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計量新報 2006年 4月23日発行 /2627号 1面


第3WG最終会合、指定計量標準制度創設へ

更新制再導入も含め、計量証明事業は管理強化の方策を検討

 計量行政審議会計量制度検討小委員会第3ワーキンググループ(WG)第9回会合が4月14日午後、経済産業省別館11階1120会議室で開かれた。各WGごとの検討課題のほか、WGを横断する制度を2月開催の小委員会で審議しており、これで報告書案がすべて出揃った。27日開催の第4回小委員会で、報告書案全体が審議される。

 

 議事の前に委員交代を発表した。三菱化学(株)の梶原泰裕委員に代わり、同社技術・生産センター技術部長兼企画調整部長の石川甚秀委員が着任した。石川委員は第3WGのほか、小委員会委員も梶原委員から引き継ぐ。
 前回(第8回)会合の議事録は、委員の異議なく承認された。報告書案の審議に移った。第3WGに関する部分で、前回会合時の報告書案から変更した点に絞って、事務局が説明した。
 指定計量標準制度(準国家計量標準制度から名称変更)については、(財)化学物質評価研究機構(CERI)の松本保輔委員が要望を、それに対して筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授の桑克彦委員が意見書を提出しており、それぞれ資料として配られた。
 松本委員は、指定計量標準制度をJCSSの枠組みで供給すると、従来CERIが主に行ってきた国家計量標準や標準物質などの開発が時間と経費の面から敬遠され、本来あったJCSSの枠組みが阻害される可能性を指摘した。国家標準となったときの指定取り消しは公の場で行うなど、透明性ある制度にするべきであると要望した。
 他の委員が制度の位置づけを再度確認したいと発言し、事務局が報告書案の趣旨を述べた。計量法では国家計量標準の供給を義務づけている。標準がないものは、あるものの中で最も優れているものを標準に置く。これが指定計量標準制度で、海外の国家標準機関が供給する計量標準や、学会、業界内で使われている標準を対象に想定している。ただ、あくまで国家計量標準が整備されるまでの暫定的措置であることを強調した。
 これに対して、指定計量標準の指定がゆるいと本来の目的が失われる。一時的な標準か、国家標準に昇格する可能性があるのかを審査し、期間限定にするなど、方向性を明示すべきである、と発言した委員がいた。別の委員は、標準が必要かどうかは最終的には社会が決めることであり、そのためにはニーズの把握が重要であるとした。
 計量証明事業は一度登録すればよく、その後連絡なしに事業者が移転するなど、追跡ができにくい。登録の取り消し基準を策定し、悪質な業者には事業停止などの措置も行えるよう、罰則を規定する。また、地方自治体の環境担当部署が計量証明事業を発注する際、請負企業のレベルを審査する必要があると、発注者の管理責任を報告書案に追加した。

 この説明に対し、悪質な事業者はごく一部であり、道交法でも、飲酒運転を厳しくしたらひき逃げの件数が増えた例を引用し、罰則を厳しくすることが不正を増やす環境を作っているのではないか、と指摘した委員もいた。また、事業者の能力は担当する計量士の能力ともいえ、個々の資質担保にも気を配るべきだという意見もあった。

 1992(平成4)年の改正計量法で更新制は廃止され、不正事業者などの登録を経済産業大臣名で取り消し等ができるようにしたが、今まで取り消された事例はなかった。事業者の品質担保にあたり、更新制の再導入を検討する意見が挙がっている。これについては事業者、地方自治体といった関係者に対し、別途アンケートとヒアリングを行っていると事務局が報告した。
 前回会合で都道府県のアンケート結果が紹介されたが、更新制を導入するべきでないとする回答が29件に対し、導入した方がよいとした回答は18件だった。それでも更新制導入を検討するのか、と委員が質問した。事務局は、登録制をきちんとすることが趣旨であり、更新制も取り消し基準を策定する中での選択肢のひとつである。一度廃止したことを重く受け止め、実務を担当する地方自治体の意見を尊重したいと回答した。
 特定計量証明事業(MLAP)については、前回報告書案をそのまま踏襲している。MLAPはISO/IEC17025に準拠するが、一般計量証明事業は従来の基準のままで、ISO/IEC17025準拠ではない。今後他分野でISO/IEC17025準拠が必要となった場合は、MLAPの範囲を拡大して対応する。

 第3WGは、昨年9月から9回にわたり討議してきた。今井秀孝WG座長は、さらによい報告書ができると、委員の活発な意見に感謝した。松本隆太郎審議官は、熱心な審議を極力反映させるよう努力したい、計量制度見直しはこれで終わりではなく、今後も温かい目で見守ってほしい、と委員に対しあいさつした。

(図はpdfファイル参照)

【訂正】4月16日付2626号1面記事中、第2WGの開催日は正しくは4月12日です。おわびして訂正いたします。

(以上)

 

 
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