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計量新報 2006年 4月2日発行 /2625号 12面


第2回計量行政審議会開く
3月23日、経済産業省別館1028号室
今夏にもとりまとめ、骨子は承認の方向、残る課題も

 3月23日、経済産業省別館1028号室で2005(平成17)年度第2回計量行政審議会が開かれた。
 7月26日開催の第1回で、新しい計量行政の方向について経済産業大臣の諮問があった。以来、計量制度検討小委員会と、その下部機関となる3つのワーキンググループ(WG)を設置し、制度見直しを検討してきた。各WGの方向性(骨子)が出揃い、WGを横断するような事項を2月21日の第3回計量制度検討小委員会で討議したことを受けての審議会開催となった。
 会合に先立ち、人事交代が紹介された。05年9月に田崎雅元会長の任期が満了し、会長には正野寛治三菱化学(株)相談役が就任した。矢橋有彦委員が日本電気計器検定所(日電検)理事長を退任したことに伴い、大野隆夫同所理事長が新委員となった。経済産業省の基準認証担当審議官は原山保人審議官から松本隆太郎審議官に交代しており、すでに小委員会や各WGに出席しているが、審議会の場で改めて紹介があった。
 第1回会合の議事録が確認され、委員は異議なく了承した。

事後規制強化で 計量士活用に期待

 審議はまず横断事項である計量単位、情報提供、計量士制度及び特殊容器制度について検討した。どの項目も異論はなかった。
 計量単位については、現行の非法定計量単位を使用した計量器の販売を禁止する制度を堅持する。その際、基準の明確化を図るため、計量法で許容される非法定計量単位の事例や、違反となる判断基準等の公表について検討する。
 情報提供については、消費者を適正な計量行政を推進する担い手であると位置づけ、不正計量に対する苦情を受け付ける窓口を設けるなど、消費者の主体的、積極的参画を促す仕組みを作る。
 計量士制度は国家資格でありながら、登録の返納手続きが規定されておらず、国においても実際の活動人員が把握できていない状況にある。登録後も資質の維持、向上を図る手段として、計量士資格に更新制を導入し、更新時研修の義務化を検討する。登録抹消の届出制度導入も視野に入れる。事後規制の充実から、地方自治体が行う立入検査に計量士を活用するなど、計量行政執行にあたり柔軟な体制をとれるように検討する。
 特殊容器については、容器の多様化、充填装置の高度化からその役割は低下していると考え、廃止する方向で検討する。

規制対象計量器を個別に検討

 議題は各WGが提出した骨子の検討に移った。
 特定計量器の検査・検定制度を扱う第1WGは、民間活力導入により、検査・検定にあたる地方自治体の負担を減らすことが主眼となっている。
今回の見直しを「小さな政府」実現のための官から民への流れである、と理解を示した委員がいた。
 しかし、骨子への意見も相次いだ。キッチンスケールなどを法規制からはずし、任意制度のJISマークで代替する案に異論を唱える委員に事務局は、任意制度であっても、品質管理の証しであるJISマークをPRするのは、国としては当然の義務であるとし、行政からの情報発信も行うと返答した。
 事後規制の充実にあたり、不正事業者への罰則を強化してもいいのではないか、という意見には、罰則の横並びを加味しており、突出して厳しくすることも難しいという回答があった。
 検査・検定手数料について、都道府県は実費よりも安く設定しており、民間参入を妨げない料金設定を検討するという案に対し、参入の障壁は価格だけではなく、厳しい要件が求められるなど、複合的な問題があるのではないかという委員の発言があった。また、電気計器の検定・検査を行う日電検の独占的業務を指摘する意見もあった。日電検は、還元したいが法律上柔軟に対応できない、と答えた。
 指定製造事業者制度を修理品まで拡大することについて、電気計器の修理事業者がほとんど電力会社の子会社であることが公平性の観点から問題である、という意見が第3回小委員会であったが、資本関係だけでなく、品質管理体制で判断されるべき、という反論があった。
 検定有効期間や定期検査の期間などについても検討がうたわれているが、事務局は計量器ごとに個別に対応しているとし、具体的な進展状況は述べられなかった。

消費者主役の適正計量を推進

 量目規制を扱う第2WGに対する意見はとくになく、骨子の通り検討が進められる。
 不正事業者名の公表や、立入検査を増やすなど、事後検査を強化する。消費者の市場監視能力を活用する。立入検査が他府省と相乗りできる制度を検討する。適正計量管理事業所制度は立入検査の免除などのメリット付与を検討する。適正計量が実施されている商品に対するマーク制度も検討する。

ユーザーの要望にすばやく応える

 計量標準、特定計量証明事業を扱う第3WGは、はっきり明文化されていない点がユーザーに誤解を招いたとして、ユーザーへのわかりやすさ、使いやすい計量標準の制度化を掲げた。委員は骨子を了承した。
 国家計量標準機関の位置づけの明確化、準国家計量標準制度(その後指定国家計量標準制度(仮称)に変更)の創設、MLAP(特定計量証明事業者認定制度)における不正行為の防止について検討する。

役割分担の明示を

 最後に地方自治体職員の立場から、全体を通しての発言があった。計量行政の跛行性は規制緩和と自治事務化が引き起こしたものといえる。国の法定受託事務に戻したいが、無理なら裁量権のあるような制度を希望する。改正計量法には国、自治体、事業者の役割分担を明記してほしい。事後監視の強化にあたっては、立入検査を熟知した職員の育成が必要であり、自治事務に計量士有資格者の設置を望んだ。
 会合で出た意見は小委員会、WGに持ち帰られ、報告書の取りまとめに入る。次回は5月下旬から6月上旬ごろ、各WGの報告書を基に小委員会で検討し、そこで了承を得たものを審議する。


資料
第3回計量制度検討小委員会 議事要旨(1)

【日時】2月21日(火)10時〜12時
【場所】経済産業省別館10階1028号会議室
【出席者】中田委員長、青山委員、飯塚委員、石井委員、今井委員、上田委員、大野委員、小野委員、甲斐委員、梶原委員、河村委員、桑委員、芝田委員、鈴木委員、田畑委員、宮崎委員、宮下(茂)委員、森委員(欠席:橋本委員、宮下(正房)委員、山譜マ員、吉田委員)
【議題】
1.計量制度検討小委員会第2回会合議事録について
2.「計量士制度」及び「特殊容器制度」について
3.「計量単位」及び「情報提供」について
4.計量制度検討小委員会WGの骨子について
5.その他
【議事要旨】
 事務局から委員の交代(矢橋委員→大野委員)及び出欠について報告の後、委員長から、今回開催の趣旨及び小委員会の公開についての説明がなされた。
(1)議題1:計量制度検討小委員会第2回会合議事録について
 第2回会合の議事録(案)の確認が行われ、異議無く了承された。
(2)議題2:「計量士制度」及び「特殊容器制度」について並びに議題3「計量単位」及び「情報提供」について
 事務局から資料2から資料4に基づき、計量士制度、特殊容器制度、計量単位及び情報提供について説明。これらの方向性については、各委員からの意見を反映し計量行政審議会に報告することとなった。委員からの主な意見等は以下のとおり。
[計量単位及び情報提供について]
◇計量に関して消費者がクレームをもった際、それを何処に相談したらよいのか必ずしも周知徹底されていない。消費生活センター等もあるが、一般的には契約問題等に重きを置いているようであり、日常生活の計量といったことまで相談してよいのかという感じを受けている。そういう意味でも、パンフレットなどを活用しつつ、計量に関する相談窓口の存在について周知徹底していただきたい。
◇計量単位の規制について、運用基準を公表することで透明性を確保していくとあるが、当該運用基準の妥当性はどのように担保していくのか。また、前回会合では、伝統的な尺・貫といった単位も認めて欲しいという意見もあった。運用基準の中で柔軟に対応できるようであれば、そのようにしていただきたい。
◇計量単位の規定について、国際的な対応を迅速にとれるような仕組みについて工夫をしていただきたい。仮に、法改正の必要が生じても、おおよそ10年に1度程度しか法改正がないことから、その機会を逃して更に10年待つことになるということのないようにしていただきたい。
◇本日配布された広報用のパンフレットはわかりやすく書かれているが、一般の方々の手には届いていないのが現状ではないか。
(次号以下につづく)

(以上)

 
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