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100周年は200周年への100年の計

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.2

日本計量新報 2015年10月18日 (3077号)2面掲載

圧倒的な競争力をつける(2)

スポーツ経営で

わたしが「スポーツ経営」ということをいうのも、事業の世界より秀でた世界がスポーツの世界であるからです。
 スポーツの世界では能力主義が当たり前ですが、この能力主義とは「人の力をいかに高い能力にする力」ということです。
 事業の世界においては、@人の能力を高める、A自分の能力を高める、この2つがセットであり、しかし、現実に企業に勤めるサラリーマンが自分の能力を高めるためにどれだけ努力をしているかとなると、実態はこの能力主義になっていません。
 これに比べると、スポーツや文化芸術の世界、とくにスポーツの世界では、自分もしくは人の能力の最高を狙う。これがアマチュア、プロを問わず、到達目標ですから、やることはこのことに絞られ、自己努力と指導者による指導があわさって、人とチームの能力を高めるためにいつも不可能を最高の目標として高めるために日々研鑽しています。
 わたしは、アスリートとしてスポーツをやるなかで、相手がプロであろうとも負けない能力をいかに身に付けるかということで取り組んでおり、これには「これでいいか」との妥協はなく、自己否定の自分が自己満足です。
 一般企業を考えてみると、皆さんが関わっている日々の業務でおわかりのように、企業にも個人とチームが存在します。わたしは、このようにアスリートをやっているということが、社会人としての生き方に大きく繋がっており、スポーツの世界並みに企業活動においても自分の不可能への挑戦という能力を来世まで高めようとしています。
 このような「スポーツ経営」の考えにたって、100%ではなく、他がまねしようとしても追いつけない150%、200%を狙って実現していくのが、大和製衡のスポーツ経営でなければなりません。

革新技術とは他社がまねのできない技術

ものづくりの基本は技術です。では革新技術とは何か。100%の技術、現在先頭に立っているだけで他社がまねできる技術は革新技術ではありません。他社がまねのできない150%、200%の技術こそ革新技術です。
 その革新技術が大和製衡の基準点になります。95%、100%の技術では、企業の安定した継続性は保証できません。わが子や孫の代まで引き継げる事業をつくりあげ、事業の継続をすることがオーナー経営者としてのわたしの役割です。

あと5年で創業100周年

それには根拠が必要であり、大和製衡はあと5年で創業100周年です。その100周年の節目は、200周年に向かっての100年間の成長レールに乗せるスタートポイントと位置付け、気持ちを新たにして今、全社員で200周年へ向かってのスタートポイントづくりに取り組んおり、それがわたし、オーナー経営者としての役割とわが心に約束しております。

大和の歴史とルネッサンス川西機械(1)

宝物は足元にあった

少し大和製衡の歴史を振り返ってみますと、それは技術革新の宝物が、まだ見えない未知にではなく、宝物はわたしたちの足元にあって、革新とは発明ではなく発見でした。

1920年「川西機械製作所」設立

1903年ライト兄弟が世界初の有人動力飛行を成し遂げて僅か17年後の1920年に、国力増大を意図した戦闘機・水陸両用飛行艇製作と産業の基盤となる衡器製作を目的に、大和製衡の前身である「川西機械製作所」がベンチャー企業として、創業者川西清兵衛によって設立されました。

大和製衡(株)として再スタート

戦後、大和製衡(株)として再スタートしました。川西機械製作所から引き継いだ技術をもとに航空機開発の基本的要素技術である振動解析、揚力、横力、抗力解析のための風洞天秤を開発し、その後自動車用の風洞天秤も開発しました。風洞天秤は、現在の宇宙航空研究開発機構や各自動車会社に納入され、現在も日本の航空機開発、自動車開発に貢献しています。

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