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計量新報 2006年 3月5日発行 /2621号 2面


4年ぶり、計行審基本部会開く

20A、60A電気計器の有効期間を審議

 2005(平成17)年度第1回計量行政審議会基本部会が2月27日午後、経済産業省本館17階第2特別会議室で開かれた。基本部会は、電気計器及び皮革面積計の検定有効期間等について検討した01年度以来となる。

 討議の前に各委員の紹介とあいさつがあった。部会長選出が出席委員の互選により行われ、飯塚幸三委員が選任された。

 今回の議題は、04年3月19日閣議決定の「規制改革・民間開放推進3か年計画」を受けてのもの。同計画には「定格電流60A(アンペア)の電子式単独計器の検定有効期間について、電気計器全体に係る技術基準のJIS化見直し作業の結果を踏まえ、規制の在り方を検討する」と明示されており、計画の最終年を控えていることから、今年度中の検討が必要だとしている。特定計量器である電気計器は、計量法施行令により有効期間が規定されており、見直しを検討するには計量行政審議会での審議が必要であることから、基本部会が開催された。

 電気計器には単独計器と産業用の変成器付計器があり、それぞれ機械式と電子式がある。単独計器においては有効期間を10年としているが、機械式しか作られていない20Aおよび60Aの計器に限っては、耐久性の面から有効期間を7年としている。部会では、同計画に示されていない20Aの計器についても、同時に審議することとなった。

電気計器の使用状況

 電気計器がどのように使われているか、関西電力(株)の畑中利勝委員、計器メーカーである(株)東芝の尾花英夫委員が実態を説明した。

 オール電化システムを導入する家庭が増え、世帯で使われる電力量は増加傾向にある。時間帯別の契約など、料金形態も多様化しており、これまでの機械式に代わって高機能の電子式計器を備えた施設が急増している。

 従来、一般家庭には30Aの計器を使用したが、使用電力量の増加で間に合わなくなってきている。60Aの電気計器は機械式しかなく、30Aで不足する家庭は、個人商店など小規模事業所で使う容量と同じ120Aの電気計器を使用しており、60Aの電子式単独計器開発を待ち望む声がある。

 電子式単独計器は、定格電流の違いにより導線や端子が若干異なるが、基本的な構造は同じであることから、20A及び60Aの電子式単独計器だけ有効期間に差を設ける合理的理由が見あたらない。有効期間を他と同じ10年とすることで、工事や管理にかかるコストも減るとしている。

 説明後、20Aの電気計器にニーズがあるのか、との質問に畑中委員は、ワンルームマンションなどでは使われており、まったく必要ないということはない、と返答した。

検証試験を実施

 電気計器の検定を行う日本電気計器検定所は、定格電流20A及び60Aの電子式単独計器の検証方法を提案した。池田義雄理事が検証試験の内容を説明した。

 定格電流の違いによる構造上の差異がほとんどないことから、既存の電子式単独計器で実施する型式承認試験と同一の試験項目で検証する。具体的には、20Aは30Aの既存計器を、60Aはメーカー提供の試作品を用いて、電流に関する部分の5項目について評価する。60Aは試作品であることを考慮し、影響が考えられる9項目を追加する。メーカー2社から計器の提供を受け、各5台を試験する。他の項目は既存計器と同等であるとして、2001年実施の使用実態調査データを参考資料として提示する。

 今回はあくまで検証試験であり、実際の型式承認の段階においてはすべての項目を試験する、と補足した。説明を聞いた委員からは技術的な質問のほか、試験に関連して、計器に不備があった場合、見ただけで異変がわかるのか、という疑問が出たが、検証方法に特段の異論はなかった。

 次回基本部会は3月6日に開かれる。以後、パブリックコメント募集を経て、早ければ3月末にも審議結果が計量行政審議会会長に報告される。

 

(以上)



第2回計量標準部会

新たに石油流量の校正等を実施

液体流量、電磁波減衰量(高周波)、ガンマ線の範囲拡大

 2005(平成17)年度第2回計量行政審議会計量標準部会が2月28日午後、経済産業省別館11階1120会議室で開かれた。

 今井秀孝部会長が進行を務めた。前回の議事録案についてとくに発言はなく、修正がある場合は3月6日までに事務局に連絡することとなった。

 審議事項に移った。これは1月18日付けで計量行政審議会に対し、二階俊博経済産業大臣の諮問があったことによる。石油流量の特定標準器の指定及び校正の実施、および液体流量、電磁波の減衰量(高周波)、照射線量等(ガンマ線)の校正範囲拡大について、(独)産業技術総合研究所(産総研)の各担当者が説明に当たった。

 石油流量は新たに特定標準器に指定された。これまでは質量、体積、時間など他の標準を使った組み立てにより決められていたが、国際化の流れにより、流量測定値の整合性の保証が不可欠となっている。今般産総研が研究開発を行い、世界最高レベルの不確かさを持つ供給が可能になった。校正の範囲は3m3/h〜300m3/hは0・67kg/s〜67kg/s。

 液体流量については、化学プラントや食品工業で多数使用されている流量計の範囲が現在の範囲の下限以下であるため、ニーズに対応すべく特定標準器の改良を進め、下限引き下げに対応した。

 電磁波の減衰量(高周波)は航空管制、船舶用レーダなどに使われる40GHzまでの高周波減衰量標準に対する需要が多いことへの対応措置。減衰量100dB以下の周波数は校正範囲を指定するが、それ以外の周波数で減衰量80dB以下、60dB以下のものは、任意の周波数で校正できる。

 近年、放射線によるがん治療が普及しており、医療の現場でも放射線強度計測のトレーサビリティが求められている。ガンマ線照射線量等の校正を、JCSS制度の範囲外となっていた放射線治療レベルの強度にまで範囲を拡大した。

 審議事項はすべて了承された。この結果は計量行政審議会に報告され、官報に告示される。

 特定標準器の一部破損と知的基盤整備特別委員会の概要が報告された。

 産総研が保持する、電気抵抗の特定標準器である量子ホール効果抵抗測定装置の一部であるクライオスタット(冷凍機)が破損。ヘリウムガスが漏れ出して操作不能に陥った。産総研は直ちに改修に取りかかり、実験用のクライオスタットを代替装置とし、動作確認を行った。今年6月に特定二次標準器の校正が控えており、それまでに破損前の値との整合性を確認するなど校正準備を行い、校正が終わった時点で周辺機器を改修し、校正装置としての操作性の向上を図るとしている。

 1月23日に開催された第9回知的基盤整備特別委員会では、標準物質の供給体制のあり方に関する報告書がとりまとめられた。また、2010年までの目標を設定した知的基盤整備目標は、06年がその中間点に当たることから、これまでの進捗(ちょく)状況の確認に加え、社会情勢の変化やニーズを加味し、知的基盤整備目標の見直しを開始した。見直しは、パブリックコメントを募集した後、4月から5月にかけて決定する。

 標準部会の次回日程は9月頃を予定している

 

 

(以上)
 
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