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計量新報 2006年 3月26日発行 /2624号 5面


資料
第3WGの報告書(案)(1)
3月10日開催、経済産業省別館1028会議室

【おことわり】資料中「報告書(案)のポイント」、「視点・配慮点」「現状」の項目は省略しました。
I.計量標準供給
1.現行制度の問題点
(1)国家計量標準機関(Principal NMI※)を頂点(中核)とした計量標準供給体制を整備する必要性
 我が国の計量標準の開発・供給は欧米に比して遅れていたが、知的基盤整備計画に基づき、加速的に計量標準の整備・供給を進めている。国際競争に勝ち抜くことのできる事業環境と技術力を確保するためには、今後とも一層、計量標準の開発とその供給体制を充実することが不可欠である。
 また、今日では、認定・認証、先端研究開発、技術的法規制等の新たな分野において、供給が必要となる計量標準が急速に増えていることから、次のような問題点が指摘されている。
1)計量標準に係る法の「経済産業大臣」の役割は、かつては、旧通商産業省内の知的基盤課及び旧計量研究所等が担っていたが、省庁再編及び産業技術総合研究所の独立行政法人化によって、経済産業省知的基盤課及びNMIJが担う体制となった。また、独立行政法人制度の基本的な考え方として、本省は企画、独立行政法人は実施を担い、本省は独立行政法人が行うべき業務を法や中期目標として明示するという仕組みになった。
 この仕組みをより効果的・効率的に実施するため、企画と実施について両者の役割分担を明確にし、再整理する必要がある。また、対象とする分野の急速な広がりや新たな課題に対応して、NMIJが担うべき業務を中期目標等に位置付ける必要がある。
2)国家計量標準を適時適切に整備するためには、経済産業大臣の供給機能を担うNMIJのみでは資源が不足している。そのため、法律に規定されている日本電気計器検定所及び指定校正機関(他府省傘下を含む研究機関等)といった先進的な知見や技術をもった機関との連携強化が必要となっている。しかし、我が国には、英、独等と比較して、国家計量標準整備を全体として開発・供給するための枠組みがなく、総合調整機能が弱い。
B海外主要国のうち英、独等では、CIPM/MRAに則り、計量標準の維持に責任を有する機関(国又は中核的な国家計量標準機関:Principal NMI)が、国内の適切な機関をNMIとして指定し(designate)(第8図及び別添1)、それらのNMI(Designated NMI)がどの量(分野)を所掌するかを定め、計量標準整備の総合調整を行っている。我が国においては、このような体制が明確ではない。
※NMI(国家計量標準機関:National Metrology Institute):産業、通商、社会で必要とされる試験、検査や分析の結果に国際同等性を証明する技術的根拠を与え、先端技術開発や産業化の基盤となる、計量標準を開発・供給する中核的機関。計量標準の維持に責任を有する国又は中核的なNMIは「Principal NMI」と呼ばれる。
(第8図、別添1はPDFファイルをご覧下さい。) (次号以下につづく)


資料

第1WGに関する第3回計量制度検討小委員会での主な御発言(2)

(2623号のつづき)
◇規制緩和は、緩くなるとかいい加減になるとかというイメージがあるが、本来は、厳しい基準のまま主体が官から民に移行することである。これにより不利益がもたらされるイメージがあるということは、如何に社会が安全と安心を違って捉えているかということ。安全と安心は違う。社会が何を求めているのかに応えることも重要。行政機関が実施していた検査・検定について、第三者機関による認証とするときには、当該機関をどのように管理・監督しているのかと併せて説明していかないと、信頼や安心感が得られない。監視強化を明記すべき。
◇自治体においては、行財政改革の進展により、今後10年を見据えたときに現状の体制が維持できるか危機感を持っており、検査・検定の実施方法についても変えていかざるを得ない状況が出てくることが想定される。その意味で、市場による監視機能を生かしていくという点は中長期的なスパンから見たときの自治体における計量行政の将来像を示唆したもので、時宜を得たものであると考えている。
◇制度設計にあたっては、検査・検定の対象は真に必要なものに絞るとともに、特定計量器の使用者を含む事業者、自治体及び国の責務の明確化、民間の検定機関等の責任の明確化・罰則の強化並びに自治体の立入検査の充実・強化といった枠組みで考えていただきたい。また、離島などの特殊事情がある地域における検定等について、効率的に行えるよう柔軟な対応ができないか御検討いただきたい。


資料

第3WGに関する第3回計量制度検討小委員会での主な御発言

【国家計量標準の開発・供給における役割分担について】
◇産総研が業務を実施しやすくすることが国全体にとって有益であり、その意味で、経済産業大臣と産総研との権限や役割分担を明確にすることは意義がある。
【準国家計量標準制度(仮称)について】
◇計量標準の整備について、準国家計量標準制度(仮称)を創設することは非常に意味があると考える。ただ、骨子の中で、現行制度については「関係府省の研究機関と連携し」という文言があるが、新たに創設する制度に関する記述には「関係府省との連携」の文言がない。現場レベルで連携していても、担当府省に認められないことがあるため、是非追記していただきたい。
◇「準国家計量標準」という名称については、もう少し工夫してもよいのではないかと思う。
【ユーザーの需要の把握及び優先順位付けを行う委員会の設置について】
◇ユーザーの需要を踏まえて計量標準の整備を進めていくことについては、経済産業省の視点では産業や経済への効果が重視されると考えられるが、計量標準は基礎研究等、学術的に果たしている役割も大きく、科学の進歩にも大きく寄与しているので、このような需要も取り入れていただきたい。
◇産総研の中に国際計量研究連絡委員会が設置されており、ほとんどの関係府省、研究機関が参画し、計量標準に関する様々な事項について検討している。計量標準に関する総合調整機能を充実するためには、既存のこのような会議について、計量行政審議会とのリンクを取るなど位置づけを明確にしつつ、活用することも一案と考える。

(以上)

 
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