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「食」に関するすべてのフィールドを改革

片山隆(株)寺岡精工社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.1

日本計量新報 2015年6月21日(3061号)2面掲載

計量器基礎に事業フィールドを拡大

4つのビジネスフィールド

寺岡精工は、さまざまな事業を展開しています。スタートは計量器です。寺岡精工の歩みは、1925年に発明した日本初の「寺岡式敏感自動バネ秤」から始まります。従来の分銅と竿によるバランス式秤とは異なる仕組みにより、商品を皿に載せるだけで重さを読み取ることができる秤です。それをもとにしながら、現在では直接には計量とは関係がないさまざまなフィールドにも進出してきました。
 計量器のフィールド、ものを測るということは当社のコアのビジネスの1つですが、現在ではクラウドやPOSレジ、ラベルプリンター、パッケージング、レストラン向けのホスピタリティシステム、そしてロジスティック分野など、従来の計量器という範疇ではとらえきれないビジネスを展開しています。
 これらの事業は大きく4つのビジネスフィールドにわけることができます。「流通小売分野」、「食品製造・加工分野」、「製造・物流分野」、「飲食・専門店分野」、そしてこれらを支える「サポートサービスとクラウドサービス」です。
 寺岡精工のいちばん古くからのお客様は流通小売業界です。このお客様に、以前は品物の質量を計測する「はかり」を販売していました。そこから展開して流通、特にスーパーマーケットに計量器、ラベルプリンター、計量器一体型の包装機、POSレジなどを供給するようになりました。このフィールドは、まだまだビジネスを伸ばせるフィールドです。
 売上も4つのフィールドのうち、流通関係が最も大きいですね。もっと他のフィールドの事業も大きくしていく必要があります。

最適生産、最適販売で事業展開

海外も好調

海外では、「DIGIブランド」を築きあげてきましたので、ヨーロッパのスーパーなどでは知名度が高く、業績は拡大しています。

国内、海外の市場を区別しない

寺岡精工は2002年から、国内市場も海外市場も区別せずにシームレスに事業を展開しています。今年、組織を変えて、それをもう1歩進めていきたいと考えています。当社には、国内市場だとか海外市場だとかという概念や意識がないですね。そういうことを区別しても意味がないです。要は、お客様に対して、そのお客様が必要としているものをどういう方法で提供していくのかということがポイントで、そこには地域の区別は関係ありません。

国という枠は無関係

当社の場合、海外拠点から海外マーケットへ直接販売するスタイルのビジネスをしています。たとえば、上海の工場で開発・生産して、中国で販売するだとか、上海で開発・生産して、ヨーロッパで販売する、シンガポールで開発・生産して、ヨーロッパや日本で販売するという形のビジネスです。
 つまり、適切なところで生産して、適切なマーケットで販売するということです。そこには国という枠は関係してきませんね。

売上高は約800億円

寺岡精工の昨年度(2014年1〜12月)の売上高は、連結で800億円ほどです。単体では500億円ほどになります。

景気、政情に左右されず

−−景気の影響はどうでしょうか。

景気の善し悪しは関係ない

景気はわれわれに関係ないですね。景気がよかろうが悪かろうがビジネスは継続していかなくてはなりません。どんな場合にでも、それなりの利益をあげる必要があります。景気を表す指標はマクロの指標です。対して、われわれは、まだたかだか売上高が800億円の会社です。そこでマクロの話をいくらしてもあまり意味はないですね。
 それよりも、自分たちが事業を展開しているフィールドのなかで、どうすれば売上を伸ばせるか、大きなパイをつくることができるかを考えなければなりません。
 まったく影響がないとはいいませんが、景気がよくなったからといって自動的に売上が大きく伸びたりはしません。その関係性はあまりないですね。

−−政治の状況はいかがですか。

景気向上で世情が明るくなるのはよい

いわゆる公共事業といわれる商売はやっていませんので、これも関係ないですね。日本郵便様に計量器を販売していますので、これはまあ公共事業に準じるものだと考えると、関係ゼロというわけではありませんが。
 ただ、まあ政治の状況がよくて、経済も上向きだと、世のなかが明るくなりますので、そういう点はよいと思います。
 人口が今後も減少していきますが、そのなかでも共稼ぎの世帯が増えるなど可処分所得が増える可能性もありますから、日本のマーケットもまだまだいけると思います。

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