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計量新報 2006年 6月25日発行 /2635号 6面


計量行政審議会計量制度検討小委員会

報告書案のポイント(1)


特定計量器の規制方針

計量法の規制対象となる計量器(特定計量器)については、これまでも適宜見直しが行われてきた。
 従来はあらゆる計量器を規制対象としていたが、1966(昭和41)年に大幅に規制対象を見直し、取引、証明の計量に用いられる27品目34の計量器に限定した。さらに92(平成4)年の改正では対象品目が現在の18品目35となった。
 以来、技術進歩によるハードウェアの性能向上を見直すこともなく、10年余りが経過した。そこで、規制対象を必要最小限に見直すことが必要となっている。

 

見直しの方向性

 11月30日開催の第3回第1WG(ワーキンググループ)で提示の「第1WGの方向性(骨子案)」は、技術的知見を有したものどうしの企業間取引(BtoB)に使われる計量器、他法令の規制がある計量器、JISマークの活用が適している計量器を対象から除外、一般に広く使用されるものに限定すべきである、という方針を示した。
 これに対し、使用者が技術的知見を必ず有しているとはいえず、正確さの担保は必要である、他法令の規制は計量法とは別の観点であり、規制から外す根拠にならない、JISマークは任意制度であり、計量法の規制を担保できるのか、という意見が委員から出た。
 これら委員の意見を踏まえ、WGでのプレゼンテーションや関係者ヒアリングを行い、計量器の使用実態を調査した。結果、報告書には、製造や検定実績が少ない、また、取引、証明にほとんど用いられない計量器、技術的知見を有している者が使用することが適切な計量器、技術基準がないなど、計量法において規制する意義のない計量器、対象から外し、事業者に基準適合義務を課すことが適切な特定計量器を規制対象外にする方針が示された。方針の文言は変わったが、規制対象外とする計量器はほぼ骨子案のままである。
 調理用はかり、ヘルスメーター、ベビースケールといった家庭用計量器については、長さ計を例に取り、規制対象から外すことが適当であるとした。国はユーザーニーズに対応できるよう、家庭用計量器についてJISの整備など環境整備を行う。
 長さ計は92(平成4)年に規制対象から外れたが、大きな問題は生じていないどころか、精度に応じたJISが整備され、ユーザーは自分のニーズにあった巻き尺を選択できるようになった、と報告書案では、その多様性を称えている。
 議論の端緒で、新たに規制対象とする計量器が上がっていたが、天然ガスを充填するCNGメーターや、食品など包装商品の計量に用いられる自動はかりは、ただちに規制の対象とはしないものの、中長期的に引き続き検討するとした。
 報告書案は、文中で具体例として示した計量器は、現時点における例示であり、今後、更に使用実態等を踏まえた検討が必要である、としている。

 

特定計量器の規制方針はこう変わった(編集部まとめ)
第1WGの方向性(骨子案)
[2005年11月30日]
第4回計量制度検討小委員会報告書(案)
[2006年4月27日]
規制の対象外とすることを検討する計量器
◆主としてBtoB等技術的知見を有している者同士が使用する計量器 例:機械式はかり(ばね式指示はかりを除く)並びに分銅、定量おもり及び定量増おもり、ガラス温度計(−30〜360℃)、ベックマン温度計、排水/排ガス積算体積計、量器用尺付きタンク、排水/排ガス流速計、密度浮ひょう、排水/排ガス流量計、ボンベ型熱量計、ユンケルス式流水型熱量計、騒音計、振動レベル計、濃度計、浮ひょう型比重計
◆他法令等の規制がある計量器 例:体温計、アネロイド型血圧計
◆JISマークの活用が適していると考えられる計量器 例:キッチンスケール、ヘルスメーター(体重計)、ベビースケール
規制対象から除外する方向で検討すべき計量器
◆製造や検定実績が少なかったり取引・証明にほとんど用いられない計量器 質量計(手動天びん、等比皿手動はかり、分銅)、重ボーメ度浮ひょう、ユンケルス式流水型熱量計、体積計(量器用尺付きタンク)、ガラス製温度計
◆技術的知見を有している者などにより精度を確認しつつ使用することが適切な計量器 ベックマン温度計及びボンベ型熱量計
◆技術基準がない等、計量法において規制する意義のない計量器 排水/排ガスの流速計・流量計・積算体積計、アネロイド型圧力計(アネロイド型血圧計)
◆検査・検定の対象から外すものの、事業者に基準適合義務を課すことが適切な特定計量器 アネロイド型圧力計(アネロイド型血圧計以外のもの)
◆家庭用計量器 調理用はかり、ヘルスメーター(体重計)、ベビースケール(JIS整備など環境整備を行う)
規制の検討の要望のある計量器
例:CNGメーター、自動はかり
ただちに規制の対象とはしないものの、中長期的に引き続き検討する計量器
CNGメーター、自動はかり
その他
1992(平成4)年の改正において、規制対象計量器については、社会環境の変化に応じて機動的に見直すべく、政令で規制対象計量器を規定できる措置が講じられたが、平成4年以降、今回まで、対象機器について見直しが行われていないことを踏まえ、定期的な見直しを制度的に行うことの必要性について検討する。
その他
規制対象から除外する方向で検討すべきとして示された計量器(家庭用計量器をのぞく)は、現時点における例示であり、今後、更に使用実態等を踏まえた検討が必要である。
 
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