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計量新報 2006年 1月1日発行 /2613号<第1部> 5面


資料◇第1WGの方向性(骨子案)

〜検定・検査制度を中心とした安心・安全な社会の構築のための計量の在り方の基本的方向〜(2005年11月30日)


はじめに〜計量器の規制の必要性〜

 計量器は商取引を含む様々な経済活動の適正化、公正化を図るとともに、人々の健康、安全を確保する等国民生活の安定を図る上で極めて重要な役割を果たしている。

 一方、多くの場合、計量時に計量器の精度を一般国民がチェックすることは事実上困難であることから、その信頼性を確保するために、従来から計量器の製造、使用等に関して、計量法に基づき規制を実施している。

 計量器の規制の必要性に関するこのような考え方は、我が国のみならず、国際的にも広く定着したものであり、今後とも、国、都道府県又は第三者機関等による規制を実施することが必要である。

 社会の基盤的制度としての一定の安定度も重要な要素であるが、1)効果的で合理的な規制を目指す中、現行の規制対象の計量器には、規制の必要性が低下してきているものがあること、2)検査・検定業務が自治事務化(平成11年地方分権一括法)され、行財政改革等により、現行制度のままでの検査・検定業務の維持の困難性を訴える自治体がある中で、自治体ごとの実情を踏まえつつ、全ての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大が必要なこと、3)「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)等を踏まえ規制改革に積極的に取り組み、民間の能力を活用することにより自治体の執行を補完することが不可欠となりつつあること、4)他の関係法令の執行体制との協力関係の模索等関係各府省との連携、等を踏まえた検討を行うことが必要となっている。

【参考】

〈執行の中心機関である自治体の執行体制の現状〉

 平成12年の地方分権一括法により、検査・検定など計量法の事務は国からの機関委任事務から地方自治事務となり、自治体に責任が移管。自治体間の計量行政を実施する上での跛行性が拡大。法目的の達成が必ずしも十分になされなくなってきている。

■自治事務化後の自治体の現状

1)人員

 
1.人員が増加した
(移行前比1割以上)
 1
2.人員は横ばい
 21
3.人員が減少した
(移行前比1割以上)
 23

2)予算

 
1.予算が増加した
(移行前比1割以上)
 2
2.予算は横ばい
 13
3.予算が減少した
(移行前比1割以上)
 30

(出典:計量室による都道府県へのアンケート結果より、平成17年6月)

■「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)[抜粋]

(事業者の自己確認・自主保安)

 検定検査制度のうち、保護法益の面から比較的危険度が小さいものであって、かつ違反による危害発生の蓋然性も小さいものについては、現在、政府が行っている検査検定業務を事業者自身にゆだね、自己確認・自主保安化する。

 なお、自己確認・自主保安を基本とする場合においては、消費者等の市場に参加する者への十分な情報提供が前提となることから、行政庁における情報公開はもとより、事業者側においても情報提供を促進する等の取組を行うことが期待される。

I 規制の対象とするべき計量器の検討

1.現行対象機器の問題点

 計量法の規制対象となる計量器(特定計量器)については、これまでも適宜見直しが行われてきた。

 昭和41年の改正においては、戦後の技術水準の向上の現実を踏まえ、従来は工業用計測器を含めあらゆる計量器を規制対象としていたものを、ユーザーが一部の専門家に限られるような計量器や、取引・証明の分野にはほとんど用いられないような計量器を中心に大幅に規制対象から除外し、取引上、証明上の計量に一般に広く用いられる27品目の計量器に限定した。

 平成4年の改正においても、取引上、証明上の計量に用いられる蓋然性が高い計量器等であって、いずれも一般人に広く使用されるものに限定することを徹底し、対象品目を現在の18品目とした。

 平成4年以降10年余りが経過しハードウェアの性能が向上してきていることや自治体における検定業務の維持の困難性を踏まえ、また、平成5年以降規制対象機器については見直しが一度もなされていないことから規制対象を必要最小限に見直すことが必要となっている。

2.検討の方向性

(1)基本的考え方

 今回の検討に当たっては、基本的には従来からの考え方を踏襲するが、1)企業間取引(いわゆるBtoB)の場合は、当事者同士が計量に関する技術的知見を有している場合が多いこと、JCSSの校正証明書やISO9000認証など取引相手の正確計量についての確認手段が充実してきていることから、規制の必要性が低下してきていることや、2)他法令等の規制がある計量器が対象になっていること等を踏まえ、対象機器については、消費者を始めとする一般人に広く使用されるものに厳に限定するべきである。

(2)具体的方針

 基本的考え方に基づき、個別の計量器について検討を加え、必要最小限の規制という観点から、規制対象計量器の範囲を以下の方針で見直す方向で検討する。

1)主としてBtoB等技術的知見を有している者同士が使用する計量器については個別計量器の実態等を踏まえつつ規制の対象外とすることを検討する。

 例:機械式はかり(ばね式指示はかりを除く)並びに分銅、定量おもり及び定量増おもり、ガラス温度計(マイナス30〜360℃)、ベックマン温度計、排水/排ガス積算体積計、量器用尺付きタンク、排水/排ガス流速計、密度浮ひょう、排水/排ガス流量計、ボンベ型熱量計、ユンケルス式流水型熱量計、騒音計、振動レベル計、濃度計、浮ひょう型比重計

2)他法令等の規制がある計量器については規制の対象外とすることを検討する。

 例:体温計、アネロイド型血圧計

3)JISマークの活用が適していると考えられる計量器については規制の対象外とすることを検討する。

 例:キッチンスケール、ヘルスメーター(体重計)、ベビースケール

4)規制の検討の要望のある計量器については規制の必要性について検討する。

 例:CNGメーター、自動はかり

5)その他

 平成4年の改正において、規制対象計量器については、社会環境の変化に応じて機動的に見直すべく、政令で規制対象計量器を規定できる措置が講じられたが、平成4年以降、今回まで、対象機器について見直しが行われていないことを踏まえ、定期的な見直しを制度的に行うことの必要性について検討する。

II 規制方法

1.現行規制の現状と問題点

 現行の検査・検定制度は、平成4年の改正において指定製造事業者制度が創設され、また、平成11年には指定機関の公益法人要件を撤廃するなど民間活力を制度的に活用等しながら、これまで社会的要請に応えてきた。

 しかしながら、一般的に次のような問題点が指摘されている。

(1)行財政改革への対応の必要性(再掲)

 行財政改革の流れの中で、平成11年の改正により、検査・検定業務は国からの機関委任事務から自治事務化されたが、自治事務化以降、計量行政に関わる人員や予算が削減される地方公共団体が多く発生し、計量行政を実施する上での体力格差が地方公共団体間で拡大しているのが現状である。従って、民間人・民間機関の能力を最大限活用することを可能とすることにより、地方公共団体の執行方法に関する選択肢の拡大が必要となっている。

(2)効果的で合理的な規制の必要性

 これまで比較的ハードウェアの規制に重点が置かれてきたが、ハードウェアの性能が向上してきている中で、むしろ重要となってきている計量器の使用者の不正を抑制することについては必ずしも十分に対応ができていない。

(3)国際整合化の必要性

 平成7年に発効したWTO/TBT協定により、加盟国は強制規格を必要とする場合において、関連する国際規格が存在するときは、当該国際規格を強制規格の基礎として用いることが求められているが、計量法については、必ずしも国際整合化していない基準がある。

2.規制の新たな方向

(1)基本的考え方

 上記の問題点を踏まえ、計量器に対する規制方法について、民間能力を活用した技術基準への適合性評価に基づく規制や自治体の執行の選択肢の幅を広げた透明性のある事後規制に重点を置いたものに移行していくべきである。

 ただし、その際以下の点に留意する必要がある。

1)計量制度は、度量衡法以来100年以上定着した制度であり、新たな制度の導入に当たっては、急激な変化により、関係者(消費者、ユーザー、製造事業者、検定機関等)に混乱が生じたり、消責者・ユーザーの計量制度に対する信頼を損なわないようにする必要があること。

2)製造、品質管理能力については、製造事業者間に格差がある現状に照らし、これらの能力格差に十分対応した制度とすること。

3)検査・検定業務は平成11年の改正により自治事務化されており、地方公共団体の自主性が尊重されるべきこと。

(2)具体的方針

1)検査・検定における第三者認証制度の活用

 製造事業者や地方公共団体の執行方法に関する選択肢が増えるよう第三者機関による認証制度(例えばJISマーク表示制度)を検定の選択肢の一つに加えることについて検討する。(その際は、第三者認証制度の前提として行う計量器の型式承認は、引き続き産総研等が実施することを検討する必要があるということを念頭に置いている。)

 国際的にも適正な計量がなされていることを担保する観点から、検定を行っている各都道府県の検定所等についても国際ルールによる第三者認証制度を適用することについて検討する。

2)指定検査・指定検定機関制度の更なる活用

 民間能力を更に活用し計量法執行の選択肢を拡大する観点から、指定検定機関制度、指定定期検査機関制度を民間機関が参入しやすい制度とすることを検討する。

3)検査等による事後規制の充実

 市場において使用者が正確な計量器を使用しているかどうかについて、指定検定機関、指定定期検査機関の能力や計量士を活用しつつ、都道府県による抜き打ち検査等の事後のサーベイランスを充実することについて検討する。

 不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであることから、不正事業者名の公表などの手続きを整備するガイドラインを策定することにより、不正事例の発生を抑止することを検討する。

4)製品の多様化、新技術に対応した規制基準等

 計量器の国際的流通の促進、技術革新の推進の観点から、OIMLの勧告等諸外国の基準との整合性を図りつつ、技術基準・規定について適切な内容にすることを検討する。

5)民間の技術開発の促進

 検定の有効期間や定期検査の期間、検定・使用公差の設定について、より民間の技術開発を促進する可能性という観点から検討する。

6)基準器制度とJCSS

 検査・検定の現場で活用されている基準器について、構造要件があることを踏まえつつ、JCSSについては、質量等の分野では一定程度普及してきたことから、JCSSの更なる普及拡大について検討する。

7)関係各府省との連携

 他の関係法令の執行体制との協力関係の構築について検討する。

8)検査・検定手数料

9)型式承認制度における外国試験機関データの受入

10)指定外国製造事業者へのサーベイランスの実施

11)その他

 

資料◇第2WGの方向性(骨子案)

〜商品量目制度を中心とした公正・公平確保のための計量の在り方の基本的方向〜(2005年11月28日)

I 商品量目制度

1.現行制度の現状と問題点

 商品量目制度は、消費生活における商品の正確計量の推進に大きな役割を果たし、消費者利益の確保を図るとともに公正な経済活動を支えている。

 平成5年の改正において、1)規制対象商品については、詳細な商品の個別列挙は煩雑で分かりにくいといった指摘等を踏まえ、できる限り体系化、簡素化を図り、日本標準商品分類等を勘案しつつ包括的名称に移行、2)公差体系も簡素化を図り、現行の片側公差(実際の量が表示量を下回っていることが許される範囲のみを規制)に移行、3)量目取締りの方法も、それまでは政令指定商品の量目違反については、直ちに罰則が適用されることとなっており、刑事手続き以外の行政による指導での余地が小さいこと、及び挙証の困難性等の問題が指摘されていたことから、計量管理の是正措置(命令)を中心とした規制に移行等、制度を適宜見直すことによりこれまで社会的要請に応えてきたところである。

 しかしながら、一般的に次のような問題点が指摘されている。

(1)効果的で合理的な規制の必要性

 不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであるが、不正を防止・抑止する観点から、不正があった場合の手続き等の更なる明確化が必要となっている。

(2)国民(地域住民)の積極的参画の必要性

 消費者を中心とした国民(地域住民)が、公正な計量を実現するための最も重要なプレーヤーの一人にもかかわらず、必ずしも適正計量に関して積極的に参画できていない。

(3)他法令の執行体制との協力の必要性

 商品のラベルには、原産地等他法令に基づく表示等がなされており、これについて検査等が他法令に基づいて実施されているが、計量法と他法令との協力関係が築けていない。

(4)持続可能な制度設計

 地方分権の進展、行財政改革の継続など、今後我が国において予想される社会経済情勢の中長期的な変化にも対応した持続可能(サステイナブル)な制度とすることが必要となっている。

(5)全ての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大

 地方公共団体ごとに事情は異なるが、全国的に一定水準の計量行政の実施は必要であり、民間能力の活用を含め、自治体ごとの実情を踏まえつつ、適切な行政手法を採用できるような選択肢が必要となっている。

2.検討の方向性

(1)基本的考え方

 上記の問題点を踏まえ、商品量目制度について、市場による監視機能を生かすとともに、他法令との協力関係を構築することにより、より効率の高い、合理的な制度に移行していくべきである。

 ただし、その際、計量制度は、度量衡法以来100年以上を経ている制度であるが、必ずしも消費者等において正確な理解が浸透していないことから、市場による監視機能を働かすためには、国や地方公共団体は、積極的に計量に関する情報提供や啓発活動を行う必要があることに留意することが必要である。

(2)具体的方針

1)量目取締りの手続きの整備等による制度執行の実効性の向上

 計量器の不正使用の摘発を強化するべく、抜き打ち検査などの事後検査を強化する方向で検討する。

 不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであることから、不正事業者名の公表などの手続きを整備する等により、不正事例の発生を抑止することを検討する。

 計量士の能力を活用しつつ、地方自治体(都道府県・特定市町村)がより多く立ち入り検査を実施することについて検討する。

2)国民(地域住民)の積極的参画(市場の監視機能の積極的な活用)

 消費者の市場監視能力を活用する観点から、消費者による計量制度に関する通報・監視制度の整備について検討する。

3)関係省庁における連携の推進

 行政の効率化の観点から他法令における立ち入り検査等と相乗りで検査等の実施の可能性について検討する。各法が都道府県に権限を委譲し、都道府県が各法の検査等を相乗りして行い得るように国が措置する方向での制度変更を検討する。

 

II 適正計量管理事業所制度

1.現行規制の現状と問題点

 適正計量管理事業所制度は、自主的な計量管理の推進を目的とする制度であり、事業者にとって非自動はかりその他特定計量器における定期検査の免除等のメリットがあり、その活用が図られているところである。

 現行の適正管理事業所制度は、平成5年の改正において、それまで「計量器使用事業場」という名称であったものを、名称が実態に即しておらず、事業場を惹きつけるものとなっていない面があることから「適正計量管理事業所」と改称する等の見直しがなされたものである。

 しかしながら、一般的に次のような問題点が指摘されている。

(1)インセンティブの必要性

 適正計量管理事業所の指定を受けるための体制整備や維持にコストがかかる一方で、メリットと言えば定期検査の免除程度であり、適正計量管理事業所となるインセンティブが少ないとの声がある。また、適正計量管理事業所の指定を返上する例も散見されている。

(2)認知度を高めることの必要性

 適正計量管理事業所の認知度が低い、適正計量管理事業所を示すマークはあるが、デザインが良くないため店頭表示をしていないとの声がある。また適正計量管理事業所の認知度が低いことと関係していると考えられるが、店頭に適正計量管理事業所のマークを表示しても消費者へのアピール力が乏しいとの指摘がある。

2.今後の方向

(1)基本的考え方

 自治体の法執行体制の維持が困難となる中、適正計量の実施を促進していくためには、事業者自らの計量管理の推進を図ることが必要不可欠である。したがって、上記の問題点を踏まえ、事業者自らの計量管理の推進により適正な計量の実施が促進される制度を目指し、適正計量管理事業所制度を改善していくべきである。

 地方公共団体の担当官が、陳列後の商品のサンプル調査等により、量目規制を実施してきているが、商品の包装段階の適正計量、品質管理を促進・確保していくことも必要である。

(2)具体的方針

1)適正計量管理事業所への更なるインセンティブの付与

 より消費者の保護に資するような品質管理の基準を定め、より計量士が適正計量の実施について責任を負うことにより、自治体による定期的な立ち入り検査を免除することを検討する。

 その際、適正計量管理事業所の基準適合性の審査には、民間の認証機関の活用を検討する。

2)新たなマーク制度の創設(適正計量に対する消費者の認知度の向上)

 消費者が一般の適正計量管理事業所と、より正確な計量等に配慮した適正計量管理事業所との差別化が容易にできるよう、より分かりやすいマーク制度の創設について検討する。また、適正計量が実施されている商品に対するマーク制度についても併せて検討する。

3)その他

 
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