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日本計量新報 2015年3月1日 (3047号)

宇宙探査機の運行の正否は計測と制御が決める

「計ることとは物事を数値にすることだ」と決めて、これを推進するのが計測関係者のつとめだ、としている人々がいる。理が勝ちすぎている。計量思想の普及とはどのようなことかわからない。計量と思想が連結しているのだから理解不能なのだ。このこと、すなわち計量思想の普及を目的に行動していると理念に掲げている人々がいる。この人々は何を考えているのだろう。
 日本の科学技術の快挙の1つとして宇宙探査機「はやぶさ」(ハヤブサ)の運行の成功がある。ハヤブサは計測器で満たされていて、小惑星の石である塵(ちり)を採集して持ち帰るという大衆受けする行動のほかにも、計測を通じてさまざまな業績をおさめている。このハヤブサが地球に戻ってきたからこの事業がもてはやされたのであるが、失敗はたくさんあってその失敗は計測の失敗でもあった。ハヤブサのあとの宇宙探査機は制御系の動作の不具合があってその任務遂行が危ぶまれている。制御系の失敗は計測システムの不具合と一対である。
 健康を目的に身体を整える。そして体重を制御する。体重を制御する目的のために体重計があって、計測の側はそこまでが取り扱う対象領域にしていた。この先のこと、つまり体重を制御して健康を整えるという分野に踏み込んでいくことを事業にしている企業がある。この事業で病院に行って使う医療費などを抑制し、国の支出の多くなっていく分野でこの先も膨らんでいく費用を収縮する役割を果たそうとしている。
 いまの世のなかだから病気の人に手当をしようとする。しかし健康保険に入らずまた治療費を持たない人は病気であっても治療を受けない。病気になって治療を受けようとし実際に治療を受けている人は平和だ。
 計量思想の普及と深い考えもなしに述べる人が多い。計量行政事務に従事する人々、そのことを会の目的として定款の第1番に書き込んでいる計量協会の会長・理事長、専務理事、事務局長がそのことをどのように理解しているのか。会長、専務理事、事務局長があり得ないほど頻繁に交代し、行政機関の長が2年すると計量に関係しない職域から移動してきて「浅学非才」とあいさつする。そのような事情があるので「計量思想の普及」とは上にあげた人々にそれを説くことであるといえる。年に1度、パンフレットを配って計量のまねごとをすることは自分への慰めといってよい。計量行政機関も計量協会も計量士もその業務の主体はハカリの定期検査である。そうであればハカリの定期検査に関係する業務の推進こそが「計量思想の普及」であると決めて思い切った発想の転換をすることだ。ところでまた問い返そう。「計量思想の普及」とは何を指しているのか。

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