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計量新報 2005年 10月9日発行/2602号 1・2面


関東甲信越地区計量協会・計量士会合同連絡協議会を開く

計量士の職域拡大や、適管事業所の自主管理拡大など12件を討議

計量法改正への要望も出る

行政室長「意見を出してもらいたい」

 2005年度の関東甲信越地区計量協会・計量士会合同連絡協議会が10月4日、東京・千代田区の九段会館で開かれた。10都県から計量協会会員、計量士など約250名が出席した。同協議会は03年から、関東甲信越地区の計量協会と計量士会の合同会議として開催されている。本年度は第3回合同連絡協議会として(社)東京都計量協会(渡部勉会長)と東京計量士会(白石芍長)が合同で開催実行委員会(岩下貞治委員長)を組織して準備を進めてきたもの。全体会議方式で、計量士の職域拡大や適管事業所の自主管理拡大、計量法改正への要望など含めて12の議題を討議した。籔内雅幸経済産業省計量行政室長が、現在計量行政審議会で審議されている計量制度の見直し作業の現状を説明した。上村雄彦千葉大学大学院公共研究センターCOEフェローが講演した。演題は「日本が変われば世界が変わる−いまこそ日本の自立を−」。次期開催県は神奈川県。(関連記事2面)

 協議会から功労者4名に感謝状と記念品を贈呈した(氏名は2面)。

 協議会は、渡部勉(社)東京都計量協会会長と白石苴結梃v量士会会長が共同議長となり12の提案議題(別項)を討議した。内容は、計量士の職域拡大や、適正計量管理事業所の自主管理拡大、計量組織の活性化、計量知識の普及、計量法改正への要望などがあり、関連するの議題を一括して討議した。要望事項に関しては、日計振へ要望書を出す。

 特に、現在審議中である計量制度の見直しに関しては、議題提案県の一つである千葉県計量協会の齊藤勝夫会長が、(1)国や地方公共団体は、すべて公開原則できちんと情報を提供してほしい、それに対して(2)我々も大いにものを言うべきである、(3)この意見の反映を日計振はやってもらいたい。地方あってこその日計振であるとし「ぜひ日計振は、私たちの意見をまとめて審議に反映させてもらいたい」と要望した。日計振に対し要望書を出すことを参加者全員で決議した。

 次期開催県は、神奈川県に決まった。(提案議題協議の詳細は次号以下)

 協議終了後、上村雄彦千葉大学大学院公共研究センターCOEフェローが「日本が変われば世界が変わる−いまこそ日本の自立を−」の演題で講演した。

 午後5時30分から懇親会が開かれ、情報交換をしたり、交遊を暖めたりした。

提案議題

(1)栃木県計量協会計量士部会=スーパー大型店における計量士の活用(2)埼玉県計量士会=代検査制度に関わる業務領域拡大について(3)神奈川県計量士会=計量士による民間活力導入について(4)(社)神奈川県計量協会=適正計量管理事業所における自主管理の拡大につて(5)長野県計量管理協会=トラックスケール(大型はかり)設置届等の義務化について(6)(社)新潟県計量協会・計量士部会=「計量法関係ガイドライン集」の公表について(7)(社)東京都計量協会=地域における計量思想普及活動の事例と取り組み強化(8)東京計量士会=学校対象の計量知識普及啓発事業について(9)(社)東京都計量協会=(報告)寒暖計製作教室から出前計量教室へ(10)同=ユーザーと最も近い計量の安全の担い手、「計量器コンサルタント」制度の強化発展と活用を願う。(11)東京計量士会=計量法改正答申作業にあたって、望むこと(12)千葉県計量協会=「新しい計量行政の方向について」計量行政審議会の審議経過と今後の動向について、次の事項の実効ある実現策の行動を望みます。(1)国及び地方公共団体の公開の原則による情報提供と説明、(2)地方計量団体の意見・要望の開陳と集約(ブロックと全国)、(3)当局の今回の公開の原則に呼応できるか、(社)日本計量振興協会の真価が問われるときである。(1)(仮称)計量法検討委員会を設置し、審議会の小委員会に呼応した項目の検討・集約を行うこと、(2)委員に列しているので、傘下団体に適時適切に説明を行うこと

 

東京計量士会が研修会開く

計量法の改正動向と計量士制度

意見交換で業務拡大への期待など

 東京計量士会は2005年度第2回計量技術研修会を9月20日、東京都計量検定所で開き、40名が参加した。

 計量法の改正をテーマに「計量法の改正動向と計量士制度について」のテーマで桑山重光氏(メトラー・トレド(株))が報告し、横尾幸明理事の司会で、意見交換した。

 桑山氏は、計量士制度の変遷、第55回計量士国家試験試験結果、計量士の実務内容などを報告した。

 計量法に関連した計量に関する実務として▽特定計量器の検定業務(計量検定所、指定検定機関)▽取締業務(計量検定所、計量検査所(特定市))▽計量器の製造・修理に関する技術的業務(製造・修理事業者)▽計量管理業務または指導業務(適正計量管理事業所)▽基準器検査業務(NMIJ、計量検定所)がある。計量士に関しては▽定期検査に代わる計量士による検査▽計量証明検査に代わる計量士による検査▽適正計量管理事業所における計量器の管理などが法との関わりの業務で代表的なものである。桑山氏は計量士による校正可能な計量分野として▽長さ▽質量(非自動はかり)▽温度▽体積▽速さ、質量流量及び流量▽密度、濃度、比重及び屈折度▽力(一軸試験機)▽力のモーメント(トルクレンチ)▽圧力(重錘型圧力計、アネロイド型圧力計)▽熱量▽硬さ▽湿度を示した。これらをふまえた上で「新しい計量行政の方向について」として、桑山氏の考えを示した。桑山氏は計量は、品質、信用、信頼を支えるとし▽公正な取引の確保▽安全・安心の確保▽産業競争力強化の促進、に大きな役割をはたすとした。

 計量法改正で計量士制度の改革が検討されており、今まで1度登録すればよかった登録制度に更新制の導入などが考えられるとした。また、計量士の活動分野は▽検定・検査▽品質管理、計量管理▽校正(基準器検査含む)と幅広いので、法制度として定めることができるかどうかはわからないが、今後はこれらの目的・活動別分類をしたらどうかと提案した。計量制度見直しの方向性が計量行政審議会で出されているが、(1)検定・検査制度の見直しに関しては「一定以上の能力を有する民間人活用」がいわれている。資格認定された計量士が検定計量士として検定・検査において活躍できればよいのではないか。計量士は計量器のドクターである。(2)商品量目制度が検討されている。「適正計量管理事業所制度」の改革でも「品質管理に関する能力を有する人材活用」が書かれており、これも資格認定された計量士が品質管理計量士として、品質(量目)管理の推進ができればよい。(3)計量標準供給制度に関して「計量標準供給制度:JCSS制度」の拡大が検討されており、ここでも「計量器の校正技術に関する能力を有する人材活用」が示されているので、資格認定された計量士がトレーサ計量士として、計量器の校正を推進できればと考えている。(4)基準器検査制度の見直しに関しては、基準器は検定等の特定計量器の検査に用いる計量器であり、1999年に器差の確認について、JCSS認定事業者が行う計量器の校正をもって代えることができる制度が導入されている。JCSS制度への一本化も選択肢の一つとして検討されており、必要な精度を念頭に、計量標準の現実的な供給のあり方を検討している。

(次号以下へつづく)

 

籔内雅幸計量行政室長

見直し作業の現状を説明

改正への要望・意見提出を要請

(1面のつづき)

 経済産業省の籔内雅幸計量行政室長が、計量行政審議会で審議している計量制度見直し作業の現状を説明した。

 7月26日「計量行政審議会」が開かれ、計量制度の見直し作業が始まった。審議会のもとに「計量制度検討小委員会」を設けた。小委員会に3つのワーキンググループ(WG)を設置し、具体的な検討に入った。どのWGでも活発な議論がされ、関心が高いと感じた。単位、計量士制度、特殊容器などの横断的な事項は、小委員会で検討する。小委員会は各WGの審議をとりまとめる。

 第1WGは、検定・検査制度のあり方等を検討している。計量行政が自治事務になってから各都道府県間の跛行性が大きくなった。民間の力を用いて今までのレベルの計量行政が実施できないか検討している。方向性としては、(1)地方の選択肢を増やす、(2)現在18種ある特定計量器を見直す。規制は消費者保護に重点を置くべきであり、企業間取引に使うような機種は企業間相互に任せればよく規制の対象からはずすべきではないか。また、技術水準も高くなっている。機種ごとの個別事情も勘案しながら、対象機種を減らすべきではないか、検討している。

 第2WGは、量目規制のあり方等を検討している。量目規制は、種類、くくり方などを細かくするか、反対に大くくりにするかなどなかなか難しく、どうしたらよいのだろうかというところだ。また、現在の適正計量管理事業所はメリットが少ない。どのようなメリットを付与できるか検討している。

 第3WGは計量標準・標準物質の供給等を検討している。計量標準・標準物質をいかに円滑に、たくさん、短期間で供給できるかが求められている。計量標準を供給している(独)産業技術総合研究所だが、同所が国の機関から非公務員型の独立行政法人になったことで、これを計量法の中でどう位置づけたらよいのかという問題がある。

 今後の審議の見通しだが、12月末には、計量制度検討小委員会を開いて、第1、第2、第3の各WGの審議のとりまとめの方向性を出したい。来年の春ないし夏には経済産業大臣への答申をだす運びになる。

 現在、団体やメーカーなどの各方面からヒヤリングをしている最中であり、都道府県のヒヤリングもする予定である。皆様方も「意見を反映する場をつくっていただいて、要望書等を出していただければと思っております」と述べた。

感謝状と記念品贈呈(関連記事1面)

(敬称略)

▽田中正佐久((社)新潟県計量協会名誉顧問、(株)田中衡機工業所代表取締役相談役)▽崎尾靖(栃木県計量協会理事、(株)コアミ計測機代表取締役社長)▽吉池潤一(長野県計量連合会副会長、長野計器(株)取締役副社長)▽井上勇((社)茨城県計量協会専務理事)

第3WG第3回会合開く

 計量制度検討小委員会第3ワーキンググループ(WG)第3回会合が10月6日午後、東京・霞が関の経済産業省別館11階第1120会議室で行われた。 (詳細は次号以下)

 

 
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