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 計量行政審議会平成17年度第1回 議事録


1.日時:平成17年7月26日(火) 13:00〜14:40

2.場所:経済産業省本館17階第1・第2共用会議室

3.議事内容
○籔内計量行政室長 定刻となりましたので、平成17年度第1回計量行政審議会を開催させていただきます。
 私は事務局を務めさせていただきます計量行政室長の籔内でございます。よろしくお願いいたします。

委員の異動紹介

○籔内計量行政室長 まず審議に入ります前に、異動等により新しく審議に加わります方々の御紹介をさせていただきたいと思います。
 御異動に伴い新たに審議に加わります方々は、大西匡委員の御後任として中村健一委員、それから、正野寛治委員、宮崎緑委員です。
 それでは、以降の議事進行は田崎会長にお願いいたします。

会長あいさつ

○田崎会長 それでは、議事を進めさせていただきます。
 後ほど紹介がありますけれども、このほど、今後の計量行政のあり方についてということで経済産業大臣から諮問がありました。今後の計量行政のあり方を決める重要な審議であります。答申に向け委員各位の御協力をお願いいたしたいと思います。本日は答申に向けたスタートとなりますので、忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 なお、初めに申し上げますが、審議会の公開にかかわる閣議決定、平成7年9月に審議会等の透明化、見直し等について、また平成11年4月27日、審議会等の整理合理化に関する基本計画といったものが出ましたけれども、それを踏まえまして、原則公開ということで運用することといたします。

審議官あいさつ

○田崎会長 初めに、経済産業省の原山審議官から一言ごあいさつをお願いいたします。
○原山審議官 御紹介いただきました計量を含む基準認証を担当しております原山でございます。本日は、大変足元の悪い中を御参加いただきまして、御礼を申し上げます。
 計量制度でございますけれども、前回の本格的な見直し改正は、当計量審議会におきまして、平成2年に着手をしていただきました。それ以来、優15年を経ております。この間、計量制度につきましては公正な取引の基盤として、その機能を果たしてきたわけでございます。
 他方、御案内のとおり、国民の皆様の安全・安心に対する関心の高まり、あるいはデジタル技術を中心とする技術の変化等、諸環境も変わってきております。社会の基盤的な制度でございますので、一定の安定ということも大事でございますが、これまでの計量制度が歩んできた歩みと同様、必要な場合には必要な制度のあり方について再度検討するということもあろうかということから今般、田崎会長からございましたとおり、経済産業大臣から皆様に諮問させていただいたところでございます。
 計量制度自身が大変広範な分野を所掌しておるものでございますから、御審議も大変だと思いますが、ひとつよろしくお願い申し上げます。

配付資料確認

○田崎会長 事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○籔内計量行政室長 本日の資料は、議事次第、委員名簿、座席表、右肩に資料番号が書いてございますが、資料1から7の計10種類でございます。足りないものがございましたら、お知らせ願います。
○田崎会長 よろしゅうございますか。

議題1 新しい計量行政の方向について

○田崎会長 まず、経済産業大臣から提出された議題1にあります今後の計量行政のあり方についての諮問について、事務局より説明をお願いいたします。
○籔内計量行政室長 資料2、新しい計量行政の方向についてということで、平成13年の審議会整理統合により、計量行政審議会はその権限に属させられた事項を処理することとなっております。今晩は、柱書きの1.2.3.4.と書いてあります項目について意見を示していただきたいと思います。
 詳細は省略させていただきますが、1.計量器の検査・検定等についての検討、2.商品の適正計量など消費者に身近な計量についての検討、3.計量標準・標準物質の供給体制の整備、またこれらへのトレーサビリティのあり方の検討、4.その他計量単位、計量士を含めた人材の有効活用の検討ということでございます。

(1)新しい計量行政の方向について

○田崎会長 続きまして、資料3、新しい計量行政の方向について、事務局より説明をお願いいたします。
○原山審議官 お手元の資料3を使わせていただきまして、十分な御審議時間を取っていただきたいものですから、15分か20分で、この資料3について、私の方から、少しはしょった形になりますが、御説明をさせていただきます。
 1ページ目でございます。計量すなわち「計る」ことにつきまして大胆に整理させていただきますと、以下ございますとおり、公正な取引の確保、あるいは血液検査や水質検査に代表されますような安全・安心の確保、さらには産業競争力強化の促進、こうした観点からの重要な要素であると考えております。
 2番でございますが、適切に計量いたしますためには、適切な計量器――ハードウェアですね――、適切なはかり方、適切なものさしが必要になります。ものさしについては後ほど御説明いたします。なお、これらがそろっておりましても、はかる方が意図的に悪事を働けば適正な計量、公正な取引証明の確保は不可能となります。
 まずハードウェアからでございます。計量法では特定の計量器、18種類の規制をしております。また、任意のマーク制度でございますが、JISマーク制度の活用による計量器等も多数ございます。
 2ページにまいりまして、はかり方につきましては、はかり方の世界標準が多数存在します。3、4行目のところですが、特にISO/IEC17025などは、これを満たす機関の計測結果は信頼できるものと広く認識されているところでございます。
 3番にいきまして、正しいものさしでございます。物理的な計測を行うときの基準となるものを計量標準と称しております。また科学的な計測をするときには基準となるものを標準物質として称しておりますが、これらをあわせて、この文書においては、以降「計量標準等」とさせていただきます。
 こうしたものをものさしと言っておりますが、同じものさしを用いてはかる計測結果は比較することに意味はございますが、違うものさしで調整した計量器による計測結果には比較の意味がございません。独立行政法人産業総合研究所計量標準総合センター、以降「NMIJ」と言わせていただきますが、ここが開発・供給を行っております。ここの供給したものについては、国際的な約束事によりまして、他の主要国でも適切なものさしとして受け入れるためのルールが整備されているところでございます。
 少し歴史を振り返らせていただきますと、1番目に、歴史的には升とか分銅のようなハードウェアの規制が主体でございました。次のページに行っていただきまして、2.でございますが、昭和50年には環境計量証明事業という形で、はかり方の規制の運用を開始いたしました。また、平成14年にはダイオキシンが問題となりまして、より厳しい特定環境計量証明事業、以下「MLAP」と称しておりますが、こうしたものについてスタートいたしました。
 また、ものさしにつきましては3番、平成5年に国家計量標準等の供給を開始いたしました。認定された校正事業者が国家計量標準等により各計量器の校正を行うサービス、以下「JCSS」と言わせていただきますが、こうしたものを平成5年改正でスタートしたわけでございます。
 そのほか、国際化の必要性から(1)メートル条約の徹底でございますとか、官から民へという流れに対応して平成5年に、事業所に自主検定を認める指定製造事業者制度の運用を開始いたしました。また、国から地方へという流れに即しまして、事務の一定部分を地方公共団体の権限に移行するということも行ってきております。
 V番で近年の変化でございます。このように計量制度は各時代の要請に適切に対応しつつ、最終行ですが、信頼、安全、安心の基盤として機能してきていると評価できると思います。しかしながら、近年は計量をめぐる環境が多くの点で変化をしております。過去の実績同様、こうした変化に対応すべき時期に来ているとも考えられます。
 その変化の一つとして、1番、安全・安心に関する国民の関心の高まり、2番、規制改革に関する政府の積極的取り組みの進展、特に基準認証につきましては閣議決定におきまして自己確認・自主保安化、民間活力の活用、あるいは重複検査の排除といった方向性が示されているところでございます。
 3番、行財政改革でございます。国だけではなくて地方公共団体も含めた行財政改革の必要性は増大しております。平成12年の自治事務化、地方権限移管以降、計量行政に投入する人員や予算が削減される地方公共団体が多く発生してきております。計量行政を実施する上での体力格差が地方公共団体間でも広がってきているようであります。
 4番、デジタル技術を中心した技術の変化も大きくございます。
 5番、正確な計測計量も重要な要素とする、例えばISO9000番の活用などが普及してきております。
 6番、国家計量機関でございます産業技術総合研究所が独立行政法人というふうに形態を変えてきております。
 次のページ、7番でございますが、電気、ガス、水道等の公共事業の自由化が進展しておりまして、例えば家庭等からのエネルギーの販売など、計量法が想定していない取引形態も出現をしております。
 8番、計量標準の供給につきましては、平成5年以降、それなりの努力はしてきましたが、まだ普及は不十分な水準かと認識しております。
 9番、平成7年にWTO合意がございました。この中で、2行目の最後ですが、適合性評価、これは検査、検定、合格、不合格と、こういった手続を行う場合には、国際基準を用いることが義務化されております。薬事法ですとか、電気安全法ですとか、こうしたものも順次法改正をして国際標準に整合化をさせてきております。
 10番でございますが、平成17年、ことしの1月に国家計量標準等の同等性あるいは国家計量標準機関の発行する校正証明書の同等性を各国間で相互に承認するような協定が発効しております。
 最後の3行に行っていただきまして、こうした各国の国家計量標準機関(NMI)を中心としつつ、本当の基準認証を相互に受け入れるような国際的な環境が大きく前進をしているところでございます。
 6ページへ行っていただきまして、検討に当たっての視点・配慮点でございます。
 1番目、効果的で合理的な規制のあり方を目指したい。2行目の途中からですが、これまではハードウェアを中心とした規制が多かったのですが、ハードウェアの性能が向上してまいりました。むしろ計量器の使用者の不正を抑制することの重要性が高まっているのではないでしょうか。
 パラグラフの二つ目で、不正事業者がおそれますのは行政指導ではなくて、消費者等の信頼を失うことであるということにかんがみますれば、これまでほとんど実績のなかった不正事業者名の公表などの手続について、きちんと整備をするということが効果が高いのではないかと思います。
 四つ目のパラに飛んでいただきまして、従前の規制にとらわれず、いずれにしましても、投入行政コストに対し、より効果の高い合理的な方法を模索すべきではないかと考えます。
 2.すべての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大ということが大事ではないかと考えます。それぞれ自治体ごとに事情は異なりますが、全国的に一定水準の計量行政の実施は必要だと考えます。自治体ごとの実情を踏まえつつ、適切に行っていただけるような選択肢が必要ではないかと考えております。
 3番、持続可能な制度設計。言うまでもございませんが、せっかく制度を改めても数年で改正しなければいけないということがあってはならないと思います。社会の変化を先取りしていく必要があろうかと思います。
 技術革新の促進でございますが、少なくとも規制のあり方が技術の促進を阻害するようなことは極力排除すべきだと考えております。
 5番、国民あるいは自治体にとっては地域住民だと思いますが、これらの積極的参画の促進という観点です。最初の行、消費者を中心とした国民が適正計量に関する関心と知識を持つことが公正な計量を実現するため最も重要な要件ではないでしょうか。
 最終行のところで、住民(消費者)の主体的・積極的参画を促す仕組みを考えるべきではないかと考えております。
 6番、関係各府省との連携。非常に幅広い制度でございますので、言うまでもございませんが、当省のみならず、関係府省との積極的な連携を行っていくことが大事だと考えております。
 そうした上で制度見直しの方向性でございます。まず1番、特定計量機器の検査・検定については、a)規制対象を削減する方向で見直し、その際は消費者保護に重点を置くべきではないか。
 b)でございますが、他方、商品量目規制を合理化していくためには、日本のみが規制していない自動はかりを規制の対象とすることなども含め検討すべきではないか。  c)計量士。詳細は省きますが、このとおり、多くの計量士が活躍しておられます。計量士に関する制度を見直すなどにより、一定以上の能力を有する民間人が権限を持って諸般の検査において活躍することができる制度を整備するほか、JISマーク制度を活用するなどによって民間人・民間機関の能力を最大限活用することを可能とすることにより、地方自治体の選択肢を拡大するべきではないか。
 d)でございますが、抜き打ち検査などの事後検査を強化するべきではないか。
 e)WTOルールにのっとり国際標準との整合性を図るべきではないか。
 f)基準器というものが我が国の計量法には存在しております。詳細は、ここでは省かせていただきますが、一種のものさしでございます。日本独自の制度であること、あるいは先ほど申し上げましたJCSSが一定程度普及してきたことなどにかんがみまして、JCSSへの一本化も含めて現実的な計量標準等の供給のあり方について検討すべきではないか。
 大きな2番で、商品量目制度でございます。b)に飛んでいただきまして、現行は商品陳列後のサンプル調査主体の規制方法でございますが、むしろ事業者による品質管理を促す制度に重点を移行するべきではないか。
 c)その際は、中小企業(商店街等)も参画することによって、我が国企業全体の適正計量を促す仕組みとするべきではないか。
 次、a)としておりますが、d)の間違いでございます。例えば、現在の適正管理事業所制度を改革いたしまして、最後の行ですが、新適正計量管理事業所制度などとし、商品量目についても、次のページですが、適正に執行されていると推定する制度なども考えられるのではないか。
 f)に飛んでいただきまして、さらに商品の密封段階における適正計量・品質管理を確保するため、必要な要件が満たされていることを示す一種のマーク制度の導入を検討してはどうだろうか。その際はヨーロッパにおいて実施されていますeマーク制度を研究すべきではないか。
 3番、環境計量証明事業制度でございます。安全・安心に関する国民の関心が高いことから適切に見直すべきではないか。
 c)に飛んでいただきまして、その際、振動計、騒音計等といったハードウェアの検査・検定という規制から、むしろ計量標準等へのトレーサビリティの確保にシフトしていくべきではないか。トレーサビリティの解説については飛ばさせていただきます。
 それから、先ほど御紹介したMLAPにつきましては、ダイオキシンの関係でございますが、計測結果の国際整合化を図る観点からISO/IEC17025に整合化させることなどについて検討する必要があるのではないか。
 4番、計量標準供給とトレーサビリティの確保でございます。
 a)国家計量標準等の整備・供給を効率的かつ迅速に行う観点から、関係府省傘下の研究機関や民間の研究機関の活用など、国の総力を結集した国家計量標準等の整備・供給体制の再構築が必要ではないか。
 b)でございますが、最後の方で、関係府省及び地方公共団体と認識を共有するとともに連携を強化していくことが必要ではないか。
 c)として、トレーサビリティがもたらす意義、次のページの上の方に、例えば医療、環境、食品分野などにおける正確な計量を通じた国民の安全・安心の基盤確保などと事例を書かせていただいていますが、こうした意義を踏まえながら、JCSSの普及策を中心に方策を検討すべきではないか。
 5番でございますが、NMIJ、国家計量標準機関でございますが、この一層の活躍のための環境の整備が必要ではないか。
 a)の途中からでございますが、先ほど御紹介したように、計量標準等の相互承認の枠組みが動き始めていることなど、NMIJの重要性が一層高まっていることに留意しつつ、一層活躍することを可能とする上での制度的な課題について検討するべきではないか。
 b)、途中から、新しい技術の登場などにNMIJがタイムリーに対応することを可能とするためには、いかなる条件整備が必要かを検討するべきではないか。
 6番、法定計量単位の扱いでございます。a)の3行目の後ろから、国際機関の決定により認められた単位が新たに追加されたとしても、その都度計量法を改正しなければ、その単位にかかわる計量は計量法の対象として扱われないという法体系になっております。新たな単位の定め方について、弾力化も検討してよいのではないか。
 11ページにまいりまして、その他でございます。計量法には、まだその他幅広くいろいろ制度がございます。それらについても、廃止も視野に置いて検討してよいものがあるのではないかと思っております。
 例えば一つ目として、a)特殊容器。ビールびんや牛乳びんのように、容器を標準化して、ここの線まで来れば一定の量だというような仕組みを取っているのでございますが、こうしたものについても、他の代替方策があるのではないか。
 b)家庭用計量器。キッチンスケールなどにつきましては、2行目にございますとおり、製造事業者は技術基準適合を自分で確認してマークを張るという仕組みになっておりますが、これなどもJISマーク制度の活用などによって適切に消費者が選択できる仕組みを整備する方向で検討してよいのではないか。
 一例を申し上げますと、巻き尺のような長さ計でございます。これにつきましては、かつて、この審議会において検討し、むしろJISマーク制度によって対応できるのではないかということで、この計量法から外したことがございますが、今日まで特段の問題が生じてはいないというふうに認識しております。
 以上、はしょりましたが、説明させていただきました。
○田崎会長 ただいまの説明につきまして御意見を伺いたいと思います。御発言を希望される方はお名前の札を立ててください。なお、時間の関係上、14時35分ぐらいまでとしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 御発言おありの方、札を立てていただけますか。いかがですか。
 青山委員、お願いします。
○青山委員 きちんと理解させていただいたかどうかというのは私自身がわからないんですけれども、消費者基本法が改正されまして、消費者基本計画というのが4月、5月にできて、それにあわせて、その中で計量法の抜本的見直しをせよというふうな計画が立てられております。その結果にのっとって今回、こういう柱立てで、この審議会に提案がなされたという理解でよろしいでしょうか。
○原山審議官 必ずしもきれいにリンクしているわけではございませんけれども、方向として見直すのであれば、規制についてはより消費者保護という方向に重点を置いた方向で改正すべきではないかというのは、いろんな方面の御意見を踏まえて、そう考えているところではございます。
○青山委員 きちんと整理されて質問してないんですけれども、よろしゅうございますか、座長。――それでは、ちょっと質問させていただきます。
 4ページですけれども、3の行財政改革の中で、平成12年に自治事務委任されて移管されたときも私、この席にいて、いろいろと地方自治体による体力差というのがあって、必ずしも、これがうまく施行されていくのかなという感じを持ったんです。
 その点で、地方自治体ごとのばらつきとか、その後の総括といいますか、5年たって何か問題点等があるやなしや、その辺どうなっているかお聞かせいただければと思います。
○原山審議官 本日は、ここにデータはお示ししていないんですが、各都道府県にいろいろとアンケートに御協力をいただいたり、我々の方でも幾つかの自治体等をこの間、訪問させていただいて、事情等も拝見してまいりました。
 平成12年以降、かなり多くの比率の都道府県において1割以上の人員削減あるいは1割以上の予算削減等が、この短い間でも起こっているような事情にあるということをデータとしていただいております。
 また、データにはあらわれないんですが、現実問題として、かなりベテランの方といいますか、そういった技術者の方々を中心とした構成にだんだんなってきているということで、この辺の人材の育成問題、継続問題というのも課題としてあろうかと思います。
 また、かつて機関委任事務であったときは、各自治体の技術者の方々に、つくばにございます研修センターにおいて強制的に研修を受けていただくという仕組みになっていたんですが、地方自治事務化以降、そこは任意に研修していただくという中で、必ずしもすべてについて、つくばまで全国から人を派遣して十分な研修を受けているとも言えない実態も生じているかとは思います。
 それぞれ大変御努力いただいているというのは事実なんですが、それぞれ事情があって、特に先ほど申し上げましたとおり、これまで生じてきたデジタル化等の技術の変化あるいは今後創造されるであろうことを考えますと、このままのトレンドでは難しい部分もあるのかなという気がいたしております。
○田崎会長 青山委員、よろしゅうございますか。
 それでは、矢嶋委員、お願いします。
○矢嶋委員 私は島津製作所の会長をしております矢嶋でございます。
 分析工業会の会長をしておりますので、今、お話しいただいたように、計量関係というのは非常に範囲が広いんですけれども、分析機器というところの観点から意見を申し上げたいなと、こんなふうに思うわけでございます。
 近年における分析機器の技術が、ある時期までアメリカが一つの大きなベンチマークになっておりまして、アメリカの機器が世界をコントロールしていたという時期があったと思うんです。
 したがいまして、日本の機器メーカーはアメリカの機器と同等のものをつくろうということで非常に努力してきたわけでございますが、それでは研究開発というものがその範囲でしか育たないという機運が3年前ぐらい前から出てまいりまして、それなりの御予算もつけていただいたりして国のバックアップを得ながら、研究開発の先生方が必要とするものを企業は開発していこうと、日本でそういったものをつくっていこうというように、かなり方向転換されてきたということが言えると思うんですね。
 それなりにそういう方向性に従って各企業は努力をしているわけでございます。その間の企業の技術力の向上とか、あるいは測定機器の精度が非常に飛躍的に上がってきているという状況下において、今の規制を見直していこうというお考えが出てきたということは大変同感するものがあるのではないかなと、こんなふうに思っている次第でございます。
 そうなった場合に、トレーサビリティということで先ほど御説明がございましたけれども、アメリカの計量標準が基本になっていて、それに対して、日本の法律的なものがそれに準拠していて科学的な証左になり得るかというところをちゃんとしておかないと、それは決してグローバルなスタンダードになっていかない。
 一方において、御承知のとおり、ヨーロッパなんかではISOにしても、IECにしても、あるいは最近、RoHSだとか、WEEEとか、いろんな規制をつくってきて、それを世界標準としようとしてきている。
 そういったものとの整合性をこれから日本としてきちっと取っておかないと、いつまでたってもそういうことが確立していけないんじゃないかなと、こんなふうに思いますものですから、欧米とのいろんな制度のマッチングについては国でしかできないタスクだと私は認識しておりますので、ぜひともそういう形で計量標準の整合化ということをグローバルにお願いしておきたいなということが2番目でございます。
 それから、今申し上げたように、民間の能力が技術的にも大分上がってきていると思います。そういう意味では、ニーズのとらまえ方とか、民間の技術力の証左とか、そういったことについて、常に国の機関との間の調整を図って、我々がそういうものを開発していく段階において、具体的にもお役に立つような制度にしていただきたい。そういう意味では、産官が共同してそういう制度をつくり上げていくということをお考えいただいたらどうかなと、こんなふうに思います。
 そういう意味で、本審議会では技術的な進歩を踏まえた適正な規制のあり方について御議論いただきたいということを私は希望いたします。また、経済がグローバル化する中で、我が国の産業の基盤として今後ますます重要となる計量標準の開発とか供給体制が充実されることを本当に期待するものでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○原山審議官 ありがとうございます。
 3点おっしゃっていただいたうちの、どれもそのとおりだと思います。特に三つ目の産業界を含む現場のニーズの吸収に心しなければいけないということで、もし機会があれば後ほど、ここに参加されている田中委員からでも御紹介いただいたらいいんですが、彼は国家計量標準のNMIJの部門長でトップであられるんですけれども、NMIJも中心となって先般、計量クラブという形で全国津々浦々で本当の現場のニーズを吸収していこうという試みも始まっておりまして、矢嶋会長から言われたように、本当に現場のニーズに即した形で努力をしていきたいと思います。
○田崎会長 佐野委員、お願いします。
○佐野委員 今までの御説明の中でさまざまな規格や法律があっても、要するに、ものさしが正確でないとだめだと、はかる人がきちんとはからないとだめだという、そんな本来の法律や規格の意味が失われてしまうということで、私たちの消費生活にとって計量ということは非常に大切だということがわかりました。ですけれども、今まで経済産業省は消費者に何の情報を提供してきたかというと、まさに計量に関してはほとんどなかった。JIS規格もそうですけれども、消費者は蚊帳の外であったんじゃないかなというふうに思っています。
 それで、この中に国民の積極的参加の促進とか、消費者の公正な計量を実現するために最も重要な要件でないかといろいろ書かれておりますけれども、積極的に参画するには内容を知らなければならないということが第1であります。今回の法律改正をきっかけにいかに消費者と密接な関係を持っているか、どのように計量が進んでいるのか、また大切なことなのかということをきちんとわかりやすく説明していただきたいと思います。
 JISのホームページにはキッズ用というのがあり、かわいらしい漫画で、JISとは何か、最後には計量までわかりやすく説明しています。全員がホームページを見られるような環境にはおりませんので、ホームページは一つのルーツとしても、ほかの勉強会であったり、セミナーであったり、またはパンフレットをつくるとか、さまざまな形で一般の消費者に計量の大切さ、規格の大切さを伝えていっていただきたいと思います。
○原山審議官 ありがとうございます。
 今、厳しい御指摘をいただいたんですが、きょう、こういう紙で私の方から説明させていただきながら反省すべきは、佐野委員からも御指摘ありましたとおり、今日まで、消費者の方、一般国民の方に対する国の計量行政としての情報提供は著しく不十分だったということを我々みずから反省しているところでございます。
 今回の行政のあり方の中で、今のような厳しい御意見をいただきながら、我々としても、どのようにわかりやすく情報を提供していくかということに努めたいと思いますし、各自治体で計量行政を担っていただいている方々の場面でもいろんな努力をしていただいていますが、ぜひとも地域住民の方々とのコミュニケーションをかわしながら、本当にそれぞれのところで暮らしている方々の意向をくみ取った、メリハリのある計量行政をやっていただけるような環境をつくっていきたいなと考えているところでございます。
○田崎会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
 ほかに御意見なり、御質問なり。
○青山委員 今の御質問とお答えにあわせて、7ページに本当にいいことが書かれているんです。「国民の積極的参画の促進」という形で、「主体的・積極的参画を促す仕組みを考えるべきではないか」というふうに提案というか、提言というか、されているんですけれども、その具体化こそが問題だろうと思っています。
 例えば個人情報保護法なんかでも、保護法に基づいた相談窓口みたいなものを企業の中でも行政の中でもつくられています。従来の相談窓口に加えて、その部分を入れ込んだという形でなさっていますので、そういう意味では、計量行政に関してもそういうところに一言組み込んでいくということをなさっていったらいいのではないかなという気がいたします。
○田崎会長 どうもありがとうございました。
 正野委員、どうぞ。
○正野委員 三菱化学の正野でございます。本日初めてこの席に出席をさせていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 一言意見、要望を述べさせていただきたいと存じます。
 今、矢嶋委員から御指摘ございました化学物質の規制、管理に関する考え方が国際的な広がりの中で急速に進展いたしております。欧州から提唱されておりますRoHSあるいはREACHといった考え方が瞬く間に国際的な動きとなってまいりまして、我が国におきましても迅速な対応が求められております。具体的には、さまざまな化学物質について正確な計測を可能にすること、二つ目に、基本となる計測方法についても、その国際的整合性を確保していくことが極めて重要であると考えております。
 各種国内規制、例えば今なされておりますVOC規制に適切に対応した計量標準の整備は現状、必ずしも満足のいくものではないと考えられます。この点につきましても規制化学物質測定のための標準物質の確保、整備が今後、重要になってくると認識をいたしております。
 今般の計量法の改正、とりわけ国家計量標準にかかわる整備の推進、国家的体制の強化は、化学物質の利用によって成り立っておりますすべての産業、経済活動にとって重要であるのみならず、安心・安全な国民生活の実現にとりましても極めて重要であります。また、国際的整合性の確保を通じて国際社会の持続的発展にも寄与するものであり、国内対策にとどまらない重要な意義を有しているものと認識いたしております。
 つきましては、国際動向や我が国の将来を見据えた個々の組織の利害や規制の概念にとらわれない国家的視点に立った十分な審議が行われることを期待しているものでございます。
 以上でございます。どうもありがとうございました。
○田崎会長 どうもありがとうございました。
上田委員、お願いします。
〇上田委員 日本品質保証機構の上田と申します。
 私どもは、先ほどの審議官のご説明に中にありました平成5年からスタートしたJCSS制度において、校正事業を担当しており、いわゆる国のものさしを提供する一つのシステムがスタートした時から、その一翼を担ってまいった者でございます。
 制度がスタートしてからのこの10数年間を振り返ってみますと、制度の普及という点においては、必ずしも十分なものではなかったと率直に反省しなければならいと思っております。スタートの時によかれと思って導入したものが、なぜうまく機能していないのかにつきましては、これまでの実績を踏まえながら、もう少し抜本的な観点に立って、いい点は更に伸ばしつつ、足らざるところは補充する形で、より充実したものにしていく必要があると考えております。
 そういう点において、私どもとしても十分にお手伝いをしたいと思っておりますが、末端の方で従事している者の立場から言いますと、今までの流れだけでは中途半端のところがあったのではと感じております。
 そういう意味では、資料の8ページあたりに、問題、視点が書かれておりますが、こういったことを十分に踏まえながらご議論いただいて、消費者の方々の厳しいお声も反映しながら、制度をよりワーカブルなものに、そして本当に世の中に役に立つ一つの制度を作り上げて行きたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○田崎会長 どうもありがとうございました。
○原山審議官 恐らくきょう参加されている方の中でも、上田委員からお話のあったJCSSというのがどういう仕組みかということを御理解いただいていない方も多いかと思います。そのぐらい一般の方にはJISマークなどに比べても目につかない形の仕組みです。
 例えばきょう台風が来ておりますけれども、つい先日も東京に地震がございましたが、あの地震計あるいは、こういう気象観測も気象庁長官によってJCSSを使ってああいう計測器はきちっと校正しなさいということが定められているように、こういったところでも使われているように、実際の安全・安心確保の基盤として一部活用がされ始めております。
 この辺の重要さについて十分認識していただけるように我々としても努力をしていきたいと思いますし、今回の審議会の中で何が障害になっているのかということについて、できるだけ具体的に特定して、その障害を取り除いていくということに努めてまいりたいと考えております。
○田崎会長 宮崎委員、お願いします。
○宮崎委員 この審議会に入れていただくに当たっていろいろ勉強させていただきました。改めて、計量ということが外交貿易、国際関係の基盤でいかに重要かということを痛感している次第です。
 今もいろいろ例が出ていますけれども、例えば京都議定書の問題にしても、遺伝子組換え作物の問題にしても、BSEにしても、何にしても、国際的な視野で考えていくときに、計量という基盤が大きな意味を持っていて、それがきちんとしていないと国家としても立ち行かなくなるような場面がたくさんあるということを考えるに当たっても、大変重要な問題だと思います。
 そこで、お伺いしておりますと、国際標準に沿うように日本の中も整えていくというお話が多々出てくると思うんですが、国際標準を形成する段階からイニシアチブを取るようなかかわり方を我が国としてどのぐらいできるのかということについて、まず第1に質問させていただきたいと思います。
 それから、消費者のライフスタイルの次元で考えていきますと、国民の関心事というのは明らかに量から質へと移り変わっているのではないかと思うんですね。安全・安心という言葉が多々出てきます。これは、この分野だけじゃなくて、今は時代の流行語のようにもなっておりまして、まちづくりにしても、治安の維持にしても、安全・安心ということがいろいろな場面で出てくるんですが、実は安全であることと安心と感じることの間には大きな乖離があると思います。実際の安全であることと、心理的、イメージ的に安心そうに思われることとの間にはギャップがあると思うんです。
 そのときに、つまらない例を挙げても仕方がないので、そういうことにさせていただきますが、安心ということを感じられる担保は、どこでそういうものを提供できるのか。例えば消費者にとって、先ほど来、お話が出ていますように、スーパーでお肉を買ったときに、パックしたお肉が正確にそのグラム数があるかどうかということに対する興味と、あるいは生命とか健康とかに直接に響いてくる環境物質のような、あるいはナノテクノロジーのような微細な場面での計量とかですね、これは場面、場面でいろいろ考えていかなければいけないと思うんですが、安心という感覚を担保できるものが、例えば文化にもかなり深く根差していると思うんですね。
 日本などの場合は、これまで国家が保証するということが安心というものの大きなバックボーンになっていた。例えばアメリカなどに行くと、民間団体の方が信頼性が高かったりするわけですね。国家が出てくるよりも民間で決めていく方が社会的に非常に大きなステータスを持ったりするという場面があったりする。
 文化というものが大きいと思うんですが、そのときに我が国としては、安心をどのように提供していくのか、安全ということをどういうふうに考えていくのかということを何種類か多層的に分けて、組み合わせて考えていく必要があるのではないか。
 その際に、例えばはかりのようなハードの規制ということから始めると、手段ですから、技術革新に伴ってどんどん追いついていくというだけでも大変だと思うんですね。ですから、追いかけていくのではなくて、理念とか構想とか戦略という違う角度からの大きなスタンスを一つ軸として提供していく考え方も必要なのではないか。
 実現に当たっては、いろんなことを言って申しわけないんですが、各省庁の縦割りの障害、弊害というのも、これまであったと思うんですね。同じような検査を各省庁が同じようにやって、同じラベルの中の違うところを調べているとか、あるいは医療であるとか、農産物であるとか、さまざまに役所がかかわってくるところになると、必ずしも同じ基準で動いているかどうか、あるいは何を大事と思っているのか、どういう物質のどういう正確さというものが大事だと思っているのかというところが統一されているのかどうかという問題も出てくると思うんですね。
 そういうことについて、この審議会がプロデューサー的な全体を統括する、例えばオーケストラの指揮者の役割のような働きができるような取り決め方がこれから求められるのではないかという気がしております。
 まとまらない意見で申しわけないんですが、申し上げさせていただきます。
○原山審議官 一つ目の国際標準は、ISOでございますとか、JISですとか、こういった標準ということを、英語で恐縮ですが、ドキュメンタリー・スタンダードと言います。それともう一つ、ここで議論しているようなものさしの基準みたいなものを、メトロロジー・スタンダードと言ったり、スタンダード・レファレンス・マテリアル、標準物質、同じ標準と言いましても、文字に書かれたような標準という世界、ISO/IEC等でやるような世界と、本当の物質的な標準というのがございます。
 前者のドキュメンタリー・スタンダードについて言えば、先ほどISO17025みたいなことを申し上げさせていただきましたが、我々も先ほどのRoHS規制なんて盛んにありましたが、こういったところにおける分析方法において、日本が主導権を取っていこうということで一生懸命努力をしている世界がございます。
 もう一つの標準物質あるいは計量標準の方になりますと、先ほど申し上げた国家計量機関が、これが日本国におけるものさしだと定めたものが、ほかの国でも受け入れていただけるかどうかという世界でのグローバル化という世界と、同じルールをつくりましょうという世界と両面あるということでございます。
 後者の日本国の国家計量機関において供給したものを相互に受け入れていこうというところは二つ要件があります。一つはそういう国際的な枠組みが存在すること。これが、先ほど説明させていただきましたとおり、ようやく少しずつ成熟してきた。
 もう一つは、おかげさまで日本国の産総研の実力がだんだんとアメリカやヨーロッパに認識をされて、同じ枠組みができても、実力を認めてくれなければ、ほかの国には通じませんので、その環境も順次整ってきているということで、まさにグローバル化に向けての基盤が整いつつあるのではないかというふうに思っております。
 後者の安全と安心のところに乖離があるという問題については、こういう形でいくと、より安全というものが安心につながるんだといういいヒントをこういう場合でもいただければ大変ありがたいと思います。
 先ほど必ずしも国じゃなくてもという話が宮崎先生からありましたけれども、JISマーク制度がまさにそういう切りかえをやったわけでございまして、民間の認証機関を国が国際ルールにのっとって認定をするんですが、最終的にそれぞれの企業においてJISマークをつけていいというのは民間の認証機関が判断をすることになります。
 その際はマークのもとにだれが認証したのかという責任を明らかにして、従前以上にだれが責任をもってこれについてオーケーしたのかということを明らかにするという形で国際的な流れというのはあります。
 そういった方法も一つの安心のあり方かなと思いますが、いずれにしても、どういうやり方がいいのかということについて、ヒントをいただければありがたいと思います。
○田崎会長 次の御意見を田畑委員、お願いいたします。
○田畑委員 日本環境測定分析協会の田畑でございます。
 きょう御説明いただいた計量行政の新しい方向性について、私は非常にタイムリーなときに出されたと思っております。この中で三つほど意見を申し上げます。
 一つは、信頼性の確保ということについて言えば、私たちは実際の化学分析のデータを提供する方の立場でございますので、信頼性の確保ということになりますと、人の能力による要件が非常に高いと考えております。このことについて、人の能力の判定をどうするのかということで、これまでも技能試験をしてまいったわけです。もう27回ぐらいしたでしょうか。技能試験は年に3回ぐらいやっているわけでございます。
 そんなことをしてきたわけでございますけれども、それでも、さらにもう少し突っ込んだ技術の担保をする必要があるということで、環境測定分析技能士検定制度を日本環境測定分析協会で検討しております。こういう制度も新しい方向性について御採用いただければありがたいと思っております。
 もう一つ、2ページに書いてございますけれども、ISO/IEC17025が国際的に信頼性が高いということでございます。これはもちろんそういうことでございますが、この制度はシステム規格だけでなくて技術に対する能力も含まれているということで、確かに非常に信頼性の高い規格です。
 我々業界は中小企業がほとんどでございますけれども、さらに小企業の方が多いわけでございまして、こういう企業が全部17025を取るということは大変難しい問題がございますので、それを担保するような、これを補完するような資格があればいいのではないかと思っております。
 三つ目は、先ほどRoHS指令のことも出ておりましたけれども、私どもの日本環境測定分析協会は国際民間試験所連盟に加盟しております。私が財務担当になっているわけです。
 この協会で、RoHS指令を一つの契機にしまして、国際的に民間企業が分析したデータの評価をしていこうじゃないかということで、今年度中に、加盟している国、企業が参加して、試験サンプルを分析して、それぞれの国でどういうデータになってくるのかということを議論しようじゃないかという動きもございますので、こういうことも参考にしていただければありがたいと思います。
 以上でございます。
○田崎会長 よろしゅうございますね。
 矢橋委員、お願いします。
○矢橋委員 私は日本電気計器検定所の矢橋有彦でございます。
 私から一点、御要望を申し上げたいと思います。もちろん、私もこの際、新しい計量制度を検討するということは大変時宜を得たことだと思っております。
 ただし、先ほど来のお話にもございますように、計量制度は社会の基盤でございますので、いわゆるムード先行、スローガン先行ということではなく、あくまでも社会的信頼感とか秩序の維持ということに悪影響が出ないように慎重に行う必要があると考えております。
 こう申し上げますのも、電気のことが頭にあってのことでございます。例えば電気につきましては、明治43年の電気測定法の時代から大変長い歴史の中で今日のように、私の口から申し上げるのもおかしい点もございますけれども、消費者の信頼が得られる体系が確立されております。
 こういうことを踏まえまして、今回の制度の見直しに当たりましては、電気の場合には取引金額が年間14兆円、契約件数が7800万件に上る膨大な取引でございます。したがいまして、こういうことも踏まえまして、電気の取引につきまして需給両者の理解が十分得られる制度でなくてはならないという点を、具体的なことは今後の審議の進展に応じまして適宜申し上げますけれども、基本的なポイントの一つとして、委員の皆様方、頭の中にお入れいただければ大変幸いだと思います。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田崎会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見のおありの方。
○飯塚委員 日本計量振興協会の飯塚でございます。
 計量行政の今後の方向についての文書を拝見いたしまして、大変適切な時期に来ていると思います。計量関係のいろいろな動きが、1995年ぐらいから世界的にも活発になってきております。私自身、15年ばかり国際度量衡委員をやっておりましたけれども、その後期の5年間においては本当に目まぐるしいほどの大きな変化が起こり、日本として、それに対応するのに大変苦慮した経験がございます。
 その一つが単位の問題でございまして、この文書の中にも、メートル法がかなり定着したから、そろそろ弾力化してもよいのではないかということもちょっと書かれておりますが、現在の学校教育の中でメートル法が本当に正しく教えられているかどうかという点もいろいろ聞いておりますと、非常に危ぶむところがございます。そういう意味では、私は、まだメートル法が完全に定着しているとは言えないのではないかと考えております。
 したがって、単位の定義については現在、国際的に取り決められております国際単位系――これはメートル法を含んだものでございますが――に、日本が一層遵守するという方向をぜひ堅持していただきたい。特にアメリカが現在、経済的に一極集中になって、ヤード、ポンドが復活するようなことは絶対あってはならないのではないか、むしろアメリカを説得していくべきではないかというふうに思っております。
 ただし、弾力化の中で、計量単位の標準について現在、産業技術総合研究所が実際の実現について、その任をもっているわけでございますが、この部分については非常に技術的な進歩が早いわけでございまして、それが現在の体系では法律の中で決められている。例えば単位の名称にしても、その実現の仕方まで法令の中で決められているということになりますと、非常にその対応が遅くなる。
 昔、メートルの定義はクリプトン86という光の波長になったときも、法律改正の方が数年以上おくれて国際的にも大変恥ずかしい思いをしたようなことがございます。これはあくまでも法律が余りにもリジットに、そういう技術的な中身まで入り込んでいるのではないかと思いますので、その辺は検討すべき時期になっているのではないかということを申し上げたいと思います。
 それから、産業技術総合研究所が実際の一次標準を持っているといっておりましても、現在、独立行政法人になって、法律上のいろいろな国内の権限等について見直すべき時期に来ているのではないかということが第2点でございます。
 さらに、計量標準の一次標準だけでなくて、実際にはトレーサビリティ、先ほどもお話がございましたけれども、実用の標準までこれをどうつなぐかということで、JCSSというお話もございましたけれども、日本全体の計量標準を同一の目盛りに全部統一していくためのいろいろな取り決め、これは恐らく産業技術研究所などの標準関係の研究所の技術的な判断を仰がなければならないところが非常に多いと思うんでございますけれども、それが行政の仕組みとどのようにマッチするのか、私は外から見ていて懸念をしております。そういう技術的な問題については、研究所の裁量でいろいろな進歩を取り入れられるようにしていくべきではないかと思っております。それが第3点でございます。
 第4点、私ども日本計量振興協会でございますが、メンバーの中に計量士がたくさんいらっしゃいます。環境計量士と一般計量士と二つ分かれているわけでございますが、国家試験として非常に難しい試験になっております。現在、一般計量士だけでも累積で1万人以上の方がいらっしゃって、実際に活動されているのは1000人から3000人の間ぐらい思っておりますけれども、これらの方々が難しい試験を通って十分な知識を持っているにもかかわらず、それに見合っただけの活用がされていないのではないか。現在の法令の中で計量士の活躍すべき役割が非常に限られておるということで、国家としては大変もったいないのではないかと思っております。
 先ほど安心をどうやって維持するかというお話がございましたけれども、例えば商品の量目等にいたしましても、適正計量管理事業所という制度で本来は保たれるべきでございますし、実際にきちっと法令を守っておられるところもあるけれども、必ずしも十分にこの制度もすべてのところで活用されているわけではない。
 そういう中で一般計量士の方々も必要なところでは活躍しているわけでございます。それらの役割について十分な、非常に対価が高いとか、あるいはコストがかかるということではございませんので、むしろ社会的には活用する方が社会全体としても利益があるのではないかなと思っております。その辺についても、この中に多少問題提起がされておりますが、ぜひ御検討していただきたいと思っております。
 ちょっと長くなりました。以上でございます。
○田崎会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見は。田中委員。
○田中委員 産業技術総合研究所の田中でございます。
 ちょうど飯塚委員がおっしゃったことにかんがみまして、一言申し上げたいと思います。
 10ページになりますけれども、NMIJの一層の活躍のための環境整備ということで、大変ありがたいことでございます。そのバックグラウンドとした詳細な話になってしまいますが、申し上げたいのは、先ほど来、国際相互承認という言葉が出てきております。
 我が国の計量標準のトレーサビリティを外国に現実に即座に示していくということが非常に大事なんですね。つまり、計量標準の技術というのは非常に込み入っておりまして、時間をかけてわかるものじゃなくて、即座にわかるようなシステムをつくっていくということが国際相互承認の世界では求められております。
 そういうものを構築する場合に、我が国のトレーサビリティシステムはこうなっておりますと、我が国のトップはここでございますというふうなことをすぐに外国に示していく、指定という言葉、日本で言われている指定とちょっと違う言葉で、英語で言うとdesignationと言われているんですけれども、そういったことを我々はやっていかないと、諸外国の標準機関あるいは諸外国の政府が日本の標準を認めるという方向に進まないようになっております。
 この仕組みにつきまして、私たちが独立行政法人になる前は経済産業大臣の下にありました関係上、即座に政府から我々が指示されておりまして、私たちがある機関を指定しているという形になっていたわけですね。これで外国からすると、指定したということを即座に政府がアプルーブしているという状態だったんですね。
 それが独法になりまして、経済産業大臣との間が切れてきたということで、十分整備されていないということであります。10ページに書いてございますように、経済産業大臣と私たちの間の役割を明確に決めていただいて、さらに、それを諸外国に示していくということが今、一番求められているということだと思います。
 これは何も国家のトップのものだけではありません。今の計量技術というのは日進月歩、先ほど矢嶋委員がおっしゃったように、新しい技術がどんどん入ってきておりまして、ナノテクノロジーから始まって、バイオとか、環境とか、これまで普通度量衡の世界では考えられてなかったようなものがどんどん入ってきているわけでございます。
 民間の方たちの力を利用しながら、そういったものを国民のために供給していこうとする場合に、そういったものを私たちが指定する仕組みをもっと広くとらえなければいけない。そういうものを新たな制度としつつ、かつ国の代表としての経済産業大臣との関係を明確にしていくことが非常に重要なことになると思います。詳細な話で大変申しわけございませんが、それを一つ申し上げたいと思います。
 もう一つは、先ほど審議官がおっしゃったクラブの話で、矢嶋委員が、日本のすぐれた計量器産業と、産総研とか、ほかの計量標準にかかわる機関との協力ということをおっしゃられたわけでございますが、私たちはこれまで計量標準の供給と整備ということを、独法になりまして4年間、積み上げてまいったわけでございます。
 そういった仕組みは主として、日本の計量標準の一番レベルの高い校正事業者というのがあるわけですけれども、そちらとの間で私たちはいろんな技術開発あるいは協力をしてきたわけでございますが、それをもっと広めていかないと、本当の私たちが供給します計量標準が全国津々浦々まで行かないわけです。
 そのためには、計量器の業界の方たちともっともっと、そこの末端にまで広めるための計測技術あるいは計量器はどうあるべきかということをきっちり議論しながら、新たな技術開発に進んでいく必要があるわけでございます。
 そういった国全体としてのピラミッドシステムが完成しますと、我が国の計量制度というのは世界に冠たるものになるわけでございます。本当にこれから数十年の間、あるいは100年の間、安泰に安心してお使いいただける計量標準の体系ができるのだと思いますので、そういった制度も御利用いただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○田崎会長 ありがとうございました。
 ほかに。
○大井委員 大井と申します。
 先ほど飯塚委員が教育のことをおっしゃいましたけれども、私は文部科学省の教科書検定審議会の委員をここ数年間やっております。教科書の記述を見ておりますと、SIの仕組みとか単位のことに関しては、ゆっくりですけれども、間違いが減って、よくなってきているように思います。
 ただ、教育現場の方は現在見ておりませんので、どのくらいなのかというのはちょっとわからないんですけれども、非常にゆっくりですが、よくなってきているというのは実感しております。
 ただ、SIに関して、学校や何かへの宣伝がもっとたくさん必要なんじゃないかと思っております。その方をよろしくお願いしたいと思います。
○田崎会長 ありがとうございました。
 そのほかは。
○森委員 私、東京都の計量検定所の現場におるものでございます。それと同時に、全国の世話人を兼ねていますので、一言言わせていただきたいなと思っています。
 今の学校教育との関係で言いますと、私ども今年度から始めたいんでございますけれども、小学校3年生ごろから、数学なり理科で単位の勉強をしていく単元がありますので、今年度からなんですけれども、東京都の計量士会と計量協会の御協力を得まして、私どもで出前講座というのをやっております。
 これは都内の公立の小学校だけでございますけれども、6月から申し込みを受け付けまして、現在までで34校、一つの教育委員会。これは学校の先生のためのものでございまして、経費は全部計量協会と計量士会と私どもの方で持つようにしております。
 したがいまして、実際の現場でやってみますと、子供たちの目が輝いておりまして、計量士さんにとってもいい経験になるし、子供さんたちにとってもいい経験になる、先生たちも喜ばれる。そういういい点がかなりありますので、来年度もできるだけやっていきたいなというふうに思っています。
 これはかなり手間暇がかかりますので、ほかの県で果たしてできるかどうか、それはわかりませんけれども、一つの実験として始めております。
 それから、今までのお話を聞いておりますと、どちらかというと、消費者関係の方はB to Cのスタンスで何かお話になられている部分が強いのかなと。ところが、ほかの方のお話を聞くと、B to Bのお話で、我々としても、実際の現場にいる人間としても、法律を読んでもなかなかわかりづらい部分がございます。したがいまして、今回の改正の中で、わかりやすい法律にしていっていただけないかなというふうなことを一つ申し上げておきたいと思います。
 と申しますのは、検定と検査、例えばタクシーのメーターは検定というんですけれども、その装置につきましては、頭部検査と装置検査、同じように検査という言葉を使っております。したがって、検定という言葉の中に検査という言葉が入ってくる。こういうのは非常にわかりにくいのではないかなと思っております。
 もう一点、地方自治体との関係で言いますと、我々各県試は、その実情に応じた形で一生懸命頑張りながらやっております。しかしながら、例えばの話で申し上げますと、昨年からことしにかけまして、私どもの方、水道メーターの検定がなくなってしまいました。約20万個です。なくなったのがはっきりとわかりますと、即定数の減になります。
 したがって、そういう厳しい状況の定数削減の中におかれて毎日毎日頑張っているわけでございますけれども、その基本として、例えば各自治体の状況に応じてやってほしいと言われたときに、例えばの例で申しますと、私どもの方でやっていることが隣の県ではやっていない、あるいは2年に1回だったものが3年に1回にするとか、そういうような基準で果たしてどうなのかなと。
 ですから、前回の改正のときに自治事務に変わった部分が結構ございますけれども、そこの部分が果たして自治事務でよかったのかな、してよかったのかな、どうかなと、そこのところをもう一度原点に立ち戻っていただいて、計量というのは文化の基本であるし、経済の基本でありますので、極端な話、世界どこでもそうなんですけれども、日本の中でどこでもそういう検定、検査は統一していく必要があるのではないかなと思っております。
 あっちこっち脱線しましたけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
○原山審議官 ありがとうございました。
 まず教育についてはいろいろ御意見をいただきました。この法律ということとは違うかもしれませんけれども、改めて、どういうアプローチの仕方があるのかは検討を続けていきたいと思います。
 1点だけ御紹介申し上げますと、世界共通学力テストにおいて日本が第何位になったという中で、はかりによってものをはかるというところについて、文部科学省は大変ショックを受けるくらい非常に成績が悪くて、私どもと一緒に何か教育現場にできないだろうかという御相談を始めさせていただいているところでございます。いい知恵をいただきながら努力したいと思います。
 それから、B to B、B to Cということを言及いただきました。現在の法律は一般の人が読み下してもわかりにくいものになっているというのは確かだと思います。それから、先ほど来あったB to B、B to Cということについては、法定計量器という形まで取って強い規制をするというのは、消費者保護ということに特化をしてもいいのではないか。他方における広い意味での安全・安心の基盤、品質管理の基盤である計量標準の供給、それへのトレーサビリティの確保ということについては、B to B、B to Cという切り口ではなく、もっと広い視野から取り組んでいくべきものと考えているところでございます。
 果たして、自治事務化したことがよかったのかどうかというのは、時々問いかけとしていただくことでございますが、また各委員の御意見もちょうだいできたらと思います。
 政府全体としては、今の大きな流れ、三位一体の改革もそうでございますが、地方でできることは地方で、民でできることは民へという大きな国の基本方針の中でのことでございますので、これを逆転させ、もう一回流れを元へ戻すというのは政府全体の今の流れの中では非常に難しいのではないかなと。でき上がっている大きな流れの中で、そこをどううまくしていったらいいのかなという方向で考えるのが現実的ではないかなというふうに私どもは考えているところでございます。
○宮崎委員 今、B to BとかB to Cというお話が出たんですが、これまでの計量行政って、恐らくそちら側からの矢印が一方通行に行っていたと思うんですけれども、これからは、例えば先ほど電気のお話が出ましたけれども、各御家庭でつくった電気をいかにつくったり、余ったものを上の機関に売っていくかなんていうことも始まっているわけですね、環境問題の中で。
 そうすると、B to Cとか、そういう枠組みではないCから発するというところも出てくると思いますし、C to Cの部分もあると思います。もう少し一人一人の一般市民、消費者レベルで、このことについての意識を高めていく必要があるのではないか、そういう意識改革というのがどのような形で行えるか。
 まずは、最初にも出ましたけれども、情報というのはとても大事なんですが、情報というのはただそこにあるだけでは余り実効的な意味をなさないので、それをいかに取り入れられていくのか、働いていくのかということを考えた場合に、関心を持って情報を収集していただかないといけないわけです。その仕掛けをどうつくるのか。
 教育の現場の中でも、森委員が手づくりで一生懸命おやりになっているというのも、でも、全部はできないですよね。そうすると、カリキュラムとして、どのように取り入れていくことができるのか、小さいころからそういう意識をもっていないと、大人になって社会に出てからいきなりはかりなさいと言われても、やっぱりできないと思うんですね。そういうバックグラウンドをどうつくっていくのかということなどをもっと包括的に考えていく必要があるのではないかなと思います。
 ですから、今までとは違う方向性もぜひ検討していただければと思います。
○原山審議官 宮崎先生は情報学の御専門であられるので、私の方から言うのはあれですけれども、情報については出す方からの情報もそうなんですが、言うまでもなく受け取る方の感度というのが物すごく大事だというふうに思っております。
 先ほど来、消費者の参画と申し上げたのも、半分ぐらい同じ意味がございまして、法定計量という形でやるからには一定の幅の中に合格値があるわけです。結構幅があります。その中に入ったもので合格証がついていれば、どの計量器もみんな一緒だわということで受け取っている限り、それ以上の精度の高いものを供給しようというインセンティブは欠けてしまうおそれがあります。
 そのときに、それぞれの出される情報が自分のところの計量器、はかりはもっと精度がいいんだという情報をきちっと提供されたら、今度は受け取る側の消費者が、それだけいいものなら余計なお金を払ってもそれを購入しますというふうに選択しますという環境がつくられれば、もっともっと精度の高い、安全、信頼につながるような方向がいくと思います。
 先ほど申し上げました長さ計が、御自宅へ帰っていただくと、巻き尺に間違いなくJISマークがついていると思います。これについては、JISに1級、2級とあって、1級というのは国際的な基準を超える精度の高いものでございます。2級というのは国際的な水準でございまして、それが計量法で規制されている水準だったんですね。
 そうしたら、ほとんどのメーカーさんはJISの1級を満たしているというので、わざわざ2級相当の計量法の規制をする必要はなかろうということで、この計量審議会で長さ計というのを、非常に基本的な取引の単位であるはずにもかかわらず、この計量法から外したんですね。
 それだけのことをちゃんと消費者が見ていただいて、JIS1級ということを信頼して購入してくれるものというふうに当時は考えたんだと思います。そういうふうなことで、受け取る方がより感度をもって情報を見ていただけるようになると、出す方もおのずときちっと情報も出てくるという面もあるのかと思いまして、その両面から取り組んでいく必要があるかなというふうに思います。
○田崎会長 大分時間もたちましたけれども、よろしゅうございますか。
 ほかに御意見。
○中村(栄)委員 横浜国大の中村と申します。
 私、分析科学をずうっとやっておりまして、昨年度、水道水の、新しい法になったときにも参加しておりまして、あとJISの分析法でISOとの整合性の委員会にもずうっと参加しておりまして、先ほど、例えばISOの標準でドキュメンタリーの方はかなり日本から意見も出ているということだったんですが、ISOと排水の分析法の整合をやっているところで感じましたところは、もちろんダイオキシンの測定法というのは日本からかなり提案があったんですが、そのほかのものについては、日本からの提案がなかなか通らない。
 今、ISOのTCから日本に意見を求めて、それに対して個人的にというか、何人かの日本の国内委員がそれに返事をするというような仕組みになっていると思うんですね。したがって、その分析法のところでは、もう少し国全体としてISOのTCにどういうふうに参加していくかというシステムづくりをしていただきたいというふうに考えております。
 それから、先ほど田畑委員からも出ましたように、ISO17025をすべてのところで取得するというのは大変困難なことではないかという意見が出ましたが、私も何カ所か17025を取得しているところを見に行きましたけれども、あれだけの書類とか作成、大変だと思うので、それにかわる測定技術の信頼の確保の仕組みをぜひつくってほしいというのが2点目です。
 3点目についてはJCSS、先ほど、それほど一般的に知られていないということで、例えば水道水の検査方法でも標準液にJCSSが入らなかったという実情がありまして、先ほど宮崎委員がここの審議会がすべての省庁のコンダクター、オーケストラのコンダクターになってほしいという要望も出されていましたが、私もその辺、例えば私は水分析が専門なんですが、環境省の水分析があるし、経済産業省のJISの水分析があるし、厚生労働省の水道法の分析法があると、それぞれニュアンスが……。もちろん対象が違いますからニュアンス違っていいんですが、もう少し省庁の壁を取り払った仕組みづくりができないかと常々思っておりますので、その辺もぜひ御検討いただければと思っております。
 以上でございます。
○田崎会長 ありがとうございました。
○原山審議官 大変包括的な御意見でございます。環境省の水分析においても幅広くJISを活用していただいておりますが、私ども今回の計量の見直しをきっかけに、我々の水分析に関するJISの反省等もやってみました。おっしゃったとおり、我々のJIS規格自身ももっと見直していかなければいけないところもございました。
 国際スタンダードを押さえにいくというのは、先ほどRoHSの例で、RoHS分析については、おかげさまで国際的なTCの議長を日本国が取得するなど、昨今はそれなりの努力しているところでございますが、不十分な点があるのもよく承知しております。
 我々、日本規格協会というところに国際標準化支援センターというセンターを設けて、できる限り、そういう最先端での国際標準づくりに活躍できる方々をいろんな面でサポートしようという試みも始めておりまして、中村先生からおっしゃっていただいた方向で努力を重ねていきたいと思っております。
 それから、17025については、私どももすべての企業にこれを要求するということが現実的ではないということもよく理解しております。それにかわるもので、かといって、先ほどあった安全プラス安心というところまでつながる方法って、一体どういう方法があるのかと。
 これは先ほども一部御紹介いたしましたが、まず安全という方からいけば、必ずしもハードウェアの規制ということを通じるんじゃなくて、きちっきちっとしたトレーサビリティが取れているということを確認していくということが大事なんだろうなと思っておりますけれども、それを超えて、先ほど田畑委員からありましたような人間の問題、方法の問題、そういうところまで、どこまで計量法ということで立ち入れるのかどうか、チャレンジはしてみたいというふうに思います。
 水においても、東京都の水質センターの方で17025の取得をされたという自治体においても大変な御努力をされているところもあるわけでございます。結果として、安易な方向でそういった御努力をディスカレッジするということも避けたいと思いますので、できれば、そういう高い水準を目指す方をエンカレッジしつつ、しかし、他方で現実的な安全・安心を確保する方法って何があるのかという、なかなか難しいバランスの取れた検討になるかというふうに考えております。
○田崎会長 たくさん御意見ございましたけれども、大分時間もたってまいりました。大体よろしゅうございますか。
 議長の独断と偏見といいますか、特権といいますか、何回もこの会議をやらせていただきまして、本日ほど活発な議論が行われた会議はございません。非常にありがたいと思います。
 皆さんの御意見、いかに計量という問題が幅広いものであるかということを赤裸々にあらわしたような会議であったと思います。教育の問題もございましたし、最先端の技術開発の問題も出ましたし、国際標準の問題、あらゆるところで計量というのがいかに幅広い社会に影響があるかということをよくわかりました。皆さんの御意見を十分反映した形で諮問を諮りたいと思います。
 ちょっと時間がありますので、私が勝手なことを申し上げますが、私は、国、地方、企業、国民も全体が相当計量に関して関心を高めながら、一番合理的なコストで効果的なやり方で、Where to goといいますか、どこへ行くべきかという議論では、さほどの差はないと思うんですね。How to、どうやっていくんだというところに非常に問題があるんじゃないかと思います。
 一つだけ皆さんに話題提供しますけれども、いかに国民が計量に関心がないかという一つの事例が、私は為替だと思います。お金だと思います。日本でみんな円高とか円安とか言いますよね。私は昔からこれをマスコミにもおかしいと。自分の一番大事な価値の標準の円を高いとか安いとか一体どういうことだと、ずうっと言い続けてきました。ようやく最近、元が幾らだとか、ユーロが幾らだとか言い出して、初めてドル安だとかドル高だとか、元高とか元安、自分の円をものさしにして物を言うようになった。
 これは一つの例ですが、さほど日本人というのは自分がしっかり持たなければいかんスタンダードをグラグラさせるというくせもありますので、教科書も含めまして、計量ということに関しては本当に国民が一致団結して一生懸命いかに大事なものかということを理解しながら、企業も国もみんなで支えていくものであるというふうに思いますので、本日の議論は非常に有意義だったと思います。
 ひとつ行政の方でもくれぐれもこれを十分消化をして諮問に提出していただきたいと思います。ありがとうございました。よろしくお願いします。
 本件はそういうことで諮問をさせていただくということでよろしゅうございますか。
〔「異議なし」の声あり〕
○田崎会長 よろしゅうございますか。それでは、次の議題に行きます。

(2)計量制度検討小委員会の設置と当面の審議予定について

○田崎会長 今後の審議の進め方及び審議のスケジュール案について事務局より説明をお願いいたします。
○籔内計量行政室長 資料5に沿って簡単に御説明したいと思います。
 今後は、計量行政審議会運営規程第11条に基づき、小委員会を設置いたします。また、今後のスケジュールにつきましては、8月8日に第1回の小委員会を予定しております。可能であれば、年内に骨子案等を小委員会より御報告いただき、大きな方向性について審議会にて了承が得られればと思います。その後、さらなる具体的な検討を進め、パブリックコメントなど必要な手続も経て、来年の春ごろをめどに答申案の取りまとめが行えるよう、お願いしたいと考えております。
○田崎会長 ただいまの説明につきまして、御質問がありましたらお願いをします。御発言を希望される方は、前の名札をお立てください。いかかでございますか。
 特にございませんようでしたら、このように今後の審議を進めていくということについて、審議会として了承したものといたします。
 小委員会の委員は会長が指名することになっており、また小委員長は当該小委員会に属する委員及び臨時委員の互選で選出される者、または当該小委員会等に属する委員及び臨時委員のうちから会長の指名する者となっております。
 小委員会のメンバーについて、事務局と相談をいたしまして、その構成案を作成いたしました。事務局から御紹介をお願いいたします。
○籔内計量行政室長 資料6に沿って御説明させていただきます。
 今、お話がありましたとおり、会長と御相談をしつつ、資料6の委員名簿を作成いたしました。
 簡単に御説明をいたしますと、関係各方面の方々で委員を構成してございます。具体的な委員の構成は、計量法の執行機関であります地方自治体や独立行政法人、学者の先生方、計量器メーカーの代表、消費者団体の方々、流通関係の団体の方、計量士代表の方、報道機関の方などとなっております。
 委員長につきましては、現在同志社大学で教鞭を取られておられる中田哲雄委員にお願いいただくことが適当ではないかということで、委員長として記載してございます。
○田崎会長 ただいま事務局から御紹介のありましたとおり、小委員会の委員長については中田哲雄委員にお引き受けいただきたいと存じますけれども、中田委員、いかがでございましょうか。
○中田委員 中田でございます。
 会長からの御指名でございますので、小委員長として最善を尽くしてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○田崎会長 どうもありがとうございました。
 それでは、計量制度検討小委員会の委員長として、中田委員にお願いをしたいと存じます。

議題2 計量行政審議会運営規程について

○田崎会長 続きまして、小委員会の下にワーキンググループを設置しようとすると、これまでの運営規程を改正する必要がございます。事務局から御説明をお願いします。
○籔内計量行政室長 資料7に沿って説明させていただきます。
 会長のお話にありましたとおり、ワーキンググループを設置するために運営規程を変更させていただきたいと思います。
 これまで小委員会の設置までは規程がありましたが、その下部機関に関する規程がなかったことから、第11条、第12条に所要な条文を追加してございます。これにより、小委員会の下にワーキンググループが設置できることとなります。今後はワーキンググループを通じて検討を進めたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○田崎会長 ただいまの御説明について御質問がありましたら、お願いをします。御発言のあります方はお名前の札を立ててください。
○伊藤委員(江連代理) 電気事業連合会の江連と申します。
 済みません。資料6へ戻らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。名簿の方なんですが、先ほど意見を言う機会がなかったものですから。
 電気事業連合会というのは電力会社の代表ですが、先ほど、他の委員からお話がありましたように、電力会社というのは7000万個以上の電力計を御家庭につけて、お客様から電気料金をいただいているということで、大口のユーザーと考えております。今回の計量行政審議会のメンバーも大口ユーザーということで入っているのではないかと考えていたんですが、今回の小委員会の名簿を見ると、ユーザーの立場の方が入っていない。
 計量行政を考える上では、消費者の方はもとより、計器をつくられる方、そしてユーザーも欠かせないプレイヤーの一人と考えているのですが、今回ここに入っていない理由を教えていただきたい。また、今後、審議する上で、計器のユーザーの意見も十分反映して審議を進めていただきたいと思います。
 審議の順番がずれてしまったんですが、よろしくお願いいたします。
○田崎会長 御意見は資料6の委員の中に計器のユーザーがいないとおっしゃったんですか。
○伊藤委員(江連代理) 計器のユーザーがいない理由と、検討を進める中でぜひとも意見を聞いていただくような機会をいただきたいと思っております。
○田崎会長 わかりました。
○原山審議官 御説明申し上げますと、計量法の今の法体系は、法定計量につきましては、おっしゃったとおり、計量器を使用する者を規制しております。そういう意味では、規制されている方が電力会社であったり、ガス会社であったりするわけでございます。
 ところで、電気もおっしゃったとおり大変大きなユーザーでありますが、同じようにガスもございますし、タクシーメーターも、万人に関係しているものだと思います。ガソリンメーター等も同様でございますし、あるいは一般のはかりも同様でございます。さらには、血圧計その他、計量法自身が大変幅広いものですから、しかも、どの方がユーザー代表に値するかと。例えば電気関係の方々でガスや水道メーターの使用者を代表されるかどうかというのは大変難しい議論でございます。
 そういった観点もございまして、ここに代表的なユーザーの方々を並べると、恐らくこの倍のリストになってしまいかねないような事態でございまして、現実的な審議をするという観点から、会長あるいは小委員長等とも相談して、こうした形にさせていただきました。
 ただ、審議を進めていく中で、代表的な計量器のユーザーの方々にはきちっと、この小委員会あるいはワーキンググループをフォローしていただくと同時に、どこの段階で御意見を言っていただくのがいいのかというのは小委員長等と十分相談しながら進めさせていただきたいと思いますが、必要に応じ、あるいは、ぜひということであれば、御意見を述べていただくような機会もあるのではないかと、そのような方向で進めていきたいと考えております。
○田崎会長 御了解いただけますか。
 ほかによろしゅうございますか。
 ほかに御意見、御質問がございませんようでしたら、この審議会の運営規程につきましては、事務局提案どおり了承ということにいたします。よろしくお願いをいたします。

議題3 そ  の  他

○田崎会長 最後に、事務局から次回の日程等についてお願いをいたします。
○籔内計量行政室長 小委員会及び各ワーキングの進捗を見つつ、次回は基本的方向の審議を行う予定であります。次回の日程は、可能ならば年内をめどに委員の日程を伺いながら決めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○田崎会長 以上で本日の議事はすべて終了いたしました。本日は長時間にわたる熱心な御議論、まことにありがとうございました。
 小委員会では本日の議論を踏まえた審議をしていただくようにお願いを申し上げます。

閉     会

○田崎会長 以上をもちまして、平成17年度第1回計量行政審議会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 
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