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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

目次

15 トラックスケールを東北地区に拡販 2744号

 私は不思議にこの「タダノ」とも縁がある。「タダノ」は戦前小さな鉄工所で空襲で戦災に遭い私の実家の近くにある、親類の家の別棟に疎開してきていた。

 戦後は高松の焼け跡に小さな鉄工所を再開したが、クレーンを手がけて急速に大きくなった。トラックスケールは事業所に一台あれば間に合うが、クレーンはトラック一台一台に取り付ける。トラックスケールとは台数が2桁違う。

 従って「タダノ」の方が鎌長よりはるかに大きくなったが、同じ高松から似たようで違う業界の二社が伸びたことに私は感慨を覚える。

 トラックスケールは製鉄所を初め大規模の工場から導入が始まったが、そこは大和・クボタが先行していた。後発メーカーである鎌長は大工場への売込みでは先行2社に適わないので、全国に多数あるスクラップ業者に的を絞って営業を展開することにした。

 この営業政策は功を奏して鎌長のトラックスケールの販売は急激に伸び、大和・クボタに迫るようになった。

 昭和36年古巣の鎌長と代理店契約を結んで鎌長のトラックスケールを東北地区に拡販することにした。

 私は東北のスクラップ屋さんと魚市場を鎌長の大藤さんと二人で隈なく歩いた。中古の車を私が運転して1週間くらいの行程で東北を廻る。高速道路はまだ無く、国道も舗装されていないでこぼこ道の町々を運転してスクラップ屋を一軒一軒訪ねて歩いた。飛び込み訪問をして初対面で社長から注文をもらった時の喜びは未だに忘れられない。

 一出張で25トンのトラックスケールが23台売れたこともあった。そのお陰で東北のスクラップ業界では知名度が上がり、スクラップ業界では鎌長は日本一のハカリ屋だと信じられるようになった。

 代理店になってから46年の間にトラックスケールはメカ式から電子式に変わったが東北地区に1000台超える実績を誇り、新品の販売のみでなく、納入したトラックスケールの点検整備が日東の業績を支える大きな柱となっている。

(つづく)

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