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日本計量新報 2015年2月15日 (3045号)

都道府県と市町村の分担によって運営されている計量行政

大阪では府立大学と大阪市大学があることは二重行政と同じようなことだからこれを1つにするのだ、ということを大阪市長がテレビにでてきて声高に主張する。単純明快のような論理に日本人はコロリとやられてしまう。公立の大学はあれっと思うほどに増えているのに驚かされる。増えたのはなぜなのか不思議だ。その反動で数を減らす方向に動いている。国立と公立の大学の運営費としての予算は削減されており、信州大学の教育学部などは古い建物が修理されずに使われている。
 私立大学が地方都市に闇雲(やみくも)に増えていながら入学者を集めることができないという現実がある。大学の数が増えたために、入学希望者を上回る定員数になっているからである。人は減りつづけているのに定員を増やす動きがそのままであったのだ。国も地方公共団体も福祉、環境などの行政内容を拡大してきているなか、収入は増えないために、足りない分をどこかで削って対応しようとする。
 計量行政は地方公共団体が実施するにあたって、かつては国の包括的な指揮監督のもとでおこなう機関委任事務であるから国に代わってこれを実施するという内容であった。このための費用が国から出ていたのであるが、機関委任事務が自治事務と一部法定受託事務(計量士の登録など)に変更された後に、地方公共団体の財政難などを背景に計量行政にかかわる運営費が減りつづけている。
 大阪府立大学と大阪市立大学が同じものが2つある二重行政として取り扱われるついでに、この方式によって府と市での計量行政は二重行政だという単純な論理で切り込まれかねない。これでいくと都道府県の長が実施する計量行政と市町村長が実施する計量行政は二重行政だということになってしまう。
 都道府県と市町村の計量行政は分担制であり、大まかには市町村はハカリの定期検査を中心業務をおこなってきた。都道府県はハカリほか計量器の検定であったが、計量器の検定は指定製造事業者制度の創設によってメーカー自己検定に実質上移行している。
 適正な計量の実施を確保することが計量法の理念であり計量行政の実務である。計量行政のための体制と人を配置して、この人々が心おきなく業務をすることを促すことが首長のつとめであるのに、逆のことをしているようすがあちこちで見受けられるのは困ったことだ。

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