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「はかる」技術でさらなる成長をめざす

森島泰信エー・アン・ドデイ社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

エー・アンド・デイ会社概要

日本計量新報 2019年5月19日 (3238・39号)2〜3面掲載

「はかる」技術でさらなる成長をめざす

 ◎業績は好調

●第3四半期累計の売上高は338億円

−−業績が好調ですね。

 2月に第3四半期の決算を公表しました。

 第3四半期連結累計期間における売上高は337億9798万円で前年同期比14・2%増になりました。営業利益は10億5800万円で前年同期比51・7%増。経常利益は9億5100万円で前年同期比30・8%増。親会社株主に帰属する四半期純利益は5億3000万円で前年同期比45・2%増。

 エー・アンド・デイ(A&D)の事業の主な柱は、計測・計量機器事業と医療・健康機器事業になります。

 計測・計量機器事業の売上高は、206億8500万円で前年同期比19・0%増。営業利益は10億6300万円で前年同期比114・9%増となりました。

 医療・健康機器事業の売上高は、131億1300万円で前年同期比7・4%増。営業利益は14億4600万円で前年同期比8・5%減となりました。

 第3四半期は計測・計量機器事業が好調で、医療・健康機器事業も少し売上を伸ばしたという状況です。

 

「はかる」技術でさらなる成長をめざす

 

●計測・計量機器事業の成長ポイント


■「GX―Aシリーズ」を投入


校正用分銅内蔵型汎用天びん GX-Aシリーズ

計測・計量機器事業では、新しい汎用天びんの「GX―Aシリーズ」を投入しました。今期の頭からは海外にもリリースしました。

■『Kardux Cup』を受賞

 弊社の米国現地法人のA&D Engineering,Inc.が国際的な計量・計測機器業界のカンファレンス「International Society of Weighing and Measurement(ISWM)」において新しい技術的成果に与えられる『Kardux Cup』を受賞いたしました。

 この『Kardux Cup』は、直近の過去2年間における、計量・計測業界に良い影響をおよぼす最も優れた新しい技術的成果に対して与えられる賞です。エー・アンド・デイは2010年、2012年に続いて3回目の受賞となりました。

 ISWMは、計量・計測業界の専門家のための米の業界団体です。

■チェッカ−、金属検出器、X線検査機に注力

 2018年にはX線検査機を発表しました。

 食品などの検査には、ウェイトチェッカと、金属検出器、X線検査機があればだいたいカバーできます。ようやく品揃えが整いました。

 このような状況で計測・計量機器事業の売上は、国内外で伸ばすことができました。

■自動車関連の試験機の事業を強化

 今期はタイヤ試験機が大きく伸びました。各タイヤメーカーは、次世代のタイヤの開発にしのぎを削っています。

 自動車がEV化されると、バッテリーが重くなるため、タイヤの性能に対する要求が一段と高くなったことによります。

■半導体検査装置のホロンを子会社に

 2018年に、半導体検査装置をつくっているホロンという会社を買収し、子会社化しました。

 ロジック関係を軸に半導体の開発投資は活発です。自動車やAIがらみで、より高速で、省エネにも優れたコンピュータの開発が急務とされているからです。

 7nmという極めて細い線幅の製造装置がありまして、一番先行している半導体製造会社においてホロンの半導体検査装置が使われています。7nmの線幅でつくられた半導体は、アップルの顔認証システムなどのAIを動かすコンピュータなどに使われています。

 弊社では、AD変換のユニットの供給もしています。

 これらも計測・計量機器事業の売上に大きな貢献をしてます。

 

●医療・健康機器事業

 

■米国最大手小売りへの供給

 医療・健康機器事業に関しては、売上ではロシアとアメリカ市場が伸びています。

 アメリカ最大の小売り企業やネットワーク通販企業へ、昨年から供給をはじめました。下期から売上に大きく貢献しています。

 弊社が製品を供給するようになった理由は品質の安定と高さです。

 日本では販売していない商品もあります。たとえば、血圧計ですが、カフで測定して、スマートフォンで結果を表示する製品で、手軽に健康管理ができるので好評です。

■ロシアで「血圧計プロデューサー賞」を受賞

 当社のロシア子会社(A&D RUS CO.,LT、ADR)が、2018年12月18日、ロシア国立医薬品評価会から「血圧計プロデューサー賞」を受賞しました。

 ロシアの薬局に陳列されている製品、約1300社・5830ブランドのなかから、製薬、化粧品、栄養補助食品など全13部門ごとに、最高の評価を得た製品が表彰されます。

 

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◎情報の発信量を増やす努力
 

−−ニュースリリースなども頻繁に出されており、企業活動の旺盛さがうかがえます。

 全社的に、「One エー・アンド・デイ運動」をしています。エー・アンド・デイは子会社が国内外に二十数社あります。これまではそれらの会社が独自に個別企業の最大利益を求めて活動していました。それぞれが得意分野や強みを持っていますので、One エー・アンド・デイで活動すればもっと成果が上がる、ということで取り組んでいます。

 コミュニケーションを増やすためさまざまなニュースを発信したり、メールマガジンを活用したり、ニュースリリースも積極的に出すようにしています。また、ユーザーへのインタビュー内容をまとめた情報マガジン『WAY』を配信するなど、情報の発信量を増やす努力をしています。
 

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◎働きやすい環境づくり


−−仕事環境の整備はいかがでしょうか。

■米国子会社が「最高の仕事環境の会社」に選出

 米国子会社のA&D Technology Inc.(本社:ミシガン州アナーバー、ADT)が、米国大手新聞社のデトロイト・フリー・プレスから「ミシガン州で最高の仕事環境の会社(TOP WORK PLACES 2018)」100社のうちの1社に選出されました。

 ADTは福利厚生にも注力し、従業員の健康管理や個人情報の盗難防止、フレックススケジュールなど、最先端の多様な制度と環境を用意するなどの施策のもとで、ADTの従業員は楽しみながら業務に専念し、日々スキルアップしている、というのが受賞に至った理由です。

■健康で働きやすい環境に

 日本でも働き方改革が提唱されています。当社も昨年、2年計画で「ホワイト500」に応募しました。

 これを機会に本社や北本の開発・技術センターなどすべての事業所の建屋内をすべて禁煙にしました。また、健康診断は全員受診するようにしました。こういう働きやすい環境をつくっていく努力をしています。社員が健康で、働きやすい環境下にあれば、結果的に生産性の向上にもつながっていきます。

■短時間で成果をあげる働き方へ

 休暇に関しても、来年度は10連休を3回設定します。だらだらと仕事をするよりは、短時間で成果をあげる、生産性を上げることの方が重要です。


 

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◎次の成長ステップへ投資

−−今後の目標などをお聞かせください。

■500億円企業に

 先ほど第3四半期の状況をお話ししましたが。今期は493億円の売上、営業利益33億円、経常利益32億円、親会社株主に帰属する当期純利益24億円を見込んでいます。

 約500億円の売上の企業になりましたので、これを踏まえて次のステップに進んでいきます。

■新株を発行予定

 2018年12月に新株発行権の契約をしました。適切なな時期に新株300万株を売り出す予定です。新株発行の目的は、設備投資と開発投資です。

 半導体検査装置用の新工場を建設する予定です。

 

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 ◎イギリスのEU離脱にも対応


−−世界経済の動向をどのように見られていますか。

■経済ダメージは避けるのではと期待

 アメリカと中国との関係の本質は、貿易摩擦の解消ではなくて、経済を含めてさまざまな分野における覇権争いなので、アメリカにとっては絶対に譲れないでしょう。

 トランプ大統領の行動はなかなか先が読めませんが、国益から考えると、経済人として、経済での決定的なダメージは避ける方向ではないかと期待しています。

■ドイツからEU市場向けに出荷

 ヨーロッパは、イギリスのEU離脱の問題が焦点ですね。今まではイギリスから大陸へ出荷していた製品も、ドイツの子会社からEU市場向けに出荷し、イギリスの会社はイギリス市場のなかで活動することになります。

 懸念材料は、ヨーロパに限らず世界各国の目が、一国主義というか内向きになっていることですね。根っこは、各国における経済的・社会的な格差の拡大にあると思います。

 

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◎海外展開を強化


−−エー・アンド・デイの海外展開についてお聞かせください。

■現地法人を展開してきた

 エー・アンド・デイは、海外での現地法人の設立は計画的にやっています。米(2カ所)、加、豪、英、独、露、印、韓、中にあります。

 たとえば、インドの現地法人は10年前に設置し、商売がなかなか難しい国といわれますが、現在では黒字になっています。

■タイを東南アジアでの営業・サービスの拠点に

 東南アジアでは、昨年タイに事務所を開設しました。

 ゆくゆくは、東アジアでの営業・サービスの拠点と考えています。

■グローバルシェア3位以内に

 海外市場での売上比率は、現在すでに50%を越えていますが、これをますます増やしていきます。

 継続的な収益を上げるため、すべての製品でグローバルシェアで3位以内になることが目標です。

 天びん・はかりや血圧計では、すでに実現しています。

 さらにシェアを上げるため、海外市場で売上を伸ばしていく必要があります。

 それには、国ごとのマーケティング戦略を徹底していきます。

■半導体検査装置に力入れる

 半導体検査装置のユーザーは、台湾、韓国、アメリカと100%海外です。このうちマスク検査装置を製造しているのは世界で2社しかありません。ですから、マスク検査装置に関してはシェアは取れているということになります。

 今後、ウエハの検査装置とか、もっと技術を広げて、半導体検査装置の売上を伸ばしていきます。

 

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◎自動車試験装置で開発力磨く


 自動車の検査装置に関しては、米や独にも現地法人がありますが、メインは日本なので、まず日本の自動車メーカーのニーズに合う検査装置をつくり、その後、海外の自動車メーカーにも販路を広げる計画です。

 自動車用の検査装置は高い技術が要求されますが、その技術は将来的に一般産業用の検査装置にも波及していきます。

■シミュレーションを使った開発

 まさにシミュレーションというのがそういう領域です。自動車メーカーは一斉にモデルベースドシミュレーション(MBS)というコンセプトで開発を始めています。

 これは「モデル」を作成し、そのモデルをベースにシミュレーション機能を活用することで、開発期間の飛躍的な短縮と、ソフトウェアの品質を向上させる革新的な開発手法です。

 この手法は産業用機器、ロケットや航空機の開発などにも応用されます。

■「測る技術」が重要に

 そこでは、「測る技術」が非情に重要で、測る精度の向上が「モデル」の精度向上ともなり、シミュレーションによる開発が実用的になり、開発スピードがアップします。

 この技術開発に先行投資をしています。

■ここにビジネスチャンスあり

 このように、自動車分野に限ってみても、開発が非常に変化していますから、そこにビジネスチャンスがあります。ここで先行すると、メリットは非常に大きく、エー・アンド・デイは今そこに遭遇し始めていると、私は感じています。

 その大きなチャンスを自分たちのものとしてつかめるかどうかということが大事で、営業部門はそのようなマーケットを見つけることができるか、技術開発部門は、それに対応する技術を先行開発できるか、また会社としてはそれをキチンと判断、決断して事業を進めていけるかということが岐路になります。

 そして、自動車試験装置は、このような大きな可能性を秘めています。

 

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◎基盤技術とアプリ技術で開発進める


■8つの基盤技術

 エー・アンド・デイでは、技術要素を分解して、各分野に共通の技術を抽出します。当社はこれを基盤技術と言っています。それができれば、各分野のどんな技術要求にも、この基盤技術の組み合わせで対応することができます。この基盤技術に、その分野で特別に必要とされる技術を組み合わせれば、どんな技術開発もできます。

 つまり、基盤技術とアプリ技術という考え方です。これは、はかるという事業を多角化するときに、非常に有効な考え方です。

 エー・アンド・デイの基盤技術は、次の8つです。

@アナログ回路技術A金属膜・箔技術BCPU実装技術・デジタル回路技術C信号処理技術Dモデル化技術Eモデル開発のためのツール技術FRDB(リアルタイム・データベース)G有限要素法を用いた機械設計技術。

■他者にマネができない強み

 メディカルとはかりと自動車試験機を見てみると、一見何の関係もなさそうに思えますが、実は技術の根っこは同じです。

 1つの基盤技術を1つの製品開発に使うのではなくいくつもの製品の開発に適用できるので、開発コストの面からも、開発スピードの面からも大きな利点となります。

 

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◎自動はかりへの対応も


−−取引・証明に使われる自動はかり4器種が検定の対象になりましたが、どのように対応されますか。

 指定検定機関への対応を考えています。新しく計量士も採用し、専任体制にして、独立した組織として立ち上げるために、対応を進めています。

 民間ですのでメニューづくりをしっかりやって、採算が取れるような組織にしていきたいと思っています。

−−ありがとうございました。


◎会社概要


【社名】株式会社エー・アンド・デイ
【所在地】〒170―0013、東京都豊島区東池袋3丁目23番14号
【代表取締役】森島 泰信
【設立】1977年(昭和52年)5月
【資本金】63億8800万円(2018年〔平成30年〕3月31日現在)
【売上高】441億2000万円(2018年〔平成30年〕3月期連結)、307億2400万円(2018年〔平成30年〕3月期単独)
【従業員数】2557名(2018年〔平成30年〕3月31日現在連結)、696名(2018年〔平成30年〕3月31日現在単独)
【事業内容】電子計測器、産業用重量計、電子天びん、医療用電子機器、試験機 その他 電子応用機器の研究開発、製造、販売
【主要製品】計測・制御・シミュレーションシステム、FFTアナライザ、音・振動解析装置、デジタル超音波探傷器、デジタル超音波厚さ計、材料試験機、半導体製造装置用A/D、D/A変換器、電子銃、電子てんびん、デジタル台はかり、ウェイング・インジケータ、ウェイング・コントローラ、各種産業用計量装置、ロードセル、計量・計測データ処理システム、医療用デジタル血圧計、医療用各種体重計、家庭用デジタル血圧計、家庭用デジタル体重計、超音波吸入器
【ISO認証】▽ISO9001▽ISO13485

 

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