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日本計量新報 2012年4月29日 (2915号)

適切な計量のお手伝いをする計量器コンサルタント

 計ることは知ることであり、知ることは物事を上手に処理するために役立つ。その計ることのお手伝いをする役割は、計量器をつくる人、計量器を売る人などが担っていて、このお手伝いをするのに足る知識と技術と知恵を有していることを公に認めた資格が「計量器コンサルタント」制度である。

 計量器コンサルタントは(一社)日本計量振興協会が付与する資格であり、国家資格とは異なるもののこのような資格制度は広く普及しており、世の中がその価値と有効性を認めているものの一つである。計量器コンサルタントになるためには、(一社)日本計量振興協会と連携する都道府県計量協会などが実施する講習会を受講して、修了時に課せられるレポート試験に合格しなければならない。講習科目は@計量法の概要、A基礎的計量管理の知識と実際、B量と単位の基礎知識、C計量器の知識の4科目が基本になっており、修了試験の平均得点が60点以上でなければならない。これが計量器コンサルタントの資格付与の条件である。(一社)東京都計量協会などが実施していて、現在までに資格を付与された者は全国で2000人近くになる。資格付与のための要件は計量器の製造または販売事業者およびその従業員であり、ある年限の従業歴を要する。
 計量法令における権能が国家資格である計量士のように特定計量器の定期検査の代行検査の実施権という形で付与されてはいないものの、計量器への知識などその使用分野や使用方法、そして選定などに関しての専門家として社会に資格者の技量が認められている。
 計量ということで計ることと計るための器具機械装置への一般の人々の知識は決して十分ではない。大は小を兼ねると思って、1g単位で計ることが求められるお茶の目方(質量)をそのハカリで計ることができる一番大きな値である秤量が20gの機械式ハカリを用いている事例があり、このハカリの1目の大きさはgよりも大きく、またそのハカリで計ることができる小さい部分は100g以上であった。これではハカリを使って計るその行為の意味がないうえ、お茶を買う人にはそれで得をしたのか損をしたのか判別できないのである。正しく計られていないのだから、客には損であり、お店は同時に20kgのお茶を仕入れて売ったそのお茶の総量が15kgという結果になっていることもあり得るので、大きな損をしているかも知れないのである。
 
 世の中の計る行為に関係してそのための計量器の選定、使用方法、管理の仕方など必要事項を適切に説明し、実際に必要となる計量器を供給するために立派な働きをしているのが計量器コンサルタントである。世の中には計量器コンサルタントの資格の名称を「計量コンサルタント」と名刺に書き込んでいることも希にあり、この「器」抜きの名称はある意味で計量器コンサルタントの活動の実態を表現しているから目くじらを立てることは野暮でもある。精密級の計量器の技術開発がすすんでこうした計量器への知識が一般の技術者には不足がちになっているから、見識のある計量器コンサルタントが果たす役割は大きい。
 その一方で精密さの必要がない分野にわざわざ精密である計量器を使う事例は使用者に知識が不足しているためにおこる間違った器種選定である。必要とされる精密さに応じた計量器を選定して、計測目的に沿った精密さの計量を実施することが大事である。
 そのような意味からも「ほどほどの計量」を体得した計量器コンサルタントの活躍の社会的意味は大きい。

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