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日本計量新報 2008年3月30日 (2717号)

計らなくても計ったのと同じ効果を出そうとする考え方がある

 病気はさまざまな形でその内容を示す。めまいがする、お腹がときどきチクチクと痛む、胸にズキーンと轟きが走るなどがそれであり、身体の異常の背後には病気があると考えてよい。
 ある大学病院では、医師がパソコンの表示する内容に従って問診をし、その結果をパソコンに打ち込んで第一次の判定の参考にしている。健康診断は血液の成分、血圧の値、肥満等の判定、身長体重比などを数値として弾き出して、病気の予兆をみつけるために行われる。
 身体の検査によってさまざまな数値を導き出すの健康診断と病気予兆の判定とは別の方法で病気をみつけだすことを目指している計量計測分野の科学者がいる。病気と病気でないことを示す因子のなかから幾つかを選定して、計ったのと同じような結果を導き出そうというのである。その人の身体に感じる異常、あるいは感覚、その他幾つもの項目を問診して、その結果に照合する病名を推定するのである。
 数学の一つとしての統計学は、おぼろげでみえない曖昧な状態でもモノの判別をするための手法として利用できる効果をもたらすほど発達している。
 ある条件の下で、このような因子はAに属し、同じ因子であっても別の条件下ではそれはBに属するなどということを判別する。そのような結果を見て人の健康と病気の度合いを問診によってすべて測り、血液等の成分検査をしたのと同じ結果を導き出そうという考えがあるのはすばらしいことである。
 ある大学病院の問診のためのコンピュータは、病気の分野を判別するための指標程度を導き出すものであるが、これをさらに推し進めていくと身体や血液等の検査なしで病気を判定することができる。そのためにはさまざまな実験を大量に行って診察・診断の確度や精度をあげていかなくてはならない。
 しかし、それは恐れるほどに大がかりなものではないことも事実である。身長と体重と身体の抵抗値などから人の肥満度や内臓の脂肪の状態などを数値で示す計測器がいくつも販売されていることを考えると、これをもっと前に進めれば問診だけで健康診断ができることが容易に想像できる。直接に計らなくても計ったのと同じ効果と結果を生み出すことを目指すという考えを応援する。


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