者の企業にも深刻なダメージを与える結果となることが、改めて確認された。
 そのため、特定計量証明事業の信頼性を確保するための方策を検討する必要がある。

(ウ)附帯決議の内容
 特定計量証明事業の施行に当たり、計量法の一部を改正する法律(平成13年法律第54号)附則第5条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」としており、特定計量証明事業導入時の国会の附帯決議(参議院・経済産業委員会(平成13年5月24日)及び衆議院・経済産業委員会(平成13年6月13日))を踏まえて見直すことが必要である。


2.新たな方向性
(ア)基本的考え方
(i)特定計量証明事業の認定基準

 特定計量証明事業の認定を取得している事業者は、当該事業以外にも試験分析業務を実施しており、特定計量証明事業の認定とは別にISO/IEC17025の認定を取得する事業者が増加しつつあり、特定計量証明事業認定基準のISO/IEC17025整合化に対する期待が高まっている。また、今後、認定事業者の海外事業展開も予想されることから、ISO/IEC17025を当該認定基準として完全採用し、国際整合性を図るほか、付加要件は必要な事項に限定する。
(ii)特定計量証明事業の信頼性の確保

 ダイオキシン測定値の改ざん事案を踏まえ、特定計量証明事業の信頼性を確保するための方策として、以下の点について制度面の見直しを検討する。
a)特定計量証明事業の認定取消と都道府県への登録との関係
 現行法では、特定計量証明事業の認定を受け、計量法第107条により、都道府県知事の登録を受けなければ、ダイオキシンの濃度の計量証明を行ってはならないとされている。しかし、計量法第121条の5に基づき経済産業大臣が認定を取り消しても、都道府県知事が登録を取り消さなければ、特定計量証明事業としてダイオキシン濃度の計量証明をすることはできないものの、計量証明事業としてダイオキシン濃度の計量証明をすることはできる(特定計量証明事業の標章を付した証明書は発行できないが、一般の特定濃度に係る計量証明事業としてはダイオキシン濃度の計量証明ができる)制度となっている。
 このため、経済産業大臣が特定計量証明事業の認定を取り消したこと又は更新されなかったことに伴い登録基準を満たさなくなった場合には、直ちに当該事業に係る都道府県知事の登録も取り消されるよう改めることを検討する。

b)認定後のチェック機能の強化

 平成16年3月の不正事案では、実際に使用する試料の差し替えにより不正が行われており、日頃の試料の管理のずさんさが不正を許した直接の原因となっていた。
 新規の認定に当たり、試料及びデータの管理については、特定計量証明事業の実績がないため、審査時においては履歴確認ができないことから「適切に行う」と表明を受ければ認定を行うという実務になっている。しかし、認定の更新に当たっては、履歴確認等測定実務の実施状況チェックを徹底し、ずさんであれば更新しないという運用の強化を図るべきである。また、現在、運用により、認定機関が認定事業所に対し認定期間中に1度行っているフォローアップ調査についても、一層厳格な実施が望まれる。
c)計量士等の技能の維持・向上

 計量証明の正確な計測・計量を担保する上では、計量証明事業に従事する計量士を始めとする従事者の役割が大きい。このため、計量士等の技能の維持・向上を図る。(前掲)
(イ)具体的方針
(i)特定計量証明事業の認定基準へのISO/IEC17025の導入
 国際整合性を確保する観点から、認定基準をISO/IEC17025とし、法に規定することを検討する必要がある。また、計量管理者(環境計量士)の任命、技術的能力を担保する規定等ISO/IEC17025の規定に追加する要件についても規定することを検討する必要がある。
(ii)特定計量証明事業の信頼性の確保

a)特定計量証明事業の認定取消しと都道府県への登録との関係
 特定計量証明事業の認定が取り消された場合又は更新されなかった場合に都道府県における計量証明事業の登録も取り消されるようにすることを検討する。

b)認定後のチェック機能の強化

 特定計量証明事業を行おうとする者については、計量法第121条の2において、事業を行うに必要な管理組織(第1号)、事業を適確かつ円滑に行うに必要な技術的能力(第2号)、事業を適正に行うに必要な業務の実施の方法(第3号)に適合している旨の認定を受けることができる(更新は計量法第121条の4)。また、これら要件のいずれかに適合しなくなったときに計量法第121条の5において、経済産業大臣はその認定を取り消すことができると規定されている。
 認定基準の要件として参加が義務付けられている技能試験において、測定項目(データ)の多くに許容範囲から外れるものがあった場合には是正措置を行い、是正が十分であると認められれば次回更新時に確認することとしており、技能試験の結果により認定の取消しを行った事例はない。しかし、能力が低い特定計量証明事業者が多いとの指摘もあることから、今後は、技能試験やフォローアップ調査において、その成績が一定基準以下であった場合は、再試験等を経て、計量法第121条の2第2号に定める技術的能力を有しないものとして、更新をしないことや認定を取り消すことについて運用の強化を検討する。
c)特定計量証明事業の従事者に対する研修
 計量証明事業と同様に、計量士を始めとする従事者の技術や適正な判断力、道徳的基盤の維持・向上や、計量証明事業の能力・品質の確保を図るため、民間団体等による講習会を支援する。(前掲)
(iii)附帯決議への対応
 附帯決議への対応は、次のとおりである。
(編集部注:省略。附帯決議への対応は表組で2614号3面に掲載しています)

(おわり)
 
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