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「日本発、世界へ」で飛躍はかる

新光電子(株)安西正光社長インタビュー

聞き手は横田俊英論説員

vol.3

日本計量新報 2014年9月7日 (3024号)8面掲載

物流計測機器の需要が増えている

−−物流計測機器についてご説明いただけますか。

倉庫管理で需要が増えている

さきほどもお話ししたように、物流計測機器の売上が伸びています。現在の物流分野で、物流計測機器で品物のサイズと質量をはかるニーズがどこにあるかといえば、倉庫なのです。通販が事業として伸びていますので、amazonや楽天などの通販事業者の倉庫で、ウェアハウスマネジメント(倉庫管理)の一環として、倉庫利用の効率をよくするために、商品のサイズと質量をはかるということに、ニーズがでてきています。
 それから、荷動きの激しい倉庫だけでなく、商品の入れ替わりが激しいもの、たとえば新製品がつぎつぎに販売されている化粧品や薬などの問屋さんの倉庫です。ここも倉庫を効率よく運営するために、物流計測機器が必要になってきています。このために今一番需要があるのが、「パーツスキャン」や「テーブルメジャー」などといったサイズと質量を静止計量する製品です。

韓国やロシアで需要

韓国でも状況は日本と同じようです。たとえば、大手自動車メーカーのパーツセンターが倉庫の利用効率、管理効率を上げるために、私たちの製品を導入しています。
 また、「パーツスキャン」、「テーブルメジャー」は、ロシアでも需要が増えています。日本と同じで、通販の拡大で大きな商品センターなどが建設されているのが大きな要因のようです。

需要はもっと増えていく

これらの需要は今後もっと増えていくと思います。国際航空貨物は必ず貨物のサイズと質量をはかります。海外では手書きの伝票が判読できなくて間違いが起こることがあります。そういう場合に物流計測機器ではかったデータを使えば、そのまま輸出用の申請書がつくれます。合理化ができるわけです。
 したがって、現在は人件費が安いので、人の手でメジャーとはかりを使ってサイズと質量をはかって、手書で書類をつくっているところでも、人件費が高騰してくれば、物流計測機器の需要がでてくると思います。将来的に成長が見込める事業分野です。

海外売上の比率高める

−−今後、どのような方針で取り組まれますか。

海外の規格もクリアする製品つくる

日本市場は縮小していきますから、海外市場への取り組みを強化していきます。そのためには、海外のさまざまな規格をクリアする製品、グローバルスタンダードに対応する製品をつくっていく必要があります。
 たとえばEMC試験(電磁環境試験)の基準が海外では厳しくなってきており、一部の国ではすでに3v/mから10v/mになりました。そういった新たな基準に、当社の既存の製品もすべてパスさせる取り組みを進めています。

各国のニーズに対応した製品つくる

また、顧客のニーズは国によって異なりますので、それらの地域特有のニーズに対応した製品をつくっていきます。

売上の海外比率高める

これらにより、海外売上の比率を高めていきます。当面の目標は、現在の海外売上比率35%を40%まで高めることです。将来的には、50%にまでしていきたいと考えています。

世界の展示会に出展

現在、海外ディーラーと協力して、中国、韓国、インド、中東、ヨーロッパ、アメリカなど、年間に約10回の頻度で、世界各国の展示会に積極的に出展しています。

日本で生産した製品を世界へ

海外売上の比率を高めるために「日本発、世界へ」というスローガンを掲げて、がんばっています。これは、日本で生産した製品、メイド・イン・ジャパンの製品を世界へ出していくという意味です。その製品はどういう製品かというと、先ほども述べましたが、世界のグローバルスタンダードに対応した製品、地域特有のニーズに対応した製品ということになります。

人が育つ会社にしたい

−−社員教育にも力を入れられていますね。

私の思い

新光電子を人が育つ会社にしたいということです。「私の思い」を6項目にまとめて社員に説明していますが、そのなかの第1が「人が育つ会社にしたい」であり、強い思いを持っています。

教育システムつくり推進

そのために、新卒採用を続けていますし、教育システムをつくって、階層別のマネジメント研修や課題別研修など外部講師による研修で、能力向上だけでなくその向上した能力を引き出すこと、つまり実戦に活かすことに取り組んでいます。また、技術や生産部門では、その道のスペシャリストをめざした部門主体の教育もやってもらっています。これは、かなりの投資となっていますが、将来実を結ぶのをとても楽しみにしているところです。
 もう5年間取り組んでいますので、少しは人が育ってきたなと感じています。

景気の展開

−−景気状況に関しては、どのようにお考えですか。

景気は大幅にはよくならない

景気は、そんなに大幅にはよくならないと思っています。これは、日本も、アメリカも、ヨーロッパも同じような状況です。
 現在の状況がちょっとよくなった段階、いわば「なぎ」の状態が続いていくと感じています。

対応できる、人・製品・組織づくりを

したがって、そういう状況のなかでユーザーに支持される製品づくり、新しい状況を切り開ける人づくり、しくみづくりをやっていかなくてはなりません。

−−ありがとうございました。

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