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計量新報 2006年 5月21日発行 /2630号 6面


資料

(2627号4面のつづき)

第3WGの報告書(案)(3) 4月14日開催、経済産業省別館1120会議室

(v)国家計量標準の国際整合性確保の必要性
 国際競争力の強化や国際的に通用するワンストップ・テスティングを実現する観点から、世界的な経済活動に必要不可欠な計量標準の先進国との整合性、アジアなど途上国への技術協力を含め、国際整合化を図る。
(イ)具体的方針
(i)関係機関が連携した国家計量標準の開発・供給体制の構築と役割分担
・我が国の国家計量標準の開発・供給体制の中核であるNMIJは、例えば、米国の同様の機関(NIST)と比べて人員・予算の規模が小さく、NMIJ単独で同等の機能を果たしていくことは今後とも困難であると考えられる。したがって、NMIJ、日本電気計器検定所及び指定校正機関(関係府省傘下を含む研究機関等)が連携し、我が国の関係機関が一体となって欧米の国家計量標準機関と同等の機能を果たしていくことを目指すことが合理的であると考えられる。
 関係機関の力を結集して開発・供給体制を構築するためには、どの機関がどの計量標準を整備するか、どのような役割を果たすべきかを判断する総合調整機能が必要である。この機能は、計量法では経済産業大臣の役割とされており、経済産業省及びNMIJがその機能を果たしてきている。この総合調整機能を実際に機能させるために、経済産業省は、基本方針、枠組みの設計など企画機能について責任を果たす必要がある。また、NMIJは、自ら国家計量標準を供給するとともに、様々な機関に委ねる部分を技術的に明らかにするなど実施について責任を果たす必要がある。
 なお、NMIJの役割については、計量法や産業技術総合研究所の中期目標に位置付け、明確化することについて検討する。
・CIPM/MRAにおいて、NMIJが Principal NMI として、国内の機関が所掌する量を定め、計量標準整備の総合調整を果たすこととされていることから、この枠組みとできる限り整合するように、NMIJを中核として、我が国の計量標準整備を進める体制とする。
 具体的には、我が国の国家計量標準を開発・供給する機関はNMIJを中核とするCIPM/MRAの枠組みに原則として参加することとし、開発・供給に当たってはNMIJ、日本電気計器検定所、指定校正機関等とが緊密に連携を行った上で実施することが必要である。
 また、日本電気計器検定所及び指定校正機関は、CIPM/MRAにおける Designated NMI と同等の役割を持つことが必要である。
 経済産業大臣による指定校正機関の指定に当たっては、NMIJの技術的な知見、CIPMの動向を踏まえて判断することが適切である。そのため、経済産業大臣は必要に応じ、NMIJに対して、意見を述べさせるか又は調査を行わせることを検討する。
・NMIJ、日本電気計器検定所及び指定校正機関は、国家計量標準の供給機関として、ISO/IEC17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)、ISOガイド34(標準物質生産者の能力に関する一般要求事項)等の要件を満たすことが必要である。
(ii)国家計量標準の指定等における総合調整機能の充実
 現行の枠組みでは、NMIJ、日本電気計器検定所及び指定校正機関が、経済産業省に国家計量標準として指定することがふさわしいもの又はその取消しをすべきものを提案している。それを受けて、経済産業省は、知見を有するNMIJに相談し、助言を受けた上で、適合性を判断し、経済産業大臣が計量行政審議会への諮問・審議を経た上で指定を行っている。
 しかし、必要な国家計量標準の指定が円滑に行われるよう、以下のような見直しを行うことを検討する。
 a)国家計量標準(特定副標準器を含む。)の指定又はその取消しについての提案は、日本電気計器検定所、指定校正機関等からNMIJに対して行うこととする。
 b)NMIJは、経済産業大臣に意見を述べるか又は調査に基づく報告等を行う。この機能は、計量法に規定することを検討する。
 c)経済産業大臣はNMIJの意見等を受けて、計量行政審議会への諮問・審議を経た上で、指定を行う。
 d)NMIJは、現行は経済産業省が告示により示す国家計量標準及び特定二次標準器に係る情報、さらに指定計量標準(仮称)に係る情報を体系的に整理し、校正事業者等にわかりやすいデータベースを構築してホームページで公開することとする。
(iii)関係機関との連携による計量標準開発の推進
 上記に加え、NMIJによる国家計量標準等の開発・整備も効率的かつ迅速に行う必要がある。このため、日本電気計器検定所及び指定校正機関に加え、関係府省傘下の研究機関や民間の研究機関との共同研究などの連携を推進する。
(iv)「指定計量標準(仮称)制度」の創設
 計量標準を機動的に整備するため、国家計量標準が開発されていない場合に、海外の計量標準や民間の計量標準を用いるなど、迅速に計量標準を供給する枠組みの創設が必要である。
 具体的には、国家計量標準から直接校正されていないが、国家計量標準から直接校正されたもの(特定二次標準器)と同等とみなす計量標準を経済産業大臣が指定する制度として「指定計量標準(仮称)制度」を創設する。
 指定計量標準(仮称)とは、国際競争力の強化や国民の安全・安心の確保のために早急に整備することが求められる場合に、
 a)NIST等、海外のNMIが供給し、CIPM/MRAにすでに登録され、国際整合性が確保されている計量標準のほか、
 b)現時点では、国家計量標準レベルの水準には至っていない、あるいは国際整合性が確保されていないが、産業界、学会等の関係者間の合意の下で利用されている計量標準や認定・認証、先端研究開発、技術的法規制等新たな分野で暫定的に使用されている計量標準について、将来的に研究開発等を経て、国家計量標準レベルの水準に至るまでの期間、暫定的に国家計量標準の代替となる計量標準(主に標準物質)等を指す。
 また、指定計量標準(仮称)制度は、計量法の規定によって経済産業大臣が指定する(計量法により、この大臣の事務はNMIJが行うことを規定することも検討する。)ものとし、JCSSにおいて、特定二次標準器と同等のものとして扱うことを検討する。
 なお、指定する際には、対外的な透明性・信頼性の確保に留意することが重要である。
(v)ユーザーの需要の把握及び優先順位付けを行う場の設置
 以上(i)〜(iv)を十分に機能させたとしても、必要とされる計量標準の整備には長期間を要する。したがって、NMIJが運営するNMIJ計測クラブ等を活用し、日頃から具体的な要望を定期的に収集し、ユーザーの需要を十分に把握するとともに、要望窓口を設けて改善提案を収集する必要がある。その上で、それらの優先順位を明確に整理することが必要である。また、ユーザーの需要がある場合に計量標準の活用と当該分野の制度との調和を図るため、必要に応じ、関係府省との連携を進める必要がある。そのため、需要全体を把握し、計量標準の活用を実現するための調整を行う場を設ける。
 すなわち、分野ごとに産業界、学会、関係府省等の関係者がWGを作り、整備すべき計量標準の優先順位付け、整備方法、分担等について検討を行う場を設置する。
 具体的には、
 a)実現可能性調査の段階では、関係府省、関係府省傘下の研究機関も参加している国際計量研究連絡委員会及び同委員会の分科会を活用する。
 b)計量標準の整備が具体化し、国際相互承認や利用分野における規制制度等との調和に係る検討が必要となった段階では、計量行政審議会計量標準部会の下に小委員会等を置いて審議する。
等を検討する。

(次号以下につづく)

資料

(2629号6面のつづき)

第3回計量制度検討小委員会
議事要旨(4) 2月21日、経済産業省

[第3WG]

◇計量標準の整備について、準国家計量標準制度(仮称)を創設することは非常に意味があると考える。ただ、骨子の中で、現行制度については「関係府省の研究機関と連携し」という文言があるが、新たに創設する制度に関する記述には「関係府省との連携」の文言がない。現場レベルで連携していても、担当府省に認められないことがあるため、是非追記していただきたい。
◇産業技術総合研究所が業務を実施しやすくすることが国全体にとって有益であり、その意味で、経済産業大臣と産業技術総合研究所との権限や役割分担を明確にすることは意義がある。また、「準国家計量標準」制度においては、関係府省との連携が重要。なお、「準国家計量標準」という言葉については、もう少し工夫してもよいのではないかと思う。

◇ユーザーの需要を踏まえて計量標準の整備を進めていくことについては、経済産業省の視点では産業や経済への効果が重視されると考えられるが、計量標準は基礎研究等、学術的に果たしている役割も大きく、科学の進歩にも大きく寄与しているので、このような需要も取り入れていただきたい。

◇産業技術総合研究所の中に国際計量研究連絡委員会が設置されており、ほとんどの関係府省、研究機関が参画し、計量標準に関する様々な事項について検討している。計量標準に関する総合調整機能を充実するためには、既存のこのような会議について、計量行政審議会とのリンクを取るなど位置づけを明確にしつつ、活用することも一案と考える。

◇骨子にある新たな方向性は、諸外国と比較したときに、特異なものとなるのか、それとも同じような類型の国があるのか。
(4)その他

 今後、各WGにおいて本日の議論を踏まえ各WGとしての報告書の取りまとめを予定。次回小委員会では、この各WGの報告書を基に小委員会としての取りまとめを行う。時期は4月下旬から5月下旬を予定。
(おわり)

(以上)

 

 
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